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水素がプリウス並に流行るかも!? 新型クラウンセダンが起爆剤に!! ディーラーも期待大のワケとは

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水素がプリウス並に流行るかも!? 新型クラウンセダンが起爆剤に!! ディーラーも期待大のワケとは

 今秋登場する新型クラウンセダンの目玉は、FCEV(燃料電池車)の設定だ。すでにミライを発売しているが、普及しているとは言い難い状況だ。新型クラウンセダンはディーラーも期待しているというが、その理由とは!? FCEVがプリウス並に当たり前になる時代がもうすぐってホント!? 

文/佐々木亘、写真/TOYOYA、池之平昌信

水素がプリウス並に流行るかも!? 新型クラウンセダンが起爆剤に!! ディーラーも期待大のワケとは

■新型クラウン×水素エネルギー!? FCEVが搭載される理由とは?

新型クラウンシリーズのなかではセダンのみにFCEVが用意される

 2023年4月12日追加された新しいクラウンの情報。そのなかで、セダンにFCEV(燃料電池自動車)が用意されることが判明した。

 なぜクラウンセダンにFCEVが搭載されるのか、MIRAIとクラウンセダンのすみ分けはできるのか、気になるポイントを解説していく。

 1955年の初代登場から数えて16代目となる現行型では、クロスオーバーモデルが先行して登場したが、やはりクラウンはFRセダンが似合う。

 ビジネスにはもちろん、パーソナルユースにも使えるフォーマルカーであることが、クラウンの大きな魅力だ。

 期待しかないクラウンセダンで、大きな注目を集めるのがFCEVの搭載である。

 トヨタは、EV化を進める世界の自動車産業の中で、HEVとPHEVを軸にして車種展開を行い、少し遅れながらもBEVモデルを追加してきた。ただ、FCEVだけは取り残され、普及も遅れている。

 現在日本でFCEVを多く利用しているのは、個人ユーザーではなく官公庁だ。

 セダンを好むのも官公庁や企業であり、ニーズの高い場所にFCEVの新型車種を投入して、認知度を高めたい思いがあるのだろう。

■「MIRAI」にはできなかった水素エネルギーの壁を取っ払うカギとなる!

世界初の量産FCEVとして2014年に登場した初代MIRAI

 MIRAIはHEVでいう初代プリウス。新しい技術を世に知らしめ、車名の通り「未来」を感じられるクルマになった。

 今秋登場予定のクラウンセダンの役割は、HEVを大きく広めた2代目・3代目プリウスに近いと思う。

 FCEVがクラウンセダンをきっかけにして当たり前の存在になり、FCEVに対する壁が取り払われることを期待しているはずだ。

 FCEVの良さは、ガソリン車とさほど変わらない燃料充填時間と航続距離の長さである。

 満充電に数時間かかるBEVと大きく違い、水素ステーションが普及すれば、ガソリン車と非常に近しいカーライフを送ることができるのだ。

 優れた技術を開発しても、世の中に広がらなければ意味がない。MIRAIの登場で水素エネルギーの活用の道はできたが、まだまだ一般化には程遠い状況。

 FCEVを身近なものにするという至上命題をクラウンが背負い、新しい未来に向かって走り出す。これが、トヨタの思い描く「未来のカタチ」なのだと筆者は考える。

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■MIRAIとは何が違う? クラウンセダンとのすみ分けポイント

新型クラウンセダンの後席空間

 クラウンセダンのボディスペックは、全長5030mm、全幅1890mm、全高1470mmでホイールベースは3000mmを予定している。乗車定員は5名だ。

 対する現行型MIRAIは、全長4975mm、全幅1885mm、全高1470mmで、ホイールベースは2920mmである。乗車定員はこちらも5名だ。

 クラウンセダンの方が、全長・全幅はワンサイズ大きく、ショーファーニーズにも対応できるのがポイント。

 MIRAIも現行型では乗車定員を5名に増やした(初代MIRAIは乗車定員4名)が、後席の快適性ではクラウンセダンが一歩上を行く存在になるはずだ。

 FCEVのメインターゲットである官公庁や大企業が、潜在的に持っているニーズはショーファードリブン。

 FCEVのクラウンセダンがまず仕掛けるべきは、初代と現行MIRAIを保有する、官公庁・法人ユーザーの乗り換えであろう。

 同時にMIRAIが背負わされてきたショーファーカーニーズがクラウンへ移行するため、MIRAIを今後、個人ユーザーをターゲットにしたFCEVに移行できるようになってくる。

