シルビア専門ショップが提案するストリートスペックに注目!
エンジンはピックアップ重視で足回りは弱オーバーがポイント
「シルビア専門ショップ直伝のS15公道最強スペック」純正よりも小さいタービンをセットする意味とは!?
千葉県のシルビア専門店“ガレージミラルダ”高島代表いわく、S15シルビアでワインディングを楽しく走るマシンメイクのポイントは大きく3つに分けられるという。まずひとつは「車高や減衰力のセッティングで弱オーバーの挙動を目指す」というものだ。
シルビアは初心者でもドリフトしやすいクルマであることからも分かるように、何も考えずにパーツを装着していくと、オーバーステア傾向が非常に強くなる。そのため、ステアリング特性は弱オーバー方向へ味付けし、リヤをごくわずかに流しながら、アクセルコントロールでコーナーを曲がっていけるようなマシンメイクを目指したい。
それを実現するために重要な足回りは、ガレージミラルダ独自の減衰力セッティングが施された車高調を軸に構築(テイン製ベース)。このダンパーは基本的には縮み側の減衰力を弱く、伸び側の減衰力は強く設定している。また、トラクション性能を高めて荷重移動をしやすくするために、スプリングレートはフロント7kg/mm、リヤ5kg/mmと柔らかめでセットアップ。
リヤには調整式アームを導入して、キャンバー角をネガ0.5~1度くらいに合わせるのがベター。この車両はユーラスのパイナップルで、リヤのサスメンバー取り付け角を前傾にしてトラクション性を高めている点も見逃せない。
ボディ剛性とその前後バランスもステアリング特性に影響を与える。絶対的なボディ剛性はS15が優れているが、前後バランスではS14がベストに近いというのが高島代表の見解。安易に剛性アップパーツを追加するとバランスが崩れることもあるため、このS15はあえて補強パーツを装着していない。
ワイドフェンダーを装着することで、タイヤ幅&トレッドを広げコーナリングスピードを高める。車高は高めに設定し、サスペンションアームを適切な角度で稼働させるようにセットアップ。LSDにはATSのカーボンスペック3(2WAY)を奢る。
ホイールはエンケイRSM9(F8.0J×18 R9.0J×18)で、タイヤはフロントがファルケンRT615K(225/40-18)、リヤはグッドイヤーレブスペック(235/40-18)をセットする。ちなみにドリフトも行うため、フロントナックルは3UPのタイプ2で切れ角アップ済みだ。
ふたつ目のポイントは「タービンは大きくせずにレスポンス良く立ち上がるトルク」だ。エンジンの出力特性については、唐突なトルク変動は扱いにくさに直結するため、できるだけフラットにトルクが立ち上がる特性が望ましい。この車両は、東名パワードのポンカムでエンジンの基本的な充填効率を高めながら、あえてS15純正よりも少しサイズが小さいS14純正タービンを装着。2500rpm付近でも鋭くブーストが立ち上がるので、常にターボパワーを感じながら走ることができるのだ。
そうしてハイレスポンス型に仕上げたエンジンに、HPIの6速クロスミッションを組み合わさせることで、加速の途切れない走りも実現。308psと聞くと“それだけ?”と思うかも知れないが、実際このクルマで走ると相当速いことに驚かされる。
3つ目のポイントは「インタークーラーを損傷しても自走で帰れること」というもの。具体的にはパワーFCによるエアフロレス化だ。前置きインタークーラーを装着している車両では、フロントからクラッシュすると高確率でパイピングかコアを破損してエア漏れを起こす。
その際、純正のエアフロ方式だと、エンジンに入る空気量をエアフロが正確に測れなくなりエンジンはストールしてしまう。一方のエアフロレス仕様なら、エンジンのフケには影響せず問題なく走ることができるからだ。
もちろんエンジンのレスポンスも格段に向上するが、あくまでこのクルマにおいてはそれを狙ってのエアフロレス化ではない。ストリートスペックである以上、万が一のトラブルもしっかりと考慮した仕様であるべき、というのがミラルダ流のチューニング論というわけだ。
●取材協力:ガレージ ミラルダ 千葉県松戸市北松戸1-6-1-10 TEL:047-361-2422
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