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カウル補修やトップケース取り付けで悪戦苦闘! 90年代の隠れ名車「カワサキ ZZR600」リフレッシュ計画【第2話】

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カウル補修やトップケース取り付けで悪戦苦闘! 90年代の隠れ名車「カワサキ ZZR600」リフレッシュ計画【第2話】

再会したZZR600を再び自分仕様に!

90年代、世界最速の称号により大人気を博したカワサキ ZZR1100。同車の600cc版兄弟車といえるのがZZR600です。
この連載は、当時その魅力に魅せられ『モーターサイクリスト』誌でカスタムなどの連載記事を担当していた筆者が、盗難にあってしまった1号車を思い出しつつ、25年後に出会った2号車を自分仕様にリフレッシュさせていく過程を紹介するものです。
第2回目となる今回は、純正パーツの入手やトップケースの取り付け、カウル補修などについてレポートしていきます。

【画像ギャラリー23点】世界最速伝説を築いたカワサキZZRシリーズの系譜

スクリーンやマフラーは純正に戻すことに

中古で手に入れた2号車ですが、新車購入した1号車と違い、当然と言うべきか前所有者の好みや走り方の跡が見受けられました。

中古バイク屋さんから引き渡された際に聞いたところ、そのほかにもガソリンタンク内にサビがあったのでそれを落とし、車検取得の際にマフラーへ追加バッフルを入れたとのこと。
乗り出してみると、昔乗っていた1号機と比べ「ちょっと反応が鈍いなぁ」と思ったものの、とりあえず普通に走れる状態であるのはわかりました。

リヤサスがオーリンズになっていたのは得をした気分ですが、フロントカウルのスクリーンは全高が高く、かなり濃いスモークになっていたのが若干気になります……。

前回の記事で、(最初に乗ったZZR600)1号車はGIVI製のウィンドスクリーンに変更したことを書きましたが、上部リップが立った形状の大型タイプだったため、高速道路などでは風を受けにくく、とても楽でした。半面、走行風の巻き込みがあったり、雨天での視認性などはあまり好ましくなかったのも事実です。
高速道路を走行中に天候が急変する際など、カウリングに潜り込むような姿勢を取ることを考えると、スクリーンはやっぱり雨天に視認性にも優れる純正のクリアに戻しておこうかな、と。
なぜなら、純正スクリーンはライダーの体格に合った整流をしてくれるという意味で、良くできていたからです。

最高速テストやレースに出場した1号車

次はマフラーをどうするか?
その前に、時間を1993年頃に巻き戻して、昔乗っていた1号車の話を少しさせてください。

1号車を買ったばかりの時、私は「ZZR600ってどのくらいまで速度が出せるのかな? 」と思いました(きっと多くの人が自分のバイクで同じことを考えるのではないでしょうか)。
でも、ZZR600に関してそんなことを試した雑誌などはなかったため、私が当時担当していた『モーターサイクリスト』誌の連載記事でチャレンジすることに。
クルマやバイクの雑誌がよく車両性能を試すために使っていた谷田部(茨城県)にあるテストコースの高速周回路を使い、1号車の最高速度を計測したのです。

確か、メーカーが公表していた最高速度は248km/hだったと思いますが、レース仕様の集合マフラーや軽量化のおかげか、結果は光電管計測で253km/hをマーク!(車両のメーター読みでは270km/hを越えていましたから、メーター誤差はよく言われる10%前後だったと思います)。

他にも、1号車には様々な実験的なカスタムやチューニングを施しました。これは、谷田部のテストコースで最高速アタックに挑むという目的に加え「サンデーレースで走らせて、スーパースポーツとどのくらいやりあえるのか?」というのを探る目的もありました。
私自身、大昔はヤマハのXJ750EやスズキGS750で筑波のレースに参戦していましたが、ZZR600は設計年代も全く別物でしたし、レースでのポテンシャルを知りたいという好奇心がうずいたのです。

で、実際にレースに出走。筑波で開催されていた「グランドスラム4」というサンデーレース内の「ヒュージ&タイニィ」という、いわばどんなバイクもOKというバトルロイヤル的なクラスに参戦したのです(さらに細かく言うと、750までの「ヒュージ2」というクラスに出走しました)。

この時はマシンのパーツやセットアップなどで大阪のビート工業さんにかなりお世話になり、今でも感謝の想いでいっぱいです。

ZZR600純正マフラーはとうに絶版!

話を現代に戻すと、2号車についていたのは使い込まれたデビルの集合管。
私にとって集合マフラーはレースなど「チャレンジすること」に使いたい部品であることと、爆音という程ではないものの夜の住宅地では少々響く音量であるため、早く何とかしたいと思っていました。

そんなわけで、スクリーンとマフラーを純正に戻したかったのですが、どの年式までメーカーに発注可能なのか分かりません。そこで、自宅に近いショップ「カワサキプラザ松戸」を訪ねて、調べてもらうことに。結果、スクリーンはZZR400と共通のようなので、入手は問題なし。ただ、1993~1994年仕様の純正マフラーはとうに絶版になっていました。

辛うじて残っていたのは1999年式頃の最後期仕様で、価格は約8万円ほど。ただ、すぐポンと出せる金額ではなかったため、この時点でのマフラー発注は保留とさせていただきました。いつ売り切れちゃうか心配ですが……。

