愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第28回の前編。井上順さんが思い出のSLに再会!
最高のクルマ
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「これですよ、これ、このSL! 僕が乗っていたやつも500SLで、色は黒でした。これはハードトップを付けているけれど、僕はソフトトップの幌を閉めて乗ることが多かったですね」
井上順さんがそう言いながら近づいたのは、メルセデス・ベンツ「500SL」。R129というコードネームで呼ばれた4代目のSLで、1989年から2001年まで生産された長寿モデルだ。井上さんが所有していたのは前期型で、排気量5.0リッターのV型8気筒エンジンを搭載するモデルだった。
運転席に座り、ステアリングホイールの感触を確かめながら、「これは最高のクルマでしたね」と、井上さんは目を細める。
「ただ、僕はそんなにクルマに詳しいわけじゃないんです。芝浦のヤナセに、凄腕の女性セールスがいらっしゃって、その人が『次はこれなんかどうですか?』と、提案くださったクルマに『ハイわかりました』と、乗っていただけ(笑)。だからクルマ選びに迷ったという記憶がないんです」
「高速の安定感が抜群で、ゴルフにもよく行ったなぁ」と、言いながら、井上さんは500SLを愛おしそうに見つめる。
「ヤナセの人が、いつも絶妙なタイミングで連絡をくださって、『そろそろ整備しましょう』とか、『オイルを換えましょう』と、面倒を見てくれました。おかげで、僕のメルセデスは一度も壊れたことがありませんでした。あっ、一回だけありましたね。シガーソケットを押し込んだら戻ってこなくなりました(笑)」
井上さんのトークは、テレビで見た通りに軽妙で、ついついお話に引き込まれてしまう。「基本的にはずーっとメルセデスに乗っていました」と、おっしゃる井上さんのクルマ履歴は、1960年代からの日本の芸能史ともリンクしていて、とても興味深いものだった。
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「俳優の峰岸徹さんが兄貴分で、僕を連れまわしてくれたんです。僕はまだ13歳だったけれど、米軍基地に近い六本木には異国情緒があって、こんなにキラキラした街があるのかと、毎日わくわくしていました。ピザの『ニコラス』、イタリアンの『キャンティ』……、『シシリア』はまだあるのかな。一番よく行ったのは『レオス』で、一階がデリカテッセンで二階がレストラン。当時、峰岸さんはメッサーシュミットに乗っていて、最高に格好よかったです」
メッサーシュミットは、もともとドイツの航空機メーカーだ。第2次世界大戦後は自動車製造にも乗り出し、1953年に前2輪/後1輪のメッサーシュミット「KR200」を発表。1958年には4輪のメッサーシュミット「Tg500」を世に送り出した。峰岸さん所有していたのは、このどちらかだったと思われる。
「で、16歳になってザ・スパイダースでデビューするわけですが、最初はメンバーでクルマを持っていたのはかまやつ(ひろし)さんだけで、メンバー全員でかまやつさんのクルマに乗っけてもらって、あちこち行きましたよ。かまやつさんのクルマ、なんだっけなぁ……。かなり頻繁に乗り換えていた印象がありますね。モーリス・マイナーもあったし、ボルボ(PV544)も乗っていたかな」
モーリス・マイナーとは、後にミニを設計したことで知られるアレックス・イシゴニスが手がけたクルマ。井上さんによれば、「ボディにウッドが使われていたような気がします」ということなので、ステーションワゴンのモーリス・マイナー「1000トラベラー」だったと推察する。
「23歳でザ・スパイダースが解散して、24歳でソロとしてデビューするわけですが、免許を取ったのはそのタイミングでした。ひとりで仕事に行かなくちゃいけなくなったけれど、自分で運転して行けば誰にも迷惑をかけませんから。教習所はね、楽勝でした。もう時効だと思うけど、当時は空き地がいっぱいあって、先輩から『運転してみろ』と言われて練習していたんですね。教習所の教官も『大丈夫ですね』なんて、ふたりして教習中に喫茶店で時間を潰したこともありました(笑)。ユルい時代だったなぁ」
こうして免許を取得した井上さんであるけれど、最初に所有したクルマはどうしても思い出せないという。
「昨日から一生懸命思い出そうとして、地味なアメ車だった記憶があるんですよ。キャデラックとかシボレーとかビュイックみたいにメジャーなクルマじゃなくて。でも、ザ・スパイダースの先輩方、かまやつさんとか田邊昭知さんや堺(正章)さんといった方々から、『この商売は事故を起こしたり故障で止まったりするのがよくない、だから丈夫で信頼できるメルセデスにしろ』と、言われて、次からはずっとメルセデスです」
ここまで話したところで、井上さんはもう一度メルセデス・ベンツ500SLに視線を戻す。
「黒い500SLだったか、もう1台、深いグリーンの『450SLC』というのもすごく気に入って乗っていて、どっちかだと思うんですけど、ある日、田邊(昭知)さんから『ゴルフに行くぞ』と、言われて、迎えに上がったんです。で、プレーが終わって、さぁ帰ろうと思って駐車場に行ったら、焼け焦げたクルマから煙が上がっている。警察の人もいて、このあたりはクルマを燃やすいたずらが多いと言われて、まいったなぁと思ったら……、ドッキリだった! 一度だけですよ、ドッキリに引っかかったのは。田邊さんはそういうことをする人じゃないからまんまと引っかかっちゃった。僕のクルマは、向かいに停めてありました(笑)」
本連載で、井上さんの前の回が小林麻美さんだったことを告げると、目をまん丸くした。
「麻美さん、田邊さんの奥さんじゃないですか! すごく気さくないい方ですよね。これもなにかの縁ですよ」
後編は、もう1台の思い出のメルセデス・ベンツについて。井上さんの愉快なトークはまだまだ続く。
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【愛車の履歴書 バックナンバー】
Vol1.市毛良枝さん 前編/後編
Vol2.野村周平さん 前編/後編
Vol3.宇徳敬子さん 前編/後編
Vol4.坂本九さん&柏木由紀子さん 前編/後編
Vol5.チョコレートプラネット・長田庄平さん 前編/後編
Vol6.工藤静香さん 前編/後編
Vol7.西内まりやさん 前編/後編
Vol8.岩橋玄樹さん 前編/後編
Vol9.吉田沙保里さん 前編/後編
Vol10.板野友美さん 前編/後編
Vol11.常盤貴子さん 前編/後編
Vol12.永山瑛太さん 前編/後編
Vol13.菊地英昭さん THE YELLOW MONKEY / brainchild’s 前編/後編
Vol14.岸谷五朗さん 前編/後編
Vol15.瀬戸朝香さん 前編/後編
Vol16.市原隼人さん 前編/後編
Vol17.中山美穂さん 前編/後編
Vol18.伊藤英明さん 前編/後編
Vol19.村井國夫さん&音無美紀子さん 前編/後編
Vol20.今井翼さん 前編/後編
Vol21.長谷川京子さん 前編/後編
Vol22.萬田久子さん 前編/後編
Vol23.有森裕子さん 前編/後編
Vol24.豊原功補さん 前編/後編
Vol25.木戸大聖さん 前編/後編
Vol26.小柳ルミ子さん 前編/後編
Vol27.小林麻美さん 前編/後編
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・Ryo スタイリング・間山雄紀(M0) 編集・稲垣邦康(GQ) 撮影協力・ヤナセ クラシックセンター
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しっかり仕事しろ。