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意外やガソリン車がHV車より「快音」で快適!? 新型ノア/ヴォクシー試乗でわかったこと

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意外やガソリン車がHV車より「快音」で快適!? 新型ノア/ヴォクシー試乗でわかったこと

 2022年1月13日に発売開始となった新型ノア/ヴォクシー。

 販売も好調のようで、販売目標台数はノアが8100台/月、ヴォクシーが5400台/月とのことだが、モデル廃止直前の2021年12月でも、ヴォクシーが6024台、ノアが3617台であることを考えれば、少なくともしばらくは目標を大幅に超える月が続くことだろう。

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 今回の新型ノア/ヴォクシーでは、エクステリアやインテリアも進化させ、痒い所に手が届く各種便利装備も満載されたほか、TNGAプラットフォーム(GA-C)を採用し、先進運転支援装備もてんこ盛りされ、ハイブリッドモデルではすべての電気モジュールが刷新された、とのことで、その進化を味わいたく、試乗の機会を楽しみにしていた。

 今回、新型ノア/ヴォクシーのガソリンモデル2WD、ハイブリッドは2WDとE-Four各々に公道試乗させていただくことができた。その様子をお伝えしよう。

文/吉川賢一、写真/西尾タクト

■ハイブリッドもガソリンも燃費はカテゴリートップ!!

 新型ノア/ヴォクシーのパワートレーンは、2L直列4気筒のダイナミックフォースエンジンと、1.8L直列4気筒エンジンと新開発の駆動用モーターとを組み合わせた新型ハイブリッドの2種類、各々に2WDと4WD(ハイブリッドはE-Four)が設定されている。

 2Lダイナミックフォースエンジンは、ハリアーやRAV4といったミドルクラスSUVにも搭載されている、やや上級仕様のエンジンだ。

 燃費は15.1km/L(WLTCモード、2WD仕様)と、ハイブリッドに比べれば劣るが、それでもクラストップレベルの低燃費となる。1.8Lエンジンとモーターの新世代ハイブリッドは、プリウスやカローラシリーズに搭載されているシステムを大幅改良したものだ。

 新規モーター、新規リチウムイオンバッテリー、新規パワーコントローラーと、すべての電動モジュールを刷新したことで、動力、レスポンス、静粛性、そしてクラストップレベルの23.4km/Lもの低燃費を実現するなど、すべてを進化させたという。

動力は103kW(140ps)の1.8Lハイブリッドと、125kW(170ps)の2Lガソリンを設定。どちらにも4WDが存在し、ハイブリッドだとリアに30kW(40ps)のモーターが追加

 このように、事前情報のスペック表では最高レベルを達成しており、試乗するのが楽しみであった。

■「ベストバランス」に仕上がっていたガソリン2WD

 まずは、ガソリンモデル、ヴォクシーの2WDに試乗した。登場当初はかなり衝撃をもって受け止めたフロントフェイスも、そろそろ見慣れてきた。ホワイトパールのボディ色と、ギラギラフェイスの組み合わせは眩しいが、テーマカラーであるマッシブグレーよりも清潔感があり、似合っているようにも感じる。

 タイヤは205/55R17サイズのトーヨータイヤPROXESを装着、切削光輝の専用ホイールもまた眩しい。一般道を30km/h程度で走行すると、路面凹凸からの振動が、それなりにフロアに伝わってくる。

全長×全幅×全高は4695mm×1730mm×1895mm(FF)で、新型ノアとヴォクシーは同一寸法だ。また、ホイールはS-ZのFFのみ17インチで、ほかは16インチとなる

 60km/hにまで速度を上げれば、振動はほとんど気にならなくなるが、見栄え重視の17インチ55扁平タイヤはややオーバースペックにも思える。「あたりの柔らかさ」を取るならば、16インチタイヤのほうがベターな選択だろう。

 その半面、60km/h程度の中速走行までのロードノイズは、至極静かだ。ボディの遮音がしっかりと効いており、無駄なノイズはキャビンへ入れ込まない、といったトヨタ車の考えが、存分に発揮されている。

 加速した時のエンジン音も、余計なエンジンノイズと言うよりも、聞かせるエンジンサウンドと表現したほうが適切かもしれないくらい、心地いいサウンドだ。

 高速道路走行は試せなかったが、凹凸のある一般道での直進性に関しては、不満はない。センタリング性が高く、適切な操舵力にセッティングされているEPSは、運転していて非常に楽だ。

 コーナーや交差点での身のこなしも、すっきりした運転感覚でとても好ましい。

 試乗したガソリン2WDモデルの重量が最も軽量(ハイブリッドは+50kg程度、4WDは+50kg程度)という影響も大きいだろう。価格も安く、誰が運転してもなじみやすい、ベストバランスな仕様だと感じた。

筆者が試乗してベストバランスと感じたのはガソリン2Lだったという。読者の皆様もぜひ試乗を!

