本シリーズ初の輸入クラシックカー、アルファ ロメオ ジュリエッタに試乗
旧車好きな20歳の女性レーシングドライバー佐々木藍咲(ささき らみ)選手に、さまざまな旧車に試乗してもらって今どきの若者目線の素直なインプレをお届けする企画。今回は、長野県佐久穂町の「エンドレス130コレクション」の協力のもと、本連載初の輸入車である1959年式アルファ ロメオ「ジュリエッタ スパイダー」に乗ってみました。
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エンドレス130コレクションで動態保存されるフルレストア車両
2004年生まれの佐々木藍咲さんは、2023年に女性だけのモータースポーツカテゴリー「KYOJO CUP」でレースデビューした女性ドライバーだ。プライベートでも大のクルマ好き、しかもとくに旧車が好きとのこと。旧車ショップのツーリングに参加したり、KYOJO CUPのパドックエリアで開催されているイベントのひとつである旧車同乗試乗会にコッソリ(?)参加したりしているほどだ。
今回は「エンドレス130コレクション」の展示車両であるアルファ ロメオ「ジュリエッタ スパイダー」に試乗してもらった。この車両は2015年1月の東京オートサロンに展示するためにエンドレスがフルレストアしたものだ。もともとサビが多く、ボディもボルトも簡単に折れてしまうような個体であったが、エンドレス創業者である故・花里 功会長の情熱とネットワークによって見事に蘇ったのである。
いたる所にちりばめられたイタリアン・デザインが可愛い!
国産旧車へは馴染みがある佐々木さんだが、輸入車はあまり知らないとのこと。そんな佐々木さんでも、一発で分かるアルファ ロメオらしさを外観から感じ取ったようだ。
「この盾みたいなフロントグリルを見るとアルファ ロメオだなって感じですね! そしてこのグリルからヒゲのように伸びるメッキのデザインが可愛いです。リアから見た全体的な雰囲気は、なんだかSR311のダットサン フェアレディに似ていますね」
ダットサン フェアレディと共通の雰囲気を感じ取るするあたり、さすが旧車好きの佐々木さんだ。ただ、佐々木さんはインテリアの方が気に入ったようだ。
「見てください! このメーターめちゃめちゃ可愛くないですか!? 手書き感のある字が良いですね。あとステッキ式のサイドブレーキが、ホントにステッキみたいな形状をしているのもなんだかロマンです! 持ちやすいのもいいです。あとこのシート、座り心地いいですけど、これってオリジナルなんですか?」
佐々木さんが好印象を受けたシートは、じつはBRIDE製。これは型から作り直されたワンオフ品で、2015年の東京オートサロン搬入日に取り付けられたものだ。パールホワイト×レッド内装という組み合わせは故・花里会長のこだわりだ。
生まれて初めて左ハンドルを運転……
この企画を通してさまざまな旧車に試乗してきた佐々木さん。レースでもレースデビューを果たしたVITA以外のマシンに乗る機会も増えてきているそうだが、じつはこの日が「初めて左ハンドルを運転する日」となった。
「そっか! 左ハンドル! 輸入車だから当然と言えば当然ですね……乗れるかな……」
そう言いながら佐々木さんはクラッチミートをして、ジュリエッタ スパイダーを発進させた。走り始めは少し戸惑っている様子であった。
「うぉぉ! クラッチが重たい! あと下はトルクが薄くて発進が難しい! それとオルガンペダルの形状が独特で、上に少し持ち上がりながら動くペダルの動きが慣れないですね……。それとブレーキも重たくて、初期は効きづらくて奥で効くので慣れが必要ですね」
なお、「奥で効く」と佐々木さんがコメントしていたブレーキ、試乗後に130コレクションで聞いてみたところ彼女のコメントは正解で、今回装着されていたパッドの特性的に奥で効くタイプとのこと。キャリパーはワンオフ品でローターはCMC(セラミック基複合材料)製、サスペンションもワンオフ品の「Function.com」で、エンドレススペシャルな足まわりとなっている。
「足まわりは想像以上にしっかりしている感じです! 不安定な雰囲気がないし、ハンドルが取られない、どこにも飛んでいかないって感じです。それなのに乗り心地がしっとりとしているのが驚きです。でもステアリングはリニアじゃないというか、インフォメーションが遅れてくる感じで、少し不安感がありますね」
思えばこの時代のステアリング機構は現代の主流のラック&ピニオンではなく、ボールジョイント式。佐々木さんがステアリングフィールに不安感を覚えるのも無理はないだろう。
「高回転域が楽しいエンジンフィーリングです」
少し時間が経過して慣れてくると、佐々木さんはアルファ ロメオらしさを楽しんでいる様子だった。
「4500rpmから上がパーンと気持ちよく回る感じですね! イタリア車らしい? のかな? そんな軽快で乾いたサウンドで上が回ってくれるので、高回転域がとても楽しいエンジンフィーリングです」
よく、アルファ ロメオを始めとしたイタリア車は、そのフィーリングが「官能的」と言われることが多いが、佐々木さんもそれを体感したのだろうか。
なお、最初戸惑っていた左ハンドルだが、「シフトが右側ってことはVITAと同じですね!」とすっかり慣れた様子であった。現在KYOJO CUPで使われているVITAはフォーミュラカーと同じく、ドライバーをセンターに置いて右手でシフト操作を行うというレイアウト。そんなマシンでレースしている佐々木さんが、左ハンドルに慣れるか否かの心配は、する必要がなかったということだろう。
佐々木藍咲選手のアルファ ロメオ ジュリエッタ スパイダー 〇と×
好きなポイントは?
「手書き感のあるメーターがオシャレで可愛い! あと、メーターに書かれた文字もイタリア語……? なんですかね?」(編集部注:イタリア語です)
マイナスポイントはある?
「重たいけどリニアじゃないステアリングフィールかな」
佐々木藍咲選手とは
佐々木藍咲さんは富士スピードウェイで開催されている女性だけのモータースポーツカテゴリー「KYOJO CUP」で2023年シーズンに4輪レースデビューした、2004年生まれの若手女性レーシングドライバー。2024年10月6日のRd5では予選7位、決勝7位に。上位陣はフォーミュラでのレース経験もある強豪揃いなので、成長を感じさせるシーズンとなっている。また、今シーズンはGR86/BRZ Cupクラブマンシリーズにもスポット参戦。7月13日~14日に開催された富士ラウンドでは初参戦ながら予選44位、決勝37位で無事に完走するとともに、ルーキー賞を受賞した。次戦は11月23日(土)~24日(日)にモビリティリゾートもてぎでGR86/BRZ CUP第7戦に出走予定となっている。
レーシングドライバーとして活動しながら、普段はフォーミュラドリフトジャパンを運営する会社である「MSC株式会社」に勤めていて、公私ともにクルマ漬けの生活を送っている。
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みんなのコメント
この頃の若い者は海外旅行にでも行かない限り、左ハンドルに触れる機会など無いわなあ。
そう考えると右に乗るか左か
そんなのすぐ慣れるし 右シフト 左足ブレーキも 出来ない事がワカランし