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Astemo NSXがトップ4台1.5秒差の“超濃密”バトル&3度のFCY導入の乱戦を制す【第2戦富士GT500決勝】

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Astemo NSXがトップ4台1.5秒差の“超濃密”バトル&3度のFCY導入の乱戦を制す【第2戦富士GT500決勝】

 ゴールデンウイーク恒例の500km長距離バトルが繰り広げられた2021年のスーパーGT第2戦GT500クラス決勝は、前日の予選Q1敗退で11番手からスタートを切った17号車Astemo NSX-GTが、終盤のスリリングな死闘を制してGRスープラ勢を圧倒。今季初導入のフルコースイエロー(FCY)の好機も捉え、塚越広大とベルトラン・バゲットが新体制Astemo(アステモ)との今季初優勝を手にしている。

 2019年以来、約2年ぶりとなった5月の大型連休イベントは、搬入日から好天が続き決勝日の5月4日(火・祝)も朝から富士山の山肌がくっきりと見通せる、清々しい快晴となった。

【順位結果】2021スーパーGT第2戦富士 決勝

 全国的には新型コロナウイルス(COVID-19)第4派到来で、緊急事態宣言が発令中の地域があるなか、この第2戦に向けてもシリーズ独自の厳重な感染症対策のもと、人数の制限はありながらもファンを動員してのレース開催が実現した。

 そんななか前日の予選日から猛威を奮ったのが富士を得意とするGRスープラ勢で、昨季のデビュー以降、ホームストレートエンドの最高速でライバルを圧倒する特性はそのままに、参戦6台全車が予選Q2へ進出する強さを披露。最終的に19号車WedsSport ADVAN GR Supra宮田莉朋がGTでの初ポールポジションを手にした。

 一方、トヨタ勢に一矢報いたいホンダ陣営は、8号車ARTA NSX-GTが0.003秒という超僅差でフロントロウ2番手を確保するも、チャンピオンカーの1号車STANLEY NSX-GTや、17号車Astemo NSX-GTらがミスも絡んでQ1敗退を喫するなど厳しい展開に。

 ニッサン陣営最上位の7番グリッドに並んだエースカー、23号車MOTUL AUTECH GT-Rらを含めたライバル陣営が、2回のピット作業義務付けとなる500km戦でGRスープラの上位独占を喰い止められるかが見どころとなった。

 110周先のゴールを目指し、14時30分にフォーメーションラップへと向かったGT500の15台の隊列は、2周を経てポールシッターの19号車WedsSport ADVAN宮田を挟み込むように、アウトからフロントロウ2番手の8号車ARTA NSX-GT福住仁嶺、そしてイン側からは3番手発進の38号車ZENT CERUMO GR Supra、石浦宏明の3ワイド状態で1コーナーへ。

 ターンイン時点で後続に飲み込まれる形となった宮田は、気温21度、路面温度35度まで上昇したコンディションで周囲のマシンとタイヤ発動の条件が異なったか、オープニングラップに次々とポジションを落として6番手にまで後退してしまう。

 一方、首位を奪った8号車ARTAの背後では、コカ・コーラコーナーの競り合いでインを奪った36号車au TOM'S GR Supraの坪井翔がZENT石浦をかわして2番手へ。その背後には、37号車KeePer TOM'S GR Supra平川亮、14号車ENEOS X PRIME GR Supra山下健太と、結果的にサードスティントも担当することになるエースたちが続いていく。

 すると3周目に入った1コーナーのブレーキングゾーンで、GR Supra勢を追走する急先鋒として6番手争いを繰り広げていた23号車MOTUL AUTECH GT-Rから白煙が上がり、ターン2を回ったところで炎へと変わる事態が発生。アウト側のグラスエリアにマシンを止めたロニー・クインタレッリは為す術なくマシンを降り、ここで早くも戦線離脱。このアクシデントでセーフティカー(SC)が導入される。

