2018年の年の瀬、雪道を求めて東京を発った。目指すは北海道ニセコだ。走行距離ほぼ1000km。ボルボの最小SUV、XC40 T4は適度なパワーと優れた4輪駆動制御で、ドライ路面も雪道でもファンな走りを楽しませてくれた。(Motor Magazine 2019年2月号より)
ボルボ XC40 AWDの雪道性能を試すべく北海道を目指す
ボルボ車に共通する魅力のひとつは、とても素直な走りだと思う。ガソリンでもディーゼルでもプラグインハイブリッドでも、それは同じだ。
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スペックよりリニアリティにこだわった扱いやすいエンジン特性や、アジリティの高さばかりを主張することのない適度に穏やかなハンドリングなど、ドライバーは妙な緊張感や気合いを強いられることがない。マイルーム感覚のキャビンと相まって、寛いだ気分で移動を楽しめる。
それは、今回の「北海道に雪道を探しに行こう!ただし自走で!!試乗会」(仮)の相棒、XC40 T4 AWDインスクリプションでも同様だ。東京から青森まで800km+青函連絡船4時間で全14時間ほどの旅は快適で、疲労も少なかった。
ただし本来の目的は到着翌日に開催される「XC40初雪体験会」(仮)。特設コースではない。自分たちで雪が降り積もっていそうなところを探すというちょっとしたミステリーツアーだ。
北海道出身のカメラマン氏のアドバイスを受けて目指したのは、ニセコスキー場の周辺だった。
ワインディグを走り回りながら見つけたのは、林間を縫う細い路地から始まる雪道だ。部分的には未舗装で雪の状態もシャーベットから圧雪、凍結状態と一定していない。奥まったところには舗装区画があったが、そちらは凍った根雪の上に軽く雪が被っている。
コンディション的には、クルマにとってもスタッドレスタイヤにとっても、相当シビアな「コース」だろう。しかしXC40は、気難しいシチュエーションでも、しっかりボルボらしい「素直な走り」を楽しませてくれたのだった。
ボルグワーナー社製の最新のAWDシステムが本領発揮
滑りやすい路面でも、加速することに関しては、ほぼクルマ任せでOKだ。右側が凍結気味、左側が水気の残るダートという路面で意地悪くゼロ発進からのフル加速を試してみたが、最新のボルボAWDに共通する「アクティブオンデマンド」テクノロジーは破綻をきたす気配がない。
無駄な空転は最小限で、4つのタイヤが瞬時にトラクションを最適に配分してくれる。本当のところは、ドライバーはただハンドルを握ってアクセルペダルを踏んでいるだけなのだけれど。そんなシーンが脳裏に浮かぶほどに、XC40の挙動は落ち着き払っていた。
搭載されているAWDシステムはボルグワーナー社製。同社はコンパクトで比較的車重も軽いXC40向けとして、新たに小型軽量なAWDカップリングを供給した。一体型ECUには最新の運動性能統合制御型ソフトウェアを搭載しており、レスポンスタイムはクラス最高を謳う。トルク制御の精度も高く瞬時に最適なトラクションを生み出すことで、高い安定性と優れたハンドリングを実現した。
凍結気味のコーナーなど十分に速度を落として進入していく場面でも、安定した減速感とスムーズなターンインが実感できる。巧みなAWDシステムとともに、スポーツモード付ESCやアドバンスト スタビリティ コントロール、コーナートラクションコントロールといったアシストが、フルに働いて安定感を高めている。
ボルボSUVラインナップの末っ子は、雪の道でも素直で扱いやすいボルボらしい魅力を堪能させてくれた。なりは小さくても、ドライバーへの優しさは兄貴分たちにまったく引けをとらない。(文:神原 久)
ボルボ XC40 T4 AWD インスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高=4425×1875×1660mm
●ホイールベース=2700mm
●車両重量=1670kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1968cc
●最高出力=190ps/4700rpm
●最大トルク=300Nm/1400-4000rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=4WD
●車両価格=499万円
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