現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > シーマ以上の衝撃デビュー!? 日産「インフィニティQ45」を振り返る

ここから本文です

シーマ以上の衝撃デビュー!? 日産「インフィニティQ45」を振り返る

掲載 更新 17
シーマ以上の衝撃デビュー!? 日産「インフィニティQ45」を振り返る

■日産のフラッグシップとして誕生した「インフィニティQ45」を振り返る

 1980年代の終わりに、日本は好景気に湧いていました。後にバブル景気と呼ばれ、当時は国民の中流意識が高まり、自動車市場では高額なモデルが続々と誕生した時期でもあります。

誰もが道を譲った!? バブル時代に憧れた極悪メルセデスとは

 そのバブル景気のピークだった1989年に、日産はアメリカで高級車ブランドの「インフィニティ」を立ち上げ、ホンダの「アキュラ」、トヨタの「レクサス」と覇権を争うことになります。

 そして同年、インフィニティのフラッグシップモデルとして「Q45」を発売し、日本でも1988年発売の初代「シーマ」よりもさらに上級のプレステージセダン、日産「インフィニティQ45」がデビュー。

 この、まさにバブルの申し子といえるインフィニティQ45について、振り返ります。

※ ※ ※

 インフィニティQ45は「ジャパンオリジナル」をコンセプトに開発され、従来の高級車像にとらわれない世界に通用する日本独自の価値を追及したセダンです。

 グリルレスとした独創的なフロントフェイスや、七宝焼きのエンブレムなど、日本の伝統工芸も採用されました。

 ボディサイズは全長5090mm×全幅1825mm×全高1435mmと、初代シーマの全長4890mm×全幅1770mm×全高1380mmより、ひとまわり大きく、特徴的なフロントフェイスと相まってワイド感が強調されています。

 全体のフォルムは2880mmのロングホイールベースにより、伸びやかで重厚感のあるサイドビューを演出。6ライトウインドウのキャビンを小さく見せることで、よりボディが大きく見えました。

 また、高級感を演出するために樹脂製が一般的だったドアハンドルをダイキャスト製とするなど、見た目だけでなく触れた時の印象にもこだわっています。

 搭載されたエンジンは新開発の4.5リッターV型8気筒DOHCで、最高出力は自主規制上限の280馬力を発揮。トランスミッションは4速ATのみで、駆動方式はFRの2WDです。

 足まわりには4輪ともマルチリンクが採用され、路面追従性に優れ、当然ながらスポーティさよりも乗り心地の良さを追求したセッティングとなっていました。

 さらに、市販車としては世界で初めて、油圧アクティブサスペンションをグレード別で設定。路面状況や速度、走行シーンに応じてアクティブにサスペンションのバネレートや減衰力を制御することで、高い走行安定性と乗り心地の良さを両立するなど、先進技術が搭載されています。

 内装ではシート生地にウールやレザーの素材が用意され、欧州の高級車のようなウッドパネルは使われることなく、あくまでも和にこだわった漆塗りのインパネをラインナップ。

 スイッチ類はしっとりとした操作感となっており、車載工具の品質にまでこだわるなど、フラッグシップにふさわしく入念につくりこまれています。

 そして、まさにバブルを象徴するようなオプションとして、52万円の18金製キーや、最高286万円のダイヤ入りキーが設定されるなど、贅の極みといえるクルマです。

 なお、1989年当時の新車価格(消費税含まず)は520万円から630万円と、シーマよりも平均150万円ほど高く設定されていました。

■大きなテコ入れがありながら終焉を迎える

 インフィニティQ45は、大きな変更が一度だけおこなわれています。それが1993年のマイナーチェンジで、フロントにメッキで加飾された小ぶりなグリルを装着。

 当初、個性的な高級車を目指して採用したグリルレスのフロントフェイスでしたが、日本で高級車を購入できるユーザーは比較的保守的とあって、インフィニティQ45のデザインには賛否両論ありました。

