相変わらずホンダ N-BOXが大きくリードする軽スーパーハイト市場。各社が追走するなか、2022年10月にダイハツタントがビッグマイナーチェンジするという情報が入った。
本格的に巻き返しを図る改良版ダイハツタントの予想される詳細をお届けする。
軽スーパーハイトの雄、タントが2022年10月にビッグマイチェン! ウェイク似の新シリーズ「ファンクロス」の設定で巻き返しへ!!
文/遠藤徹、ベストカーWeb編集部、写真/DAIHATSU、SUZUKI、HONDA、ベストカーWeb編集部
■新たにSUVテイストの「ファンクロス」を設定へ!
2022年10月にモデルチェンジを控えるダイハツ タント(写真は現行前期型)
ダイハツは2022年10月5日にもスーパーハイトの雄、タントをビッグマイナーチェンジし、巻き返しを本格化させる方針だ。
今回は現行モデル登場後3年以上が経過し、カスタムの外観変更、装備の充実、使い勝手の向上、新シリーズ「ファンクロス」の設定などの商品ラインナップ強化で反転攻勢をかけるのが狙い。
これまで標準とカスタムの2シリーズ構成だったのを、新たにSUVテイストの「ファンクロス」を加える。
これまで別バージョンとして背の高いSUVテイストの「ウェイク」を設定していたが、こちらを廃止し、これに近いコンセプトを持つファンクロスを新シリーズとして加えることで、タント全シリーズの底上げを目指す狙いがある。
ファンクロスの外観はウェイクによく似ている。全体を直線的なボディシェルとし、フロントは大きめの角型2灯式ヘッドランプと大型グリルで押し出しの効いた顔立ちで仕立てている。
ボディサイドは両側ドア下部に横長のサイドガーニッシュを走らせている。室内の内張もフルフラットシート、水はけのいいシート地でレジャー用品の積載性向上に配慮した材質を採用しいている。
■新型タントの詳細は
スポーティかつ押しの強い外装をまとったダイハツ タントカスタム(写真は現行前期型)。新型では外観が大幅に変更されるとみられている
パワーユニットは660ccNA&同ターボ、駆動方式は2WD、4WD、CVTとの組み合わせでこちらはタントシリーズと同じである。パーキングブレーキは全車プッシュ式の電子制御デバイスを採用している。グレード構成はNAがLとX、ターボはXで各々FF、4WD車を設定する。
従来シリーズは標準タイプだと外観面でほとんど変更がなかったが、スポーツ&上級バージョンの「カスタム」を大幅に変更する。フロントマスクからはメッキグリルがなくなり、人気の高いトヨタのアルファードのように大型台形グリルデザインでより高品質感と押し出しのよさを強調したマスクに変更する。
さらにボディサイドに走らせたサイドガーニッシュを廃止し、すっきり感を強調している。
室内はシート地を質感の高い材質に変えており、装備面ではナビ画面を従来のディスプレイオーディオの7~9インチに加えて10インチ以上の大型タイプも選べるようにする。プッシュ式の電子制御パーキングブレーキはこれまでのターボ車のみであったものを全車標準装備に拡大する。
車両本体価格は平均7万円程度のアップとなる。カスタムとファンクロスでは6万円ほどファンクロスのほうが安い。主に室内のシート地がカスタムのほうが質感の高い厚手の材質なのに対し、ファンクロスはフルフラットが可能なようにコストの安い薄手のものを採用しているためと思われる。
■新型タントについてダイハツディーラーは……
2022年8月に生産終了したダイハツ ウェイク。ダイハツ正規ディーラーでは廃止を惜しむ声もある
今回、首都圏にある正規ダイハツ店を回り、ビッグマイナーチェンジするタントシリーズの評価を聞くと、さまざまな見方をしていることが伺えた。
タント自体の商品ラインナップの期待度は高いが、その半面、SUVテイストを盛り込んだ「ウェイク」を廃止したことを惜しむ声があるのも事実である。
