新車試乗レポート [2023.03.07 UP]
フォレスターの雪道性能を公道試乗!STIスポーツの走りの実力とは
スバル車の大きな特徴はやはり機能性の高さにある。水平対向エンジンとシンメトリカルAWDがもたらす安定感溢れる走りは、とくに低μな雪道などではほかでは得られない恩恵をもたらす。その実力をリアルワールドで体感すべく、冬の会津に出かけてみた。
スバルフォレスター アウトドア仕様の特別仕様車「XTエディション」発表
●文:山本 シンヤ ●写真:澤田 和久
頼れる雪国総合性能! SUBARU フォレスターで巡る冬の会津
行程は「恵比寿~会津若松“東川温泉”」
一泊二日のウインタードライブ約650km
東京・恵比寿のSUBARU本社から福島・会津若松にある東川温泉を往復。猪苗代湖なども巡る約650kmのコースを走った。高速道路が主体となるが、一般道やワインディングロードなども含んだ多彩な路面でフォレスターの実力を確かめてみた。
SUBARU フォレスター
●発表(最新改良):'18年6月('22年8月)
●価格:299万2000~363万円
●問い合わせ先:0120-052215(SUBARUお客様センター)
頼れる!安心!どこでも行ける! SUBARUの魅力がギュッと詰まった フォレスターのベストモデルだ
フォレスター STIスポーツ
価格:363万円 ●ボディカラー:アイスシルバー・メタリック ※試乗車はスタッドレスタイヤとメーカーOP(アイサイトセイフティプラス【視界拡張】:6万6000円、パワーリヤゲート:5万5000円)を装着しています。
■主要諸元 STIスポーツ(4WD)
●全長×全幅×全高(mm):640×1815×1715 ●ホイールベース(mm):2670 ●トレッド前/後(mm):1565/1570 ●地上最低高:(mm)220 ●車両重量(kg):1580 ※メーカーOP装着 ●パワーユニット:1.795cc水平対向4気筒(最高出力:177PS/5200~5600rpm、最大トルク:30.6kg・m/1600~3600rpm) ●トランスミッション:CVT(リニアトロニック・マニュアルモード付)●WLTCモード燃料消費率総合(km/ℓ):13.6【市街地モード:10.3、郊外モード:14.3、高速道路モード:15.2】 ●燃料タンク(ℓ):63(レギュラー) ●サスペンション前/後:ストラット式/ダブルウィッシュボーン式 ●ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク●最小回転半径(m):5.4 ●タイヤサイズ:225/55R18 ※試乗車はスタッドレスタイヤを装着しています。
試乗車のSTIスポーツは最新の1.8ℓターボを搭載。程よくスポーティでモデルの性格にも似合いのパワートレーンだ。ドライな舗装路面はもちろん、滑りやすい雪道でも扱いやすかった。
スバルらしさが凝縮!
フォレスターのベストだ
スバルの雪上試乗はリアルワールドにこだわる。その理由は雪国の日常移動を体験することで、スバルが提唱する「安心と愉しさ」を「一般ユーザーはどこから感じているのか?」を知ってもらいたいからだ。そこで今回はスバル本社(東京・恵比寿)から福島・会津まで往復約650kmをフォレスターに追加されたSTIスポーツで出かけてみた。
STIスポーツはスバルとSTI社の共同開発で生まれた量産コンプリートモデルで、専用の内外装コーディネートとシャシーチューニングが特徴だ。すでにスバルの主要モデルに展開され好評を得ているが、このフォレスターで初のSUVモデルへの設定となる。
一般道から首都高速に入る。首都高速はツイスティなコーナーが連続するがノーマルとは異なるフットワークに驚く。専用セットアップのサスペンションの効果は絶大で、操舵に対してスッとノーズがインを向く回頭性とロールを抑えられた旋回姿勢などはフォレスターであることを忘れるレベルだ。欲を言えばステア系の切り始めがシャキッとすると操舵の連続性が高まるが、STIが用意するアドオンのフレキシブル系補剛パーツの追加で解決するはずだ。
東北道は進化したステレオカメラを活用したアイサイト・ツーリングアシストを試す。従来でも大きな不満はなかったが、新型のそれは「より滑らかな」、「より自然な」ACC&ステア制御で、道路環境が複雑かつ路面が時々刻々と変わる状況でも安心した支援を行なう。昨今、運転支援デバイスはデフォルト装備となりつつあるが、スバルのそれは信頼性が高く、より積極的に使いたくなる。
インターを降り、一般道を走る。1.8ℓ直噴ターボ「CB18」は十分なパフォーマンスを持っているが、ストップ&ゴーや再加速の際にアクセルに対するツキの悪さは最新エンジンとしては少々気になる所だ。燃費も高速道路メインで13~14km/ℓともう少し伸びてほしいのが本音だ。この辺りは電動化技術との組み合わせでカバーできそうな気がするが、e-BOXERがNAエンジンのみの設定なのは残念なところ……。
宿泊先に向かう山道を登ると景色は次第に変わりはじめ、路面状況はドライ、ウエット、シャーベット、圧雪とあらゆる顔を出す上に道幅も狭くなっていく。普通なら緊張感が高まるのだが、なぜかフォレスターだと「絶対大丈夫!!」と確信できる何かがある。それは何だろうか? 常時四駆にこだわった「AWD」やシンメトリカルレイアウトをより活かす「スバルグローバルプラットフォーム」、220mmの最低地上高などの基本素性の良さもあるが、それに加えて「視界の良さ」も大きい。
スバルのクルマは前後左右どの窓からも1m程度の高さの物が視認できるように設計視界を妨げない位置にピラーが配置され、内側から見た時に実際よりも細く見えるような工夫も。更に装備面でもワイパー払拭面積の大きさやワイパーデアイサーも用意される。
要するに「周りの状況が解りやすい」、「クルマの四隅が把握しやすい」は、スバル車では欠かせない性能であり、そこにも徹底したこだわりがあるのだ。最近は視界をサポートするアイテムも多いが、直接視界に勝るものはない。
また細かい話になるが、空調も足元を均等に素早く暖めるための工夫や面積拡大&即時に温かくするシート&ステアリングヒーターなど、普段は当たり前で気がつかないような機能・装備も過酷な状況では差が見えてくる。
そろそろ結論にいこう。STIスポーツは、「フォレスターらしさ」と「フォレスターらしからぬ」が上手にバランスされている。フォレスターのラインナップの中で最もスポーティなキャラクターなのは言うまでもないが、個人的には最も「マルチパフォーマンス」なフォレスターだと思っている。
機能性が凝縮! 周辺視界の良さにもこだわったグラスエリア
エクステリアはピアノブラックの加飾やスーパーブラックハイラスター塗装のアルミホイール、インテリアはブラック×ボルドーレッドのコーディネートでSTIスポーツの「スポーティ&プレミアム」を演出。フットワークは専用サスペンションで、フロントにメカニカルに減衰力を自動調整する日立アステモ製「SFRDダンパー」を採用する。最低地上高はノーマルと同じ220mmで、フォレスターのオフロード性能を一切損なわずにオンロード性能を引き上げる。
頼れる雪国総合性能! ただしパワトレに不満も……
フォレスターの強みはオンロード/オフロード性能のバランスがクラストップレベルで、STIスポーツはそれに「SUVを感じさせない意のままの走り」をプラス。デビューから5年が経過し、次期モデルのウワサも聞こえるものの、総合力の高さは最新のライバルと比べても負けていない。ただ、パワートレーンは大きな課題の一つでe-BOXERは残念ながら力不足……。一刻も早いストロングハイブリッドの投入を期待したい。
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