皆さん、こんにちは。自動車ライターの伊藤梓です。サマーブレイク直前の決戦である、ハンガリーGPがハンガロリンクで開催されました。今季のスケジュールは、全23戦(キャンセルを含めると8月19日現在で全21戦)なので、今回の11戦目で約半分が経過することになります。
そして、ハンガリーGPが終われば、F1は約1ヶ月の夏休み期間に突入。このサマーブレイク周辺では、来年の契約が決まったり、その反対に契約が継続できないドライバーも出てくるため、実は大切な期間となります。
「タイプS」の称号は「R」の廉価版ではない!! ホンダ初代NSXタイプSの意義と実力
文、イラスト/伊藤 梓、写真/HONDA
【画像ギャラリー】予選での疑惑と決勝での玉突き……レッドブル&メルセデスにハンガロリンクの女神が悪戯を仕掛けた!?
■予選から気合が入るフェルスタッペンに立ち塞がるハミルトン
まるでボウリングかビリヤードのようにレッドブルの2台にヒットしたスタート直後のクラッシュ。こんなことがあるのか、と筆者もボーゼン……
ハンガリーGPのフリー走行1回目(FP1)では、普段通り淡々と各チームがプログラムをこなしていく中、アルファタウリの角田裕毅選手がスピンしてしまいます。
幸いにも接触しなかったため、ホッと一息。と思いきや、数周後にまたもやスピン! 今度は止まりきれず、リア側からタイヤバリアに接触してしまいました。今回は、1回スピンして無事に済んだので、「これで路面のグリップも分かったので、もうスピンはしないだろう」と思っていた矢先に……。
これまであれだけ「序盤に無理するな」と言われてきたので、今回のクラッシュはさすがに擁護できないなと思いました。この影響で、FP2は3周しか走れず、FP3では周回数を重ねたものの、煮詰めきれていないように感じました。
そして、予選1回目のQ1。前回、ハミルトンと接触してリタイアしてしまったフェルスタッペンがトップを奪い取ります。「今回は絶対勝つ!」という気合いが透けて見えるよう。しかし、角田選手は、やはり練習不足のせいか16位で終了。残念ですが、気持ちを切り替えて決勝での活躍を期待するしかありません。
Q2では、決勝に備え、上位陣はミディアムタイヤが多めです。ミディアムタイヤでのアタックは、ハミルトンがトップタイムで、ソフトタイヤのフェラーリのルクレールを2位に挟み、フェルスタッペンが3位につけます。
これを見て、レッドブル陣営は、作戦を変更。2回目のアタックは、フェルスタッペンもペレスもソフトタイヤを履き、タイムを出しに行きます。ここでメルセデスと作戦を分ける決断をしたようです。
■予選タイムリミットが!! メルセデスが仕掛けたギリギリの頭脳戦
予選から気合がのっていたフェルスタッペンだが、メルセデスの作戦(?)によりタイムアタックが不発に終わり、決勝は3番手からのスタートとなった
そして、最終グリッドが決まるQ3。なんとここで大きな事件が発生!
1本目のアタックでは、フリー走行で好調だったメルセデス勢がワンツー、レッドブルはそれに続きます。フェルスタッペンは、メルセデスに0.5秒近く差をつけられているので、2アタック目ではなんとか近づきたいところ。
ところが、全車ピットアウトすると、もうQ3終了時間が近づいています。しかも悪いことに、レッドブルは全車の中で最後尾。そして、その目の前にはメルセデス。各車が間を開けてアタックに入る中、レッドブルはアタックに入れるかどうかの瀬戸際です。
目の前のハミルトンにぴったり付けていたフェルスタッペンは、なんとかアタックに入れましたが、なんとその後ろのペレスはチェッカーフラッグを振られ、アタックならず!
フェルスタッペンもハミルトンに引っかかってしまったこともあり、予選1位はハミルトン、2位はボッタス、3位フェルスタッペン、4位ペレスという結果になりました。これを受けて、客席からは大ブーイング。どうやら、意図的にメルセデスがレッドブルのアタックを妨害したと思った方も多くいたようです。
確かにハミルトンの2アタック目は、明らかに1アタック目よりタイムが遅く(約+1.7秒)、そう取られても仕方ないかもしれません。しかし、レッドブルのリリースする位置もタイミングが良くなかったのも事実。
個人的には、どちらが悪いとは言えないのではないかと思いました。真偽のほどは分かりませんが、これでメルセデスとレッドブルのファンの対立がより高まることに……。
■レッドブルにさらなる不運!! スタートの混乱での多重クラッシュ
決勝はウェットコンディションでスタート。レッドブルの2台は1周目のクラッシュに巻き込まれた。ペレスはリタイヤ、フェルスタッペンもポジションが上がらない
大ブーイングで幕を閉じた予選でしたが、決勝はなんと雨からのスタート。これは大波乱の予感です。ほぼ全車インターミディエイトタイヤでスタートの瞬間を待ち構えます。グリーフラングが振られた瞬間もまだ雨は降り続いていました。
ライトがブラックアウトすると、全車明らかにトラクションを失い、のろのろとした動き出しでスタート。
そこで特に遅かったのがメルセデスのボッタスです。その後ろにいたフェルスタッペンは、ボッタスを避けてハミルトンの後ろにつきました。ボッタスはそのままスピードが乗らず、6番手にいたマクラーレンのノリスにも抜かれてしまいます。
これでボッタスは焦ったのか、1コーナーで完全にタイヤをロックさせ、目の間のノリスに追突。そして、弾き飛ばされたノリスがフェルスタッペンにぶつかり、ボッタス自体はペレスに直撃。なんとここでレッドブルは2台とも大ダメージを追ってコースアウト!