 そのため、フロントグリルが追加され、より高級車らしいデザインへと一新したということです。

 また、インフィニティQ45をベースとした派生車として、1990年に3代目「プレジデント」が登場。ホイールベースを150mm延長したロングホイールベース仕様も設定されました。

 外観ではインフィニティQ45に先駆けて荘厳なイメージのフロントグリルが装着され、内装もシルクウールのシートを標準装備。コノリーレザーのシートがオプションで設定され、室内の静粛性も向上するなど、生粋のショーファードリブンカーへと変貌しています。

 インフィニティQ45はほかにも装備の充実が図られるなどの改良がおこなわれましたが、一方で七宝焼のエンブレムの廃止といったコスト削減も図られるなど、この時から終焉に向けてのカウントダウンが始まったといえます。

 その後、バブル崩壊の余波もあって販売が低迷したため、インフィニティQ45は1997年に生産を終了。3代目シーマに統合されるかたちで、国内では一代限りで消滅してしまいました。

※ ※ ※

 シーマは高額な高級車でありながらも想定外にヒットしたことから、「シーマ現象」なる言葉が生まれ、後世でも語り継がれていますが、インフィニティQ45はそうした足跡を残すことなく消えてしまいました。

 日産は現在までインフィニティブランドを日本で展開していませんが、バブル崩壊がなければ、インフィニティQ45に続くモデルがあったかもしれません。

 しかし、インフィニティブランド成功の礎になったことは確かで、インフィニティQ45の存在は不可欠だったといえるでしょう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ポルシェと東大、教育の未来を探る「LEARN with Porsche」シンポジウム開催へ…2025年2月
ポルシェと東大、教育の未来を探る「LEARN with Porsche」シンポジウム開催へ…2025年2月
レスポンス
GSX750S用クラッチキット「ADVANTAGE FCC純正タイプ」がアドバンテージから発売!
GSX750S用クラッチキット「ADVANTAGE FCC純正タイプ」がアドバンテージから発売!
バイクブロス
W650/W800用「ADVANTAGE KYBビンテージタイプリアショック(削り出しボデー)」がアドバンテージから発売!
W650/W800用「ADVANTAGE KYBビンテージタイプリアショック(削り出しボデー)」がアドバンテージから発売!
バイクブロス
VW新型「パサート」は「世界最高級の実用車」!? 濃密なドライブフィールとフラットライドを兼ね備えたワゴンでした
VW新型「パサート」は「世界最高級の実用車」!? 濃密なドライブフィールとフラットライドを兼ね備えたワゴンでした
Auto Messe Web
2025最新版《シエンタ》ズバリ! “買い”のポイント
2025最新版《シエンタ》ズバリ! “買い”のポイント
グーネット
日産「新エクストレイルunwind concept」初公開! ブラウン外装が超カッコイイ! テラスも付いてる&ウッドなS字棚も設置で“超チル”な「カスタムモデル」登場
日産「新エクストレイルunwind concept」初公開! ブラウン外装が超カッコイイ! テラスも付いてる&ウッドなS字棚も設置で“超チル”な「カスタムモデル」登場
くるまのニュース
1000万円超えるか? トヨタ最大最強の四駆が競売に「滅多に出ない激レア車!」
1000万円超えるか? トヨタ最大最強の四駆が競売に「滅多に出ない激レア車!」
乗りものニュース
外環道「関越~東名」悲願の“トンネル掘進再開”どうなる!? 最新状況が発表 陥没地点の「地盤改良」完成まで「あと1年」
外環道「関越~東名」悲願の“トンネル掘進再開”どうなる!? 最新状況が発表 陥没地点の「地盤改良」完成まで「あと1年」
くるまのニュース
サンタがダッジ『チャージャー』でやってくる!? ステランティス、2万ドル分のおもちゃを寄付
サンタがダッジ『チャージャー』でやってくる!? ステランティス、2万ドル分のおもちゃを寄付
レスポンス
