世界的に続くSUVブーム。ありとあらゆる高級車ブランドがSUVの開発に乗り出し、毎年多くの高級SUVがデビューしていますが、一方で筆者が少し不安に思っていることがあります。「このままでは、2ドアクーペの選択肢はさらに減ってしまうのでは?」と。
そんな筆者の不安をあおるように、長い歴史を持つメルセデス・ベンツSLC(旧名称はSLK)が2019年に生産を終了、後継車種の計画なし、とのニュースが飛び込んできました。今後もこうした2座、または2+2の2ドアクーペやカブリオレの減少傾向は続いていくと思われます。
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ドイツではともかく、現在のフランスや日本ではごく数えるほどしか生産されていない、2ドアクーペ。今回ご紹介するのは、かつてルノーが2ドアクーペを生産していた頃の置き土産、ルノー・ラグナ・クーペです。
モナコとカンヌで華々しくお披露目
ルノー・ラグナ・クーペが初めて姿を現したのは2008年5月24日。F1モナコグランプリとカンヌ映画祭にて、華々しく公開されました。カンヌ映画祭ではカルロス・ゴーン会長(当時)自らの運転で会場に現れたり、モナコではルノーF1チームのドライバーの手でサーキットコースを周回したりするなど、非常に華やかな演出で発表されたラグナ・クーペは、世界中から大きな注目を集めました。同年秋のパリモーターショーで発表後、10月からヨーロッパで販売されるようになります。
伸びやかで優雅なスタイリングに、高級クーペらしい押し出しの強いフロントマスク、アストンマーティンのようなクリーンなリアエンドを持つラグナ・クーペは、狭いながらも大人4人の着席が可能な後席を備えることで、2ドアクーペとしては高い実用性を確保。全長×全幅×全高は4,643×1,812×1,400mm(本国仕様)となっており、ラグナのセダンやワゴンに比べて、短く低いプロポーションを持ちます。また、ラグナGTに先行して採用されていた4輪操舵システム「アクティブ・ドライブ・シャシー」を採用し、ハンドリング性能の向上を図りました。
フランス車伝統の「美点」
同じヨーロッパ生まれでも、パワフルなエンジンに引き締められた足回り、俊敏なハンドリングを持つドイツ製2ドアクーペに比べて、プジョーやルノーが作る2ドアクーペは、より穏やかな、ゆったりとしたドライブフィールが特徴です。
ドイツ車ほどパワフルではないけれど、低速からの分厚いトルクと必要十分な最高出力を持つエンジン。クッションが分厚く、座面は柔らかなのに身体をしっかりとホールドするシート。高速道路では直進安定性に優れ、カーブではステアリングを切っただけ素直に曲がっていく操縦安定性。どこまでも、何時間でも走って行けそうな、路面に吸い付くような乗り心地。これらはメーカー、車種問わず、フランス車全般に共通する美点とも言えるでしょう。
もっとも、ドイツのアウトバーンを運転していると、クルマの「瞬発力」が求められる場面は数多くあります。アウトバーンは無料(2019年現在)なので、一般道からアウトバーンに移る際には料金所は存在せず、かなり短い加速レーンのみで息つく間もなくアウトバーンの上、ということも珍しくありません。また、速度無制限区間から130km制限区間に入る時も、全てのクルマがいっせいにガツン!とブレーキをかけて130kmまで一気に速度を落とします。雪や雨など路面状況が悪い中、突然現れる工事区間を避けるためにレーンチェンジを頻繁に行うことも。こうしたアウトバーンの状況を踏まえて考えると、なぜドイツ車がパワフルなエンジンや強力無比なブレーキ、正確なハンドリングを備えているのかがわかります。
長距離を走るための「思想の違い」
ドイツ製クーペがとにかく効率よく、速くキビキビと長距離移動するために作られているとすれば、フランス製クーペは快適性を向上させることで、一定の速度を保って、休憩の回数を減らして一気に走り続けられる距離を伸ばす、そんな思想の違いを感じます。イタリア製クーペやドイツ製クーペに比べて、官能性が低く黒子に徹したエンジンは、よくも悪くもフランス製クーペの特徴の一つ。今では珍しいことではないですが、このクラスの高級クーペには珍しく、ターボディーゼル・エンジンの設定も存在していました。
当時の直接のライバルといえばプジョー・クーペ407などが挙げられますが、クーペ407とは異なり、ラグナ・クーペの日本での正規輸入は実現しませんでした。華々しいデビューとは裏腹に、ラグナ・クーペの販売が成功したとはいえず、現在のドイツにおいても、路上で見かける機会はあまりありません。世界的に年々数が減っていく、2ドアクーペというスタイル。願わくは、このルノー・ラグナ・クーペも長くドイツの地を走り続けてほしいですね!
[ライター・カメラ/守屋健]
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