 トヨタ車体車両実験部動性能開発室主査の兼子正人氏によると、「(車体の)リアゲートやサイドドアの開口部の剛性を高めて、車体を作り込んだうえで、サスをしっかりと動かしたかった」という。

 確かに、車体の堅牢感は感じる。接着車体までは踏み込まなかった(検討段階では試してみたそうだが、動きが機敏になり過ぎて不採用としたらしい)と言うが、最量販のミドルクラスミニバンも、クルマの作り方は、レクサスや高級車のそれに似てきているようだ。

■期待値が高いハイブリッドではあったが、気になる点も

 スペック上では最高レベルの出来と言えるハイブリッド車だが、もちろん素晴らしかったのだが、期待値が高かっただけに、残念に思ってしまった点もあった。

 ハイブリッドは、ノアの2WDに試乗した。装着していたタイヤは205/55R17のトーヨータイヤPROXESだ。発進時の静粛性(エンジンはオフ状態なので静かで当たり前だが)と加速の力強さは、非常にいい。

 乗り心地も、どっしりした印象となり、ガソリン車で感じた低速時のショックは、気にならなくなった。

 動力用リチウムイオンバッテリー(50~60kg)がフロアの低い位置へ積まれている分、車体が重くなったことも影響しているのだろう。ロードノイズも静かで快適だ。

「第3世代」だったハイブリッドシステムは新型で一気に「第5世代」にジャンプアップした。エンジンは第4世代流用だが、モーター側が進化している(E-Fourのリアモーター含)

 また、コーナー手前でアクセルオフした時に自動減速する「プロアクティブドライビングサポート」は、素晴らしかった。センサーが前方のコーナーを読み取って自動的に減速するので、アクセルとブレーキの踏み換えが少なくてすむ。

 ごく自然なフィーリングで制御が介入していたので、当初はまったく気がつかなかった。先進装備の恩恵を知らぬうちに享受していたようだ。

 E-Fourはヴォクシーで試乗。タイヤは205/60R16サイズだ。ハイブリッドE-Fourは、ハイブリッド2WDよりも更に重たさを感じる。まるで、アルファード/ヴェルファイアクラスのクルマを運転しているような鈍調さ、言い換えれば、重厚な乗り味だ。

E-Fourは純正装着タイヤが16インチのみとなっている。モデリスタやGRから18インチ仕様がアクセサリーで出されているので、大きいのが好きな人はそちらへ

 ハイブリッド車はボディが重い分、ガソリン車と比べてヒョコヒョコした乗り心地にならず、乗り心地はこのハイブリッドE-Fourが最も快適だろう。

 ただ、どちらも、加速のためにアクセルペダルを踏み込むと、1.8Lエンジンが盛大に唸りをあげるのは、ちょっと気になった。加速した時のエンジン音が、「ガーガー」という音質で、ややチープに聞こえる。

 2Lガソリンエンジン車のほうが、はるかに「快音」に聞こえた。

「ミドルサイズミニバンにそこまで求めなくても」といわれそうだが、ハイブリッドモデルよりも価格が安いガソリンモデルのほうが「音質がいい」というのはちょっと寂しい。

「いいクルマ」であることを感じるのは、ハンドリングや乗り心地よりも、NVH(騒音と振動)のよさだ。高いモデルのほうが、NVHで劣ってしまっているのは残念でならない。

 燃費効率、加速性能などの見える指標だと、新型ハイブリッドシステムは優れているが、「聞かせる音の作り込み」は、あと一歩、改善を期待したいところだ。

 ガソリン車に採用されている2Lダイナミックフォースエンジンと今作の新型ハイブリッドの組み合わせがあれば、「最高のハイブリッドユニット」になるように思うが、そうはできなかったのだろうか。

■今後のライバルが生半可だと、新型ノア/ヴォクに市場独占される可能性も

 代々成功をおさめてきたノア/ヴォクシーだが、今作では、企画・開発・生産のすべてをトヨタ車体が担当している。トヨタ車体の開発担当者によると、「失敗は絶対に許されない」と感じていたという。

 また、「やるならば、徹底的に打倒セレナ、打倒ステップワゴンをせよ」と、プレジデントからの指示もあったそうだ。全方位で進化し、先進装備はてんこ盛りとなったことで、従来型のステップワゴンやセレナは、もはやライバルともいえない。

「この手のミニバンは顔で選ぶ方が大半だ」と、開発責任者の水澗英紀チーフエンジニアは説明するが、新型ノア/ヴォクシーは、むしろ中身を抜かりなく、しかも、圧倒的な水準で作り込んできている。

 日産とホンダは、次期型セレナ、新型ステップワゴンで、この新型ノア/ヴォクシーにどこまで迫ることができるのか。生半可な改良では、Lサイズミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」のように、市場を独占されてしまう危険もある。

 日産もホンダも、売れ筋であるミドルサイズミニバン市場でそれをやられては、国内販売に大きなダメージを受けることになり、絶対に避けなければならない事態。まさに命がけで、取り組んでくるだろう。両モデルの今後の動向が非常に楽しみだ。

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