“駆け抜ける歓び”をキャッチフレーズに掲げるBMWは、実は自動運転に関して積極的なメーカーでもある。今夏には日本で販売されるクルマとしては初めて、“手放し運転”を可能とした「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を搭載したモデルを導入した。新型3シリーズを皮切りに、8 シリーズクーペ&カブリオレ、X5などにも搭載されており、対象モデルは順次拡大している。ちなみにこの機能は自動運転レベルにおいてレベル2と呼ばれるものだ。
BMWオートマチックドライブ|BMW Automatic Drive
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BMW7シリーズをベースにした自動運転プロトタイプ車。車体の前後に複数のレーダーやLiDAR、カメラを搭載する。
ここで少しだけ自動運転についておさらいしておく。自動運転は、レベル5まで段階的に定義づけされており、大別すればレベル2まではあくまで運転支援(責任の所在はドライバー)で、レベル3以降が事故の責任はドライバーではなく、システム(クルマ)が担う本来的な自動運転とされる。実は新型アウディA8は世界で初めてレベル3の機能を有した市販車として発表された。しかし、法律やインフラの整備が追いついておらず、日本をはじめ欧州などでも、現実世界ではレベル3を実用化できていないのが現状だ。
BMWオートマチックドライブ|BMW Automatic Drive自動運転のレベル分けレベル3:「条件付き運転自動化」特定の場所ですべての操作が自動化、緊急時はドライバーが操作
レベル4:「高度運転自動化」特定の場所ですべての操作が完全に自動化
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この自動運転プロトタイプ車は、「レベル4」の自動運転技術を搭載する。レベル4の自動運転では、ドライバーは運転操作を車両に委ねることが可能。ドライバーは例えば、スマートフォンを操作したり映画を見ることもできる。
レベル5:「完全運転自動化」あらゆる状況においても操作が自動化
ノーサイドで進む自動化研究そうした中、BMWは7シリーズにレベル4の自動運転技術を搭載したテスト車両を日本に持ち込み、東京都江東区にある「BMW GROUP Tokyo Bay」に用意された特設コースでデモ走行を披露した。ぱっと見は普通の7シリーズとかわらないようにも見えるが、前後バンパーにはレーダーやLiDAR、左右Aピラーやフェンダーなどにもカメラが仕込まれ、ルーフには2基のGPSアンテナが載っており、トランク内部はデータロガーなどの機器によって埋め尽くされていた。
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プレゼンテーションに登壇したBMWデベロップメント・ジャパン本部長のルッツ・ロートハルト氏。
デモの模様は以下の動画を見ていただくとして、流れとしてはまず、スマートフォンを操作すると、駐車場に停まっていた7シリーズが自動でお迎えにやってくる。もう一度操作するとドアが解錠され、人が乗り込むことが可能になる。目的地はアプリによって車両に送信する。シートベルトが装着されたことを確認してクルマは走り出す。デモでは特設コースに置かれた車両の合間を縫うように自動で走行し、目の前に飛び出してきた車両に反応して一時停止ののち、スタート地点にもどり自動で元の位置に駐車して終了というものだ。
https://app.box.com/v/g12demorunfootage/file/545192641164
BMWはいま、世界中で 70 台以上のテスト車両を使って自動運転に向けたテストを行っている。路上テストを含めて、人工知能 (AI)による機械学習をさらに改善するためのデータを収集し、レベル2からレベル5までの実験を繰り返しているという。そして、プレゼンテーションに登壇したBMWデベロップメント・ジャパン本部長のルッツ・ロートハルト氏は、「BMWでは現在1800人ものスタッフが自動運転の開発に従事しており、そして2021年にはレベル3の自動運転車の量産を開始する計画を立てている」と述べた。
BMWオートマチックドライブ|BMW Automatic Drive
この自動運転プロトタイプ車は走行中、常に停車、走行しているすべての車両を認識している。短いVTRを見せられ「いま何台クルマが映っていたかわかりますか?」というロートハルト氏の質問にある記者が「約20台」と答えたが、実際は30台を超えていた。
また今年7月にはBMW グループとダイムラーAGが、自動運転に関して共同開発を開始すると発表。レベル4の高速道路における自動運転、および自動駐車システムに的を絞ったもので、2024年には市販車両に導入を計画している。ちなみにこのプロジェクトは、非排他的共同事業として開発の成果はライセンスに基づき開放され、他のOEM も利用可能になるという。
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自動運転に向けてのロードマップ。BMWでは2021年にレベル3の自動運転車の量産を予定している。
先述のように現時点では法整備もインフラもなく、完全自動運転の実現にはまだまだ時間がかかると言わざるをえない。現実世界に自動運転車と非自動運転車が混在したらと想像するだけで問題は山積みだ。高速道路だけ、ある特定エリア内だけといったレベル3、4あたりから、そしてできることなら物流トラックなど商用ベースで、始めていくのが現実的だろう。いずれにせよ、電動化も自動運転化も、ドイツメーカーは本気も本気、大本気ということのようだ。
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BMWは 3シリーズを皮切りに、7シリーズ、8シリーズクーペ&カブリオレ、X5、X7などに国内モデルとしては初めて「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を搭載した。これはドライバーが高速道路を走行中に渋滞に巻き込まれた際に一定の条件下であればドライバーはステアリングから手を離したまま運転を継続できるもの。アクセルやブレーキも車両が自動的に操作する。高速道路や60km/h以下という制限があるため「レベル2」として提供されている。
文・藤野太一 写真・BMWジャパン
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