■サッカー界の伝説マラドーナの愛車とは?
クルマは、そのもの自体に価値があるのはもちろんだが、所有していた人が誰だったのかということも評価の対象となることがある。
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そのため、有名人が所有していたクルマがオークションに登場すると、そのクルマを手に入れようとする人による争奪戦が激しさを増し、価格が高騰しやすい傾向にある。
●2014 BMW「i8」
今回紹介する2016モデルのロールス・ロイス「ゴースト」と、2014モデルのBMW「i8」は、まさにその条件にピッタリ当てはまるものだ。
この2台を所有していたのは、ディエゴ・マラドーナ。惜しくも2020年に亡くなった、アルゼンチンだけでなく世界的に有名なサッカー選手である。
マラドーナの凄さは、サッカー好きなら知らない人はいないだろう。
彼がキャプテンとして出場した1986年のFIFAワールドカップ・メキシコ大会での活躍、とくに準々決勝イングランド戦での5人抜きゴールは、眠い目をこすりながらテレビを見ていたサッカー少年たちの記憶に、マラドーナの凄さを刻み込んだ。
さらにいわゆる「神の手」ゴールも印象深い。いま思えば、間違いなくハンドであるあのプレーが見逃されてしまったのは、マラドーナのボディバランスのレベルの高さに幻惑されてしまったからだろう。
そしてアルゼンチンは、この大会でワールドカップ優勝を勝ち取り、マラドーナは最優秀選手賞を受賞している。ちなみにこの大会の得点王は、のちに名古屋グランパスの選手となったイングランド代表のリネカーである。
そんなマラドーナは、じつは日本とも縁がある選手だ。
マラドーナが初めてアルゼンチン代表選手となったのは、1979年に日本で開催された、ワールドユース選手権(現在のFIFA U-18世界選手権)だった。
大宮公園サッカー場(現NACK 5スタジアム大宮)で開催されたこの大会で、アルゼンチン代表は優勝を飾り、マラドーナはMVPに選出された。ちなみに得点王は、のちに横浜マリノスに所属し、Jリーグの初代得点王となったラモン・ディアスである。
■マラドーナ効果で落札価格も高くなるか?
マラドーナはその後、ボカ・ジュニアーズやバルセロナ、ナポリといったクラブでプレーを続けて引退、指導者となる。2010年のワールドカップで、アルゼンチン代表監督をしていたマラドーナを、実際に見たことがある人もいるだろう。
●2016 ロールス・ロイス「ゴースト」
アルゼンチン代表は、準々決勝のドイツ戦で敗退し、マラドーナは監督を解任されたのだが、2011年にUAEのクラブが監督として招聘。いくつかのクラブの監督を続けたのち、2018年にメキシコ、2019年には母国アルゼンチンのクラブでごく短期間監督を務めたが、すぐに辞任している。
この経歴からもわかるように、2016モデルのゴーストと2014モデルのi8は、UAE時代にマラドーナが使用していたクルマだ。
ゴーストは、現在の走行距離が約2万6000km。記録によるとマラドーナが乗っていたのは、約5000kmとのことで、セカンドオーナーの手に渡ったのち、約2万km走行時に整備がおこなわれている。
それだけにクルマ自体の状態は非常に良く、内外装や機能はすべて、パーフェクトな状態を保っている。
i8の状態も非常にいい。ハーマン・カードンのオーディオシステムなど、さまざまなオプションが装備されているこのクルマの走行距離は、現在約1万500km。マラドーナが所有していたのは2018年11月までで、そこでセカンドオーナーの手に渡り、直近では2021年1月に点検整備されている。
この両車、たとえばサンバイザーの裏などに、マラドーナのサインが入っているなどということはない。しかし、その来歴ははっきり確認がとれている正真正銘の「元マラドーナの愛車」たちである。
クルマとしての状態がいい上に、マラドーナが所有していたというプレミア込みで、ゴーストは12万-15万ユーロ(邦貨換算約1540万-約1930万円)、i8は6万-8万ユーロ(邦貨換算約770万-約1030万円)という予想落札価格が提示されている。
はたしていくらで落札されるのか、ひとりのマラドーナファンとして、興味津々である。
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