 7周目突入時点でリスタートが切られると、このチャンスを活かそうと1コーナーに向け首位ARTAのスリップについた36号車auの坪井は、NSX-GTのアウト側からサイド・バイ・サイドに持ち込み、続くコカ・コーラコーナーでインを奪り首位浮上に成功する。

 視界がひらけた坪井はここからペースを上げ、続く周回で1分29秒720を記録すると、27秒615、27秒476と立て続けにファステストを更新して後続を引き離しに掛かる。

 10周を過ぎたところでGT300のバックマーカー処理が発生し始め、その間隙を突いて4番手の14号車ENEOS X PRIME山下がZENT石浦に勝負を仕掛ける。開幕勝者の山下は再三にわたってマシンを左右に振り揺さぶりを掛けると、16周目のダンロップコーナーでアウトへ。そのまま切り返しの左コーナーへドアをこじ開けるようにして前へ出た山下がこれで3番手に浮上。序盤戦からGRスープラからパーツの破片が舞う肉弾戦を繰り広げる。

 一方、これでマシンダメージを追った石浦はわずかにペースが落ち、21周目に37号車KeePer平川にも先行され5番手へと後退。対する首位の坪井も一時は2番手ARTA福住に対しギャップを3秒前後まで拡大するも、コンディション変化か燃費抑制のためか、ジリジリとマージンを削られてしまう。

 周回が30周を過ぎたところで、レース距離3分の1となる37周を前に最初のピットへと向かうマシンが出始め、12号車カルソニック IMPUL GT-Rに続き、翌ラップには最後尾からトップ10圏内に進出していた1号車STANLEY NSX-GTがルーティンピットへ。ここで山本尚貴から療養明けの復帰戦となる牧野任祐にチェンジし、41秒の静止時間でコースへと戻っていく。

 するとその直後、32周目に6番手の19号車WedsSport ADVAN宮田にも迫られていたZENT石浦のGRスープラは、最終パナソニックコーナーで左リヤタイヤを失うまさかのハプニングに見舞われ、そのまま惰性で力なくピットロードへ。この際、脱落したリヤホイールがコース上を横切るように転がり続けたことで、前日の公式練習でも発動したFCY(フルコースイエロー)が宣言される。

 これで各車、ギャップを保ったまま80km/hでのスロー走行に入ったが、続く33周目に解除されると首位坪井の背後にはARTA福住がテール・トゥ・ノーズで迫る状況となり、再び秒差圏内での勝負を強いられる。

 FCY直前にピットロードに飛び込んでいた17号車Astemo NSX-GTに続き、37周目には19号車WedsSport ADVAN、続く周には14号車ENEOS X PRIME、さらに翌周の39周目には36号車auもルーティンを終え、関口雄飛は49秒の静止タイムでコースへと復帰する。

 一方、ライバルに対しファーストスティントを引っ張ったARTA福住は、40周終了時点でピットへ。同じく37号車平川も続く周回でドライバー交代に向かい、阪口晴南に中盤戦を託すことに。

 44周目突入で39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraがルーティンを終えると、15台全車がドライバー交代を終えることに。結果、FCY直前の作業でゲインを得て、ピットアウト直後の36号車をかわしていた17号車Astemoベルトラン・バゲットが首位に立つ。

 その約5秒後方でNSX-GTを追い上げたい2番手auの関口だったが、GT300のバックマーカーと軽いコンタクトを伴うあわやの瞬間に遭遇するなど、なかなか間合いを詰めるところまで行けない。するとここで、複合要因からこの日2度目のFCYがコールされる。

 これが50周突入時点で解除されると、4番手にいた8号車ARTAが再び前とのギャップを縮め、今度は野尻智紀が14号車ENEOS X PRIMEの大嶋和也に襲いかかり、ラインをクロスさせたバトルの末にダンロップコーナーでオーバーテイクを決め、ポジションを3番手に戻していく。

