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【試乗】濡れたサーキットをものともしない圧倒的な「安定感」! S660モデューロXバージョンZの最強っぷり

掲載 更新 10
【試乗】濡れたサーキットをものともしない圧倒的な「安定感」! S660モデューロXバージョンZの最強っぷり

 仕様ごとの違いを明確に体感できるよう水が撒かれたコースを用意

 ホンダS660の標準モデルαとモデューロ用品装着車、そしてモデューロXバージョンZの3台を千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイサーキットで乗り比べた。

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 3台とも6速マニュアルトランスミッション仕様で、エンジンも含めパワートレインはノーマルのまま。タイヤも標準装着の同一タイヤにそろえられている。

 千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイサーキットは1周約2.5km。一見フラットな敷地に見えるが、1~2コーナーにかけて登り勾配があり、2コーナーを頂点に3コーナーへと駆け下りながら第一ヘアピンへとアプローチする難所がいくつかある。見た目以上に難易度が高いコースなのだ。

 今回はそのうち2コーナー、第1ヘアピン、高速ベンド2箇所と第2ヘアピンに水が大量に撒かれていて、滑りやすい路面が意図的に作られていた。聞けば開発ドライバーの土屋圭市さんが「ここに撒け」と指示したという。とくに難易度の高いコーナーをさらに滑りやすくすることで、チューニングの効果をより明確に体感できるというのだ。下手をすれば、どの仕様でもスピンしかねないような難しい路面状況だ。よほど完成度に自信があるのだろう。

 まずは標準のαでコースインする。サーキット走行ではトラクションコントロールをオフにして走行する。αの走りはサスペンションがしなやかでロールが大きめ。ウエットパッチではまず前輪がズルズルと滑りハンドルの切り増しが必要。少しタイミングが遅れて次はリヤが滑り出し、カウンターステアとアクセルコントロールでドライバーが制御しなければならない。

 しかし、大きなスキッド下ではVSA(ビークルスタビリティアシスタント)が介入し、スピンは回避しつつ立ち上がりトラクションをかけて加速できる。タイヤが滑る感覚になれていない人はかなりドキっとさせられるだろう。ドライ路面の最終コーナーを99km/hで抜け、ホームストレートは132km/hまで車速が伸びる。

 一方、本来最高速が記録できる2~3コーナー区間ではウエット路面の影響を大きく受けリヤがスキッドして全開で抜けるのが難しい。タイヤを温めてどうにか全開で抜けてみると133km/hを記録するのがやっとだった。ただ車速はさらに伸びる余地があるものの、速度リミッターが穏やかに作動し、速度の上昇を抑えているのもわかった。

 次にモデューロの用品装着車に乗り換える。走りはじめの第1コーナーからクルマの安定感がまるで違う。ロールが少なく、専用設計されたホイールの効果も大きく、ステアリングの手応えがグッと増している。ウエット路面でもタイヤの滑りが少なくて安心してアクセルを踏み込んでいけるのだ。

 αとの感覚の差は想像以上に大きい。最終コーナーは100~101km/hで通過でき、ホームストレートでは133km/hまで車速が上がって、区間タイムは明らかに速い。2~3コーナーの難所も難なく全開で通過でき、最高到達速度は135km/hをメーターで視認できた。

 S字高速コーナーでも安心感が高まっている。ただ強化ブレーキの利きが良すぎてハードブレーキングでは前荷重が強くなり過ぎ、速度コントロールの難しさも表れていた。

 ハンドリングの質感を高めて扱いやすいモデルに仕上がっている

 次にいよいよモデューロXバージョンZに乗り込む。モデューロXバージョンZではサスペンションセッティングの違いと実効空力デパイスによる効果の確認にフォーカスして走らせた。

 1コーナーを曲がるとステアリングの補舵剛性が高まっていて、ずっしりした重厚なステアリングフィールが感じられた。クルマの質感が高まって格上のクルマを操っているような錯覚さえ覚える。

 じつはこれこそがフロントスポイラー下面の空力デパイスとリヤのアクティブスポイラーに装着されたガーニーフラップが低速域から車体の浮き上がりを抑制し、前後輪の接地荷重を安定させていることの効果として感じられているのだった。さらにサスペンションの伸び側、縮み側で精密に減衰力をコントロールし、浮き上がり時の荷重抜け感を少なくして、ロードホールディングを全速度域で向上させているのである。

 路面に撒かれた水など無いかのように安定した接地性を保っていて、ズルっとも滑らない。無理矢理リヤを流しても滑り方は穏やかで、アクセルコントロールでドリフトアングルを維持できるのだ。

 結果、最終コーナーの通過速度は102~103km/hにまで高まっている。また2~3コーナーを安心して全開で抜けられ最高速度は135km/hまで伸びる。このモデューロXバージョンZでは速度リミッターをカットしているということで、サーキット走行ではその効果が大きく現れた。

 ハンドリングの質感を高め、コントローラブルで扱いやすくすること=速い、と簡単にはいかないことが多いが、モデューロXバージョンZは確実に速さも増している。1ラップ当たりのラップタイム向上幅はそれほど大きくはないが、何ラップでも安定してその速さを引き出せるのはスポーツモデルとして重要なのである。

 やはりブレーキに関しては初期バイトが強く、減速Gの立ち上がりが強かったが、固められたサスペンショのバネレートでノーズダイブの姿勢変化は極小で、ドライバーがブレーキ踏力をコントロールすれば収まる。

 意地悪な水撒き路面にも影響を受けない走りっぷりは、開発陣が自負する性能見事に現していた。

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みんなのコメント

10件
  • 分かりやすいと思ったら、中谷さんの記事だった。
    (^ ^)
  • 車高を落としたらその足も台無しになっちゃうのか。
    フロントのアッパーはあえて隙間を残して伸び側の追従性を上げてるのかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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