 FCEVを広く普及させるためには、個人ユーザーを巻き込んだ商品展開が必須だ。クラウンセダンがMIRAIの担ってきた役割を引き継ぎ、MIRAIは未来のFCEV普及のために変化していってほしい。

 今後のFCEVの普及を考えると、クラウンセダンの投入は大きな意味を持つことになるだろう。

 MIRAIは個人向け、クラウンセダンは法人向けへとすみ分ける。HEVを世に広めたトヨタなら、クラウンセダンをきっかけに、FCEV市場の拡大を加速させるのも可能だ。

■トヨタディーラーが考えるFCEV販売の課題とクラウンへの期待値

FCEVを積極的に提案できる状態になっていないので、MIRAIの販売状況は芳しくない

 ここまでFCEVの未来について考えてきたが、水素エネルギーに関しては、インフラの問題を中心に、解決しなければならないことが山積みだ。

 SDGsが広まってはいるものの、まだまだ燃料電池車が便利に使える世の中ではない。

 販売を任されるトヨタディーラーでも、燃料電池車を売ることに、まだまだ抵抗感があり、心配事は絶えない。

 これまでも積極的に「FCEVはどうですか?」と提案できる状態になっていないのは、MIRAIの販売状況を見ても明らかである。

 MIRAIの販売台数は昨年4月から月販で100台以下だ。50台を割り込む月も多く、売れる(売りたい)クルマになっていない。

 クラウンセダンも販売の中心はHEVになるだろう。

 だが、一部トヨタディーラーの法人営業部からは、「クラウン提案の際に、一回はFCEVを話題に出そう」と新しい提案を模索する動きも出てきた。

 これまで日本では、インフラ整備にはFCEV車の普及が必要。FCEV車の普及には充分なインフラ整備が必要と、ハード・ソフトの両面で互いに現状維持を続け、どちらも動き出さない堂々巡りが続いてきた。

 結果として水素エネルギーの活用もFCEV車の普及も進んではいない

■クラウンFCEVが燃料電池の未来にもつながることに期待大!!

クラウンセダンFCEVの登場をきっかけとして、FCEV車の普及が進むことに期待したい!

 今回、筆者が取材してきた中で、「まずFCEVを提案しようか」という姿勢が一部のトヨタディーラーから出てきたのは、大きな一歩だと思う。

 こうした動きがクラウンセダンFCEVの販売につながれば、社会も水素エネルギー活用の準備を進めざるを得なくなるだろう。

 クラウンという影響力の大きなクルマがFCEVを搭載することで、水素エネルギーにも新たな目が向けられるはずだ。

 クラウンセダンには、日本社会、ひいては全世界のエネルギー問題を変えていく一縷の望みを感じる。

 こうした挑戦を続けるトヨタ、そして工夫を続けるトヨタ販売店には引き続きエールを送りたい。

 時代を変えるかもしれないクラウンセダンの登場は今秋。FCEVの未来は、クラウンに託された。

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みんなのコメント

74件
  • このゴールデンウイーク中に水素を入れに水素ステーション探したんですけどゴールデンウイークはお休みしでした、、、
    こんなインフラありえんだろ
    充電渋滞の方がよっぽどマシだよ
    FCEV売ったらあとは知らんって
    インフラも責任もって作れらないから
    テスラに負けるんだよ
    テスラのインフラを少しでも見習ったらどう?
  • 二代目ミライが出る時には、月産3000台の生産能力を確保してと言われ我が社も期待したのですが
    現実は月30台も出ない状況では詐欺にあった気分です。
    燃料電池の量産にも課題がありそうなので、FCEVにはホント一縷の望みしかなくリスキーですね。
    水素ステーションの普及の為に、今は水素エンジン車の方に注力した方が得策かと思われますが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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