モデリスタがトヨタ「bZ4X」に斬新「近未来デザイン」に! 「CONCEPT ZERO」を初公開へ! ! BEVカスタム模索の「スタディモデル」 オートサロン2025でお披露目へ
モデリスタがトヨタ「bZ4X」に斬新「近未来デザイン」に! 「CONCEPT ZERO」を初公開へ! ! BEVカスタム模索の「スタディモデル」 オートサロン2025でお披露目へ
くるまのニュース
トヨタがTGMと組みSFで育成チームを新設! フェネストラズ、オサリバンらも加わり陣営は13台体制に|2025年TGR体制発表
トヨタがTGMと組みSFで育成チームを新設! フェネストラズ、オサリバンらも加わり陣営は13台体制に|2025年TGR体制発表
motorsport.com 日本版
日産『パトロール』が横浜ゴムの「GEOLANDAR X-CV」を新車装着
日産『パトロール』が横浜ゴムの「GEOLANDAR X-CV」を新車装着
レスポンス
【オーストラリア】トヨタ新型「ランドクルーザープラド」登場! カクカクボディ&「旧型デザイン」の「カカドゥ」がカッコイイ! 「Vアクティブテクノロジー」搭載!? 日本仕様と何が違う?
【オーストラリア】トヨタ新型「ランドクルーザープラド」登場! カクカクボディ&「旧型デザイン」の「カカドゥ」がカッコイイ! 「Vアクティブテクノロジー」搭載!? 日本仕様と何が違う?
くるまのニュース
お正月の“三が日”はどこに駐車すべき!? 東京都心でも“合法的”に「無料」で駐められることがある? その方法とは
お正月の“三が日”はどこに駐車すべき!? 東京都心でも“合法的”に「無料」で駐められることがある? その方法とは
VAGUE
都内のタクシーが変わる? 相乗りタクシー「GO SHUTTLE」が運賃50~60%オフを実現、ただし乗客トラブル&マナーなど課題山積か
都内のタクシーが変わる? 相乗りタクシー「GO SHUTTLE」が運賃50~60%オフを実現、ただし乗客トラブル&マナーなど課題山積か
Merkmal
ルーベンスの息子、エドゥアルド・バリチェロがWECデビュー。アストンマーティンでLMGT3参戦へ
ルーベンスの息子、エドゥアルド・バリチェロがWECデビュー。アストンマーティンでLMGT3参戦へ
AUTOSPORT web
やっぱ[SUV]は[マツダ]でしょ!! てか[現行]の[カタログ]見てもほぼ売れっ子だった件
やっぱ[SUV]は[マツダ]でしょ!! てか[現行]の[カタログ]見てもほぼ売れっ子だった件
ベストカーWeb
クルマ好き永遠の憧れ「速度無制限のアウトバーン」! 「速すぎて危なくない?」「いつでも全開走行?」ドイツ在住ジャーナリストが真実を語る!!
クルマ好き永遠の憧れ「速度無制限のアウトバーン」! 「速すぎて危なくない?」「いつでも全開走行?」ドイツ在住ジャーナリストが真実を語る!!
WEB CARTOP

みんなのコメント

17件
  • 今見ると分からなくもないデザインだけど、当時のセフィーロとかマキシマの延長線上のデザインに見えたからいまいちだった記憶がある。
    その点、プレジデントはうまくまとまっててカッコ良かった。
  • セルシオ(レクサス)と同時期に発売された。欧州的デザインのセルシオに対して、日本的なデザインのQ45。
    どちらも個性があって素晴らしいクルマだったが、Q45の和的なデザインに成熟したクルマ文化を感じた。日本が作り出したクルマだった。
    グリルレスの風貌は、神社仏閣を感じられて好きだった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

520.0630.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

100.0255.0万円

中古車を検索
インフイニティQ45の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

520.0630.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

100.0255.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村