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ポルシェが造った怪物メルセデス、それが「500E」!フジミ製プラモ「300CE」を大変身させる・後編【モデルカーズ】

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ポルシェが造った怪物メルセデス、それが「500E」!フジミ製プラモ「300CE」を大変身させる・後編【モデルカーズ】

足周りも500SLから多くを流用

メルセデス・ベンツ300CEのボディと190Eのキャビンを、全長を伸ばしつつ合体して500Eとしたとしたプラモデル改造作品について、前編の記事では、作者・飯塚氏による解説をお読みいただいた(後編からお読みの方は、下の「関連記事」参照のこと)。ここでは、制作過程の続きを写真とそのキャプションでご紹介するとともに、その実車についてもう少し細かいことを述べておきたい。

「メルセデス・ベンツ500E」というモンスターを知っていますか?フジミ製プラモ「300CE」を大変身させる・前編【モデルカーズ】

【画像38枚】500Eへの驚異的な改造作業、その詳細を見る!

500Eについて説明するためには、そのベースであるEクラスについて先に述べる必要があるだろう。コンパクト・クラスと言われたエントリーモデル、W123型系の後継として1985年に登場したのが、のちにEクラスの名で呼ばれるようになるW124型系である。後継車としては、先にデビューした、よりコンパクトな190もその一部をなすものであったため、W124は当初ミディアム・クラスと呼ばれていた。

ボディサイズは全長4740mm/全幅1740mm/全高1445mmで、W123と比べると幾分細長い。ホイールベースは2800mm。スタイリングは190のそれを若干拡大し、かつ滑らかさと面の張りを持たせたようなイメージであるが、テールランプが横幅の小さい台形となり、その内側がトランクのオープニングラインと重ねられているところが特徴である。この処理はのちのSクラス(W140)やCクラス(W202)でも引き継がれ、発展することとなる。

レイアウトはもちろんFRで、サスペンションは190同様に前:ストラット/後:マルチリンク。エンジンのラインナップは直列4気筒の2Lと2.3L、直列6気筒の2.6Lと3Lがあり、さらにディーゼルが直列4気筒の2L、直列5気筒の2.5Lと3Lの3種類用意され、合計7種類となる。ボディは最初4ドア・セダンのみであったのが、1986年にはワゴン(Tシリーズ)、1987年にはクーペ(Cシリーズ)が加えられた。搭載エンジンには以後も変更が加えられ、直6、直4ともにDOHC 4バルブ化が行われている。

500Eは1991年に発売されたもので、このミディアム・クラスのセダン・ボディに500SLのM119型エンジンを移植した、まさに「羊の皮を被った狼」とでも言うべきサルーンである。エンジンは500SLと変わらずV8 5LのDOHC 32バルブ・エンジンで、最高出力330ps/最大トルク50kgmを発揮。また、サスペンションやブレーキなどにも500SLのパーツが一部使用されている。トランスミッションは4速ATのみの設定。

開発はポルシェが担当しており、フェンダーアーチをフレアさせたボディ形状にも、ポルシェの雰囲気が漂う。これにより全幅は55mm拡大しているが、これは225/55ZR16タイヤの装着とトレッドの拡大に伴う処置である。ボディ前後もデザインが異なり、すぼまっていたフロントバンパー下部はエアダム形状となって、ヘッドライト脇にあったフォグランプはここへ移動。リアバンパーも同様に下部エプロン部分が拡げられている。ボディ関連の変更は見た目上のみにとどまらず、ポルシェではホワイトボディから改良を行い、V8エンジン搭載に伴うトンネル部の拡大やフロアの強化などを実施している。

生産もポルシェが担ったが、これは同社の工場のみで完結するものではなく、メルセデスとポルシェの工場を何度か車体が行き来しながら1台が完成するというやり方であった。1994年には、「ミディアム・クラス」の呼称が正式に「Eクラス」へと変更になり、各モデルの車名も頭に「E」をつけたものへと改められたため、500EもE500へと呼び方が変えられた。この後期型では、エンジンの出力が325psへと落とされている。

フジミ製300CEはエンジン搭載には最適だが…?
「質実剛健」「最善か無か」を旨とした最後の世代のメルセデスと言われることもあり、W124のプラモデル化は少なく、おそらくフジミのものが唯一である。フジミがモデル化したのは2ドア・クーペの300CEであるが、すでに絶版となって久しい。作例はすでに述べた通り、この300CE(C124)をベースとして、グリーンハウス部分を同じくフジミの190Eのボディから切り取り、移植して制作したものである。

この300CEのキットは、設計中にエンジン再現を盛り込む予定があったのか、エンジンのパーツはないにもかかわらずボンネットが別体で、補器やフレームが一部モールドされている。これは作例のようにエンジン再現を行うには好都合と言えるだろう。シャシーは前後輪ともシャフト式の簡素な構成のもので、BMWやセドリック/グロリア、クラウンのキットなどにも一部パーツを変えながら流用されているが、元はこの300CEのために金型が起こされたパーツである。そのため、フロアのプレスや排気系の取り回しなどは、W124としては正確なものとなる(500Eとしては細部が異なるかもしれない)。

作例のボディ改造は、グリーンハウスの移植だけでなくホイールベースの延長とフェンダーのワイド化を伴い、さらに前後バンパー部のアレンジも行われている。「この作例を参考に皆さんも500Eを作ってみてください!」などと言えるほど易しいものではないが、その工作には色々な意味で参考になる部分が多いはずであるから、工作中の写真に付したキャプションをじっくりとお読みいただければ幸いである。

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