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予約で走るタクシーは「安いハイヤー」? 都会と地方とで定義や実態は異なるのか

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予約で走るタクシーは「安いハイヤー」? 都会と地方とで定義や実態は異なるのか

■電話で呼ぶのはハイヤー? タクシー?

「タクシー」と「ハイヤー」はなにが違うのでしょうか。

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 一般的には「流し営業をするか否か」という認識かもしれません。東京都、神奈川県、埼玉県で両方の事業を手掛ける三和交通(横浜市港北区)も、同社において大きく具体的に異なる点として「タクシーは街中での流し営業を行いますが、ハイヤーは完全予約制です」と説明します。

 法令上の定義としては、「タクシー業務適正化特別措置法」にて、タクシーは「一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者がその事業の用に供する自動車でハイヤー以外のもの」とされ、ハイヤーは「運送の引受けが営業所のみにおいて行なわれるもの」とされています。

 しかし実際のところ、地方においては、タクシーの「流し営業」はほとんど見られません。主要駅などのタクシー乗り場へ行くか、あるいは事業者に電話して呼ぶといった利用形態が多いのではないでしょうか。

 タクシーを「電話して呼ぶ」ということは、「運送の引受け」が営業所などで行われているということになります。時間を指定するならば、予約ということにもなるでしょう。ハイヤーとなにが違うのでしょうか。

■そもそも「ハイヤー」とは

 そもそも「ハイヤー」とはなんなのでしょうか。前出の三和交通は同社のハイヤー事業について、次のように説明します。

「ハイヤーの料金体系は『時間』で決まっています。これには営業所起点で1時間当たり15km程度の走行も含まれています。1時間約6000円(15km走行)、4時間約2万4000円(60km走行)といった料金です。また、走行距離が長くなる場合は1kmあたり400円が加算されるため、4時間で100km走る場合、2万4000円に1万6000円が加算されて、4万円になります」

 走行距離あたりの運賃も異なりますが、つまり、タクシーは「メーターを倒した時点から運賃が発生する」のに対し、ハイヤーは「営業所を出た時点から発生する」ということになります。

 ハイヤーに使用する車種も異なるそうで、「普通のタクシーは『クラウン』が中心ですが、ハイヤーには『クラウン ロイヤル』を入れています。また、大人数で利用したいという要望に応えるため、10人乗りの『ハイエース グランドキャビン』もあります」とのこと。またその乗務員(ドライバー)についても、ハイヤーには「一定期間以上タクシー乗務経験があり、接客レベルが高い社員を入れています」といいます。

 車種や乗務員の質などサービスの内容は事業者ごとに異なるものなので、タクシーとハイヤーの本質的に異なる点は、やはり「料金体系」の部分でしょう。料金が高く設定されているからこそ車種も乗務員の質も異なる、ともいえるからです。

■認可制の「運賃」が区別のカギ?

 タクシーとハイヤーは、ともに国交省の認可が必要な事業です。そしてその運賃はいずれも、地域(運賃ブロック)ごとにある程度の幅を持たせて決められており、事業者はその範疇において各地の運輸局から認可を受けるというかたちです。北海道ハイヤー協会(札幌市中央区)もこの点について、「運賃の認可はブロック(地域)単位で受けるもの」といいます。

「タクシーやハイヤーはいわゆる認可事業ですが、同時に運賃の認可も受けなければ、いずれも事業としてクルマを走らせることができません。たとえば北海道ですと、道全体にタクシー運賃の認可設定がありますが、ハイヤー運賃は札幌交通圏にしか認可されておらず、つまりハイヤー事業は事実上、札幌交通圏のみになります」

 同協会はまた、あくまで基本は「営業所から予約で走るのがハイヤー、それ以外がタクシー」としつつも、「営業所で予約電話を受けるという形でも、タクシー運賃で走れば、それはタクシー営業という扱いになります」と説明します。

 改めて「タクシー業務適正化特別措置法」を確認すると、ハイヤーは「運送の引受けが営業所のみにおいて行なわれるもの」で、タクシーは「ハイヤー以外」と定義されています。つまりタクシーは、ハイヤーのように営業所で運送を引き受けることも可能というわけです。この「営業所で運送を引き受ける」という点における両者の違いは、料金体系のみ、ということができるでしょう。

 全体としては、ハイヤーはタクシーの一種と位置づけられます。また、空港までの定額サービスがあったり、「デマンドタクシー」という新しいサービス形態が広まりつつあったりと、ハイヤーに比べタクシーの定義はゆるやかなもの、と見ることができるのかもしれません。

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