アウトドア派なら一度は憧れるだろうピックアップトラック。日本で新車が買えるのは、しばらくの間トヨタのハイラックスのみだったが、2021年11月からジープがグラディエーターの受注を開始。その後3カ月間で特別価格での生産分400台が完売となった。
さらに、2022年3月に行われたアウディ年次決算報告会で、CEOが新型ピックアップトラックの販売について「約束はできないが、検討はしている」と話したり、国内メーカーでは三菱自動車がタイにおけるラリーアート特別仕様車の第2弾「トライトン ラリーアート(ダブルキャブ)」をバンコク国際モーターショー2022でお披露目するなど、世界的には注目度の高いピックアップトラック。
復権の兆しあり? 今、世界ではピックアップトラックが絶好調!!
しかし、日本での人気はイマイチ……。では、今後日本にもブームが訪れる可能性はあるのだろうか? 世界のピックアップトラック市場の現状と、日本で所有するメリットとデメリットを検証してみよう。
文/中村秋子、写真/スズキ、トヨタ、日産、三菱、Jeep、FavCars.com、NetCarShow.com、Newspress UK、Newspress USA
日本でもピックアップトラック復権の兆しあり?
ピックアップトラックは世界中で大活躍。写真はコスタリカで使用されているランドクルーザー70系のピックアップトラック
ピックアップトラックとは、運転席の後部に開放式の荷台を持つクルマのこと。米国で人気のピックアップトラックのほとんどがフルサイズだが、サイズもエンジンパワーもやや小さめのミドルサイズ、あるいはフルよりもさらにパワフルで大きい、ヘビーデューティと呼ばれるものもある。また、荷台の長さやキャビン内の後部座席のありなしなど、ライフスタイルに合わせて選べるのもピックアップトラックの特徴だ。
農業での利用がメインではあったものの、日本でも1970年代まではほとんどのメーカーがピックアップトラックを生産していた。しかしその後は車体価格や税金が安い軽トラックの需要が増すなどの影響もあり、2000年代以降、国内販売されているモデルはごくわずかとなってしまっている。
唯一新車で購入できる国産モデルが2017年から販売が再開されたトヨタのハイラックスで、レジャーシーンでの利用を目的に、若年層を中心に支持を得ている。さらに前述のとおり、2021年11月にはジープが日本の正規ディーラーの受注を開始し、3カ月間で400台が完売となったことで話題を集めた。こういたことから、世界的に見ると日本のピックアップトラックの市場規模は小さいものの、コアなユーザーが徐々に増えていることは間違いないだろう。
世界ではピックアップトラックが覇権を握る国も
中国ではピックアップトラック市場が活況を呈しつつあり、中国メーカーも続々と新型モデルをリリースしている。写真は、2021年の上海モーターショーでお披露目された長城汽車(Great Wall Motor)のPoer Baja Snake pickup truck
ピックアップトラックは商用車扱いであるため、各国で条件は異なるものの税制優遇措置がとられている。このことはピックアップトラックが人気を博する要因のひとつだろう。また、需要が伸びている国に共通しているのは、ガソリンが比較的安く、国土が広いという点だ。
なかでも需要が高い米国では2020年に続き、2021年の年間自動車新車販売台数ランキングでもトップ3にピックアップトラックがランクイン。仕事でも使えて、大人4人が快適に乗車できる車種もあることから、1台2役のクルマとして重宝されている。
その他、カナダやニュージーランド、中東や南アフリカ、東南アジアでの需要も引き続き高いなか、米国に次ぐ勢いで販売台数を大きく伸ばしているのが、中国だという。
昨今のアウトドアブームは中国にも同様に巻き起こっていて、海外旅行が規制されるコロナ渦で、国内でレジャーを楽しむ富裕層のなかで需要が急激に高まったようだ。そこに着目した中国メーカーも参入し、続々と新型ピックアップトラックを生産、販売している。
世界ではどんなピップアップトラックが売れている?
不動のNo.1はフォードFシリーズ。現在の主力モデルはF-150(エフ・ワンフィフティ)。全長5890mm×全幅2004mm×全高1961mmと超ビッグサイズ
米国Focus2Moveによれば、2021年世界で最も売れたピックアップトラックの第1位は、不動の人気を誇るフォードのFシリーズだった。2位が、ラム ピックアップ、3位がシボレーのシルバラードそして4位にトヨタのハイラックスがランクイン。フォードのFシリーズは米国とカナダが総売上の98%を占めているなか、ハイラックスは全世界約140カ国に市場が分散していて、特にアフリカや南米、中東を中心に販売台数を伸ばしているという。
第5位はフォード レンジャー、6位はGMC シエラ、7位はトヨタ タコマ、8位いすゞ D-Max、9位グレートウォール・ウィングル5、10位フィアット ストラーダとなっている。
第1位のFシリーズはこの40年間第1位に君臨し続けており、2022年米国ミシガン州ディアボーンにあるフォードの生産工場において、累計4000万台目のFシリーズが生産されたと発表した。EVバージョンも2021年に他メーカーより一足先に生産を開始し、電動化の面でも市場を牽引している。
日本で所有するメリット・デメリットと今後の普及の可能性
ミドルサイズスポーツユーティリティトラックに分類されるホンダ リッジライン。とはいえ、全長5335mm×全幅1995mm×全高1785mmとデカい!
実は、1970年代頃までは日本でもピックアップトラックの生産は盛んで、トヨタのクラウンやマークIIをベースとしたセダンのような快適な乗り心地を兼ね備えた上級モデルも存在していた。ただその理由として、この頃はまだクルマが高額で、何台も所有して用途によって使い分けられるような時代ではなかったことが挙げられる。仕事でもプライベートでも使える1台2役が望まれる世の中だったのだ。
しかし、その後ライトバンや軽トラックなどクルマのラインナップが拡充し、さらには職業職種、給与水準の変化したことも影響し、ピックアップトラックの需要は減少の一途をたどり、遂に日本で新車が購入可能な車種は、トヨタのハイラックスと、2021年に販売を開始したジープのグラディエーターのみとなってしまった。
もちろん昨今のアウトドアブームでピックアップトラックへの注目も再燃し、じわじわりと売れていると耳にはするものの、まだまだ日本で所有するにはハードルが高いのが現実だ。
ハードルのひとつは、ピックアップトラックは中型車扱いで、1ナンバーの貨物車登録となる。そのため、乗用車に比べ自動車税や重量税は少し安いものの、2度目の車検以降は1年に1回受けなければならないうえ、保険料や高速料金がやや高めという点。特に、高速では中型車の場合休日割引の対象外となるため、レジャー目的で購入した場合にはそこでも費用がかさむ……。
さらには米国ではコンパクトサイズと表現されるトヨタのハイラックスやホンダのリッジラインでさえ全長は5m超え。小道が多く、駐車場が狭い日本では、どうしても不便を感じるシーンが多いこともハードルとなっている。
「どこへ行こう、どう使おう」といったワクワク感や、体験的価値の提供、所有欲をくすぐるビジュアルのインパクトは本当に素晴らしいクルマだが、日本の道路事情などを考えると大ブームが到来する可能性は低いのかもしれない……。しかし、微弱ながらも追い風は吹いている! ピックアップトラックの動向から今後も目が離せそうにない。
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