トップケースの台座をオリジナル加工

あと、入手したばかりの2号車に関して目立って変わっているところはというと、スチール製の社外リヤキャリアが付いていた点。近年、ツーリングだけでなく通勤などにも便利ということで、キャリア&トップケースを愛用している人は多いですよね(私のバイク仲間でも装着率はなかり高い)。

せっかくなのでこのキャリヤを利用しようと、別のバイクでも愛用しているSHADというメーカーの製品を購入しました。既に持っているものより一回り大きいサイズをネットで注文。ところが、いざトップケースを装着してみると、ライダーの乗車位置から随分後ろに付く感じになってしまう。

これでは「走りにも影響するのではないか?」と気になり、高速道路で試走してみたところ……見た感じどおり重心がかなり後方上部に移っている気がしたのに加え、整流も乱れる。そこで、できる範囲で対策してみることにしたのです。

問題となっているトランクとライダーの距離を縮めるべく、タンデムシート後部のグラブレールを削ってしまえ! とも思ったのですが、希少なオリジナル部品は保管しておくことにして、兄弟車であるZZR400用の中古部品を安く入手して加工することに。グラブレールをくびれた形状にすることで、トップケースの台座を今より前方に装着できるようにしようと考えたのです。

早速、ZZR400用グラブレールの塗装を剥離し、後部を電動工具で曲線的に削りこんでいきます。

ディスクサンダーで一気にやると削り過ぎそうで心配だったため、ベルトサンダーとポリッシャーでジワジワと根気よく削り、最後はピカピカに磨いてできあがり。

ひたすら根気の要る作業の結果、台座の前進が可能となりトップケースを5cmほど前進させることができました。かなり時間はかかりましたが、こうした自分仕様への過程、嫌いじゃないですね(笑)。

装着されていたリヤキャリヤを使う場合、ノーマルの荷掛けフックは取り付けボルトに入れ替わるため使用できないのですが、手に入るうちに純正の荷掛けフックも新品を入手しておきました(先々、キャリヤを外してスタンダードの姿に戻したくなることもあるかもしれないし)。

しかし、トップケースを使わずに近所で買い物する程度の場合、荷掛けフックはあったらあったで便利です。
というわけで、コチラも手を加えてしまいました。キャリヤの途中に荷掛けフックを溶接して追加。この作業は他の愛車のカスタムでも何かとお世話になっている葛飾区堀切の狩野溶接さん(とにかくバイク好き!)にお願いしました。

オーリンズのリヤサスも自分好みにセッティング

装着されていたオーリンズのリヤサスは、ほとんど調整などは行っていなかった模様。
プリロードは緩く、戻り側の減衰調整も締められていない感じで、ビヨンビヨンと緩やかにバネで衝撃を緩和しているような動き。ゆっくり走る分には乗り心地はいいのですが、少しペースを上げるとギャップ通過後にリヤタイヤが路面を叩き始めるような動きが出てきます。

そこで、プリロードをひとまず2回転締めで反力をもたせ、戻り側のダイヤルが3クリック程の締め具合だったのを一旦全部緩めて、改めて適切な締め具合を探りながら試走を繰り返してみました。
現状、街中での使用では14クリック締めあたりがちょうどいい印象。ギャップ通過後のリヤの収まりが格段によくなりました。せっかく調整機構のある高性能サスペンションなので、使用条件にあわせてセッティングしてあげれば、より性能が引き出せますしね(この時は圧側ダンピング調整は、そのままにしておきました)。

タイヤはライフが長いブリヂストンのツーリングタイプに

タイヤも偏摩耗している感じがあったので、リフレッシュ。
純正タイヤはブリヂストンのBT50でしたが、技術進歩している最新のタイヤならツーリング系タイヤでもで快適かつ十分スポーティに走れるのでは? と思い選んだのが、ブリヂストンのスポーツツーリングT31。
1号機の時は、ミシュラン・パイロットレースなどスポーツ志向の高性能タイヤも使っていましたが、そういったタイプはライフが比較的短いのが常。走行距離に対する出費を考えると街乗り&ツーリングメインで考えている2号車には少々痛いため、ライフが長いツーリング系タイヤを装着しました。

T31は特にウエット性能を重視したタイヤとのことですが、ドライの印象もかつての純正タイヤBT50よりいい。さらに、ハンドリングも素直なクイックさが加わったというか、少し現代のスポーツバイク風なったような??

カウルの補修も大変だけど楽しい!

こうした大物パーツの交換や作業の合間に、前オーナーによるカウルの転倒キズの修復もせっせと行っておりました。中性洗剤でまる洗いしたうえに、クリーナーで完全に脱脂してからパテ埋め。
アッパーカウルのバイオレットを全塗装するのはさすがに大変過ぎるため、とっておきの「Team38」(カワサキのテストライダーがレースを走る時のチーム名称)ステッカーをペタ。
ただし、シルバーの部分はしっかり塗装。時間はかかりましたが、これでパッと見、傷などは目立たなくなりました。

新車で購入した当時を思い出しつつも、次第に自分仕様にしてゆく作業。盗難で失われた1号車でできなかったことも含め、愉快な作業です。
ただ、想定外の不具合がこのあと徐々に露見するとは、この頃予想もしていませんでした……(続く)。

レポート●小見哲彦 編集●平塚直樹

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