ウェイクは個性的なデザインで背が高く、室内が広くて使い勝手がよかったので、ユーザーからの引き合いは多かった面がある。タントのラインナップに組み入れるとタントのサイズで仕立てられるので、そのぶん室内が若干狭くなり、使い勝手が悪いのがネックとなる可能性がある。
メーカーサイドから見れば、タントのブランドパワーを活用し、シリーズ全体を底上げできるとの期待がある。逆にウェイクの存在がこれまで、タントの伸びの足かせになり、ライバルのN-BOX、スペーシアに水をあけられる要因になっている側面があった。
■軽スーパーハイトワゴンのシェア争いは新たな局面へ
軽スーパーハイトでN-BOXに続く売り上げを見せるスズキスペーシアギア
タントの今回の戦略はスペーシアに似ているともいえる。スペーシアは従来の標準、カスタムに加えてSUVテイストの「ギア」を上級バージョンに加えたことで、ラインナップを強化、タントを抜きN-BOXに次ぐ同クラス2位の座を確保した。
タントも今回のビッグマイナーチェンジを機に、同じようなファンクロスをラインナップに加えたと言えるだろう。
これによってタント、N-BOX、スペーシアの軽スーパーハイト市場のトップセールをめぐるシェア争いはまた新しい局面を迎えることになる。
■タントの巻き返しなるか!?
2022年7月にフルモデルチェンジしたダイハツ ムーヴキャンバス
しかしながら、現時点ではN-BOXが大きくリードしてタント、スペーシアの両雄を大きく引き離しているのが気になる。これは別のハイトワゴンで両側スライドドアである、ダイハツのムーヴキャンバスとスズキのワゴンRスマイルがあり、こちらにニーズが流れているという事実がある。
ダイハツにはもうひとつウェイクがあったが、これがタントの足かせになっていたので、これを廃止し、ファンクロスに切り替えたので、今後は多少タントの巻き返しが可能になるだろう。
ただ今度は7月にムーヴキャンバスがフルモデルチェンジし、ターボ仕様も加えたことによって、人気は大きく回復している。このことはダイハツにとっては痛しかゆしの側面がある。こちらの人気が上がるほど、同じ両側スライドドアのタントの伸びにブレーキがかかる恐れが充分にあるからだ。
したがって今後はN-BOXに対してはタントとムーヴキャンバス、スペーシアとワゴンRスマイルを加えた比較で論じる必要が生じることになるかもしれない。
■首都圏ディーラーで先行受注していたので見積もりを取ってきた!
見積もりを取ったのはマイチェン版タントの新モデル、ファンクロスのFFターボグレード(CVT)。その車両本体価格設定は標準モデルとカスタムモデルの中間といったところ
すでに8月中にダイハツディーラーではマイチェン版タントの受注を開始している。そこでベストカーWeb編集部員が見積もりを取りに、首都圏のダイハツディーラーへ行ってきた。
先行受注での見積もりではタブレットでマイチェン版タントの詳細に関してセールスマンから説明を受けた。
タブレットには各グレードの車両本体価格とボディカラー、設定オプションなどが明記されており、エクステリアデザインや室内の使い勝手などに関する動画でのアピールポイントについて丁寧に紹介された。が、一部のメーカーオプション設定などは詳細がまだ決まっていないところもあるとのことだった。
このタブレットで使われている簡易プレカタログは8月末には各ダイハツディーラーに配布され、ユーザーにも渡される予定だ。ディーラーでのセールスマン向け研修会をデビュー直前となる9月26日に予定しているのだという。
気になる納車は、現段階ですでにハンコを押せば年内に間に合うかどうかといったところだそうで、正式デビュー後の契約だと納車は2023年1月以降になるとのこと。10月5日のデビューを楽しみに待ちたい!
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みんなのコメント
最近、アトレーデッキバン気になります。
というか欲しい。
こういうニッチな車作り続けて欲しいですね。
あ、ですから...。
タント気になる方買ってくださいね!
ダイハツ潤わないとニッチな車作れなくなっちゃうんでw