ペレスはリタイアにに追い込まれ、フェルスタッペンもフロアまわりにダメージを負い、完全にペースを失います。ボッタスもリタイアしたものの「なぜレッドブル2台にこうまで上手く当たるの?!」という、まさにボーリングを見ているかのような悪夢のクラッシュ。
このままでは、サマーブレイク前にメルセデスがトップに立ってしまいます。
■目を疑ったメルセデスの愚策!? しかし……
予選も好調で5番手からのスタートとなったアルファタウリのピエール・ガスリー。決勝でも5位でのフィニッシュとなった
ところが、勝利の女神は簡単には微笑みません。赤旗後の再スタート時、フォーメーションラップで路面が乾いていると判断したチームの多くが、続々とピットへ戻ってきます。
赤旗後の再スタートは基本的にスタンディングスタートなのですが、「ピットスタートになってでも即刻ドライタイヤへ交換すべき」との判断だったようです。
ところが、1台だけグリッド位置に戻ってくるマシンが。それはなんと、ルイス・ハミルトンではないですか!
全員がピットでドライタイヤに交換にしてピットロードに並ぶ中、ハミルトンは一人でぽつんとスタンディングスタート。この作戦が悪手だということは、見ている全ての人が分かっていたことでしょう。
ハミルトンは、1周してそのままピットインし、大きくタイムロス。ドライタイヤ勢でもっとも前にいたアルピーヌのオコンがレースをリードする形になりました。
そして、多重クラッシュを上手くかわした角田選手はなんと4番手につけています。フェルスタッペンは11番手ですが、やはりマシンにダメージがあるようでペースが上がりません。
一気に最後尾になったハミルトンですが、すぐさま鬼のようなタイムで後ろから追い上げてきます。角田選手が、23周目でピットインすると、7番手で復帰。すると、すぐ後ろにはもうハミルトンの影が迫っています。
ハミルトンが後ろにぴったり張り付くと、角田選手はハミルトンをブロックして手こずらせますが、角田選手自身もこのバトルでタイヤを酷使してしまい、後半にタイヤを残すことができませんでした。
最終的には、タイムが上がらず、チームオーダーでチームメイトのガスリーを先行させることに。それでも、角田選手は自身最高位の6位でフィニッシュ。ポイントを獲れたことは良かったのですが、内容はまだまだ課題が残るものになりました。
鬼の形相で前を追いかけるハミルトンですが、途中で大きな壁が立ちはだかります。それは、過去に2度のチャンピオンを獲得しており、以前ハミルトンのチームメイトでもあったアルピーヌのフェルナンド・アロンソ。
今年からアルピーヌでF1復帰したアロンソですが、まったく錆びついていないドライビングテクニックを見せつけます! フェイントなどを挟みながら、どのコーナーでもハミルトンが行きたい場所を確実にブロックします。
そして、しっかりブロックしながらも、相手にラインは残していて、実にクリーンなバトルに観客は大興奮(私も)! マシンの性能差があるにも関わらず、なんとアロンソは約17周にわたってハミルトンの前を走り続けました。
■フェアでありながら容赦ないアロンソの走りに大興奮!!
2021年からF1に復帰していたフェルナンド・アロンソが鋭い走りを見せ、チームメイトであるオコンの勝利に貢献した
このアロンソの魂のブロックによって救われたのが、トップを走っていたチームメイトのオコン。最後までアストンマーティンのベッテルとバトルを続けましたが、ハミルトンには迫られることなく、そのまま逃げ切り、初優勝を飾りました!
オコンも才能はありながらもなかなか結果を出すことができなかったひとり。嬉しそうな様子を見てこちらまで涙が出てしまいました。鬼ブロックを見せたアロンソは、4位フィニッシュとなりましたが、オコンをチームと讃える姿に感動しました。
アルピーヌもルノー時代からずっと苦戦してきたので、勝利を掴めて本当に良かったです。(順位は燃料不足で失格になったベッテルを除いての確定順位で表記)
スタートから波乱を生んだハンガリーGP。これまで苦労してたドライバーが報われたり、熱いレースが繰り広げられたので、個人的にはサマーブレイク前に良いレースが見られて大満足でした。
しかし、今回の結果によって、メルセデスがコンストラクターズトップ、そして、ハミルトンがチャンピオンシップリーダーになり、残念ながらレッドブルはその座を奪われてしまいました……。
後半戦に遺恨を残す形にはなりましたが、レッドブルの実力で負けた訳ではないので、サマーブレイク後には大挽回してくれることを祈ります!
それでは、皆さん、またサマーブレイク後にお会いしましょう!
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