 レース折り返し点を過ぎて路面温度も30度を切り、気温も下がり続けるなか2番手au関口の背後にARTA野尻、4番手ENEOS X PRIME大嶋の背後にはSTANLEY牧野が迫ってくる。そして62周目にNSX-GTの勢いそのままに、牧野が4番手へと上がってくる。

 さらに68周終了時点で首位の17号車Astemo NSX-GTが真っ先にピットへと向かい、塚越広大に最後のロングスティントを託すと、続くラップでは力走を披露した牧野もピットロードへ入り、同じく山本に繋いで自らの仕事を完遂してみせた。

 ここが勝負どころとなるGRスープラ勢と8号車ARTAは、最終スティントに向け燃料搭載量を減らすべくレース距離3分の2となる73周を超えてもピット作業を引っ張ると、3番手だったENEOS X PRIME大嶋が75周終了時点で最後のストップを行い、43秒の静止時間で山下をコースへ送り返す。続く76周終了で2番手auも入り坪井へと交代するも、ここで51秒7と大幅に作業時間が伸びてしまう。

 そして78周終了で最後の勝負へ向かったARTAは、39.5秒の驚異的作業速度で福住を復帰させる。すると左フロントタイヤの交換に手間取っていた17号車Astemoが背後へと迫り、福住との仁義なきNSX-GT同士のバトルが勃発。

 80周目から数周にわたり、パナソニックコーナー、TGRコーナー、コカ・コーラコーナー、そしてダンロップコーナーとポジションを入れ替えながらのサイド・バイ・サイドの勝負を繰り広げる。

 再三にわたって最終コーナーをインベタのラインで回った福住は、軽いコンタクトを伴いながら塚越を従え首位を奪うと、その後方からはファーストスティントで独走体制を築いたauの坪井が追い上げてくる。

 85周を経て秒差圏内に並んだ3台は、87周目のスピードトラップでau TOM'S GR Supraがこの日最速の303.371km/hを記録して2番手塚越に迫り、そのまま最終コーナーの立ち上がりではNSX-GTのテールにヒットする勢いで張り付いていく。

 これで立ち上がりの鈍った塚越に為す術はなく、88周突入のコントロールラインを前に坪井が2番手へと浮上。目の前にいるARTA福住をターゲットに捉える。しかし97周目にGT300のトラブル車両回収のため再びFCYが発動すると、99周目のリスタートにまさかのドラマが待ち受ける。

 このGT300車両がコースサイドに停車していたコカ・コーラコーナーが黄旗区間となっていた際、優勝争いのマッチレースを展開していた8号車がバックマーカーを追い越してしまい、これがドライブスルーペナルティの判定に。

 そしてその相手だった36号車auは、80km/h制限からの復帰でマシンが機能せず、そのままコースサイドで力尽きるという大波乱の展開に。

 これで思わぬ形で首位に返り咲いた17号車Astemo NSX-GT塚越だったが、そのすぐ背後には14号車ENEOS X PRIMEの山下が迫る。100周を過ぎコンマ5秒差の痺れるバトルが続くなか、さらに後方からはNSX-GTとGR Supraのもう1組、1号車STANLEYの山本と37号車KeePerの平川が近づいてくる。

 すると残り3周の108周目に向けホームストレートを立ち上がった4番手平川は、直線の伸びで勝るGR Supraの自力を見せつけるように、TGRコーナーまでにSTANLEY NSX-GTをパスして表彰台圏内に浮上していく。

 3台が約1秒圏内でファイナルラップに突入すると、GT300のバックマーカー処理でGR Supra同士が横並びになる場面がありながらも、なんとかしのいだ山下が2番手を死守。17号車Astemo NSX-GT塚越がスリリングな三つ巴の最終スプリントを制して今季初優勝を手にし、開幕勝者14号車ENEOS X PRIMが2位でポイントリードをさらに拡大。そして昨季最終戦はここ富士スピードウェイで涙を飲んだ平川が、最後の最後でチャンピオンを仕留め、2戦連続の3位表彰台を確保している。

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