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現時点で明かされている情報だけで推測する──トヨタ プリウスの注目ポイント

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現時点で明かされている情報だけで推測する──トヨタ プリウスの注目ポイント

フルモデルチェンジしたトヨタの新型「プリウス」を、モータージャーナリストの世良耕太が、予想を交えつつ解説する。

タクシー専用車化への反発

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1997年に登場した初代プリウスは、世界初の量産ハイブリッド車としてデビューした。2代目(2003年)は大幅な燃費向上を実現。「モノフォルムシルエット」と呼ぶ5ドア・ハッチバックデザインの採用と相まって次世代環境車のアイコンとして定着した。3代目(2009年)はさらなる燃費向上を図り、ハイブリッド車を広く普及させる役割を担った。4代目(2015年)は新世代プラットフォームである「TNGA」の採用にくわえ、走りの楽しさを付加した。

プリウスがトヨタ唯一のハイブリッド車だったのはごくわずかで、2001年にはガソリン・エンジンを積んだコンベンショナルなモデル(エスティマ)にもハイブリッド仕様が追加されるようになった。トヨタは2005年に23万5000台だったハイブリッド車のグローバルでの販売台数を、2010年代の早い時期に500万台にする意欲的な目標を立て、2013年に達成した。

2022年9月現在のプリウスのグローバル販売台数は約505万台。ハイブリッド車の販売台数は2020万台を超えている。ハイブリッド車の“先駆者”としてのプリウスの役割はもう終えているのではないか? コモディティ(汎用的な商品)に徹するなら、5代目となる新型プリウスは「タクシー専用車でもいいのでは?」というのが、豊田章男社長の意見だった。ハイブリッド車は普及してこそ環境貢献につながると考えるなら、タクシー専用車にするのは確かに、ひとつの手だ。

だが、「(燃費が良いという)合理的なベネフィットではなく、エモーショナルな体験で選んでほしい」と、新型プリウスの開発陣は社長の意見に反発した。11月16日に都内で行った世界初公開のイベントでプレゼンテーションをおこなったのがデザイン領域統括部長のサイモン・ハンフリーズ氏だった点が、5代目プリウスの立ち位置をはっきりと示している。燃費で買うクルマではなく、デザインに惚れて買うクルマに変わったのだ。

といって、歴代プリウスが磨きを掛けてきた燃費性能をおろそかにしているわけではなく、「燃費がいいのは当たり前。(新型では)感性に訴えかけるデザインと走りにとことんこだわった」と、開発責任者の大矢賢樹氏は説明している。

5代目プリウスは、プリウスのアイコンであるモノフォルムシルエットを受け継ぎながら、よりスタイリッシュに仕上げているのが特徴だ。「コモディティが勝つか、Loveが勝つかはお客さまが決める」と、ハンフリーズ氏は語ったが、新型のエモーショナルなデザインを目にすると、Loveが勝つ可能性が高い。

「あんなにAピラーが傾斜していて居住性は大丈夫?」と、心配になるが、優れたパッケージングを追求するのも初代以来のプリウスの伝統と、大矢氏は説明する。全高は先代より40mmも低くなっている(1430mm)が、公開されたパッケージング図を見ると、前席乗員を低く座らせることで(ヒップポイントを下げた)頭上空間を確保したようだ。ドライバーは脚を投げ出したスポーツカーライクな姿勢をとることになる。

となると心配になるのは後席の居住性であるが、ホイールベースの延長(2700mm→2750mm)と前席同様にヒップポイントを下げることなどで前後席間の距離(タンデムディスタンス)は先代比+8mm(936mm)を確保。寸法上は窮屈さを感じさせないパッケージングになっているようだ。

外観上は19インチの大径タイヤを採用したのがポイントだ。明らかに、デザインのためである。発表会場で撮影されたタイヤの写真を確認すると、195/50R19サイズだ。先代プリウスのタイヤは195/65R15と215/45R17の2種類だった。先代の大きい方のホイールより2インチも大径化しているのに、タイヤ幅を細くしているのがポイントで、クラウン(225/45R21)で始めた“大径細幅”のコンセプトを受け継いでいる。

クラウンの場合、大径にこだわったのはサイドビューで見たときのカッコ良さを重視したためだ。プリウスもおなじだろう。とことんカッコ良く見せるためにタイヤを専用に開発し(ミシュランe・PRIMACY)、スクエアな断面(通常はなだらかなコーナー部が角張っている)を実現した。スクエアにすると乗り心地や転がり抵抗の面で不利に働くが、高次元でバランスさせながらスクエアな断面を実現したという。プリウスの展示車はヨコハマ・ブルーアースGTを装着していたが、同様のコンセプトで開発されているのだろうか。いずれにしても、タイヤに関しては先代と異なるスタンスで設定されているのは間違いない。

0~100km/h加速、6.7秒!シャシーは先代プリウスのTNGAに対し、新型は第2世代TNGAを採用する。フロントがマクファーソンストラット式、リヤはダブルウィッシュボーン式のサスペンション形式に変わりはない。TNGAをベースにボディ骨格の補強を施し、剛性を高めている。「走りにこだわった」と、断言しているので、自信はあるのだろう。2022年に登場したノア/ヴォクシー、シエンタ、クラウンはいずれも、走りがいいだけでなく、乗り心地がいい。その流れを受け継いでいるとすれば、新型プリウスも相当期待できる。

肝心のハイブリッドシステムは、プラグインハイブリッド車(PHEV)に1種類、ハイブリッド車(HEV)に2種類設定する。先代は1.8リッター直列4気筒自然吸気エンジンをベースにモーターとバッテリー、インバーターを加えてハイブリッド化していたが、新型は1.8リッターに加えて2.0リッター版を設定した。

システムの詳細は明らかにされていないが、1.8リッターのエンジンは先代と同じ2ZR-FXEだろう。2.0リッターはレクサスUXのハイブリッド車が搭載するM20A-FXSと想像するのが自然だ。これに、ノア/ヴォクシーで投入した最新世代のハイブリッドトランスアクスルとインバーターを組み合わせたのだろうか。バッテリーはアクアを手始めにクラウンにも採用した、高出力型のバイポーラ型ニッケル水素電池と想像したくなる。

2.0リッターHEV車のシステム最高出力は144kW(193ps)と発表されている。先代1.8リッターHEV比で1.6倍の出力だ。先代とは段違いの力強い走りを披露してくれるに違いない(強化されたシャシーと合わせ、頼もしさも増しているはずだ)。これまでのプリウスは強めにアクセルペダルを踏み込むとバッテリーの出力が足りず、エンジンが発電のために始動し、ノイズを響かせたが、エネルギー効率に優れたバイポーラ型であればエンジンの出番は少なくなり、駆動用モーターの働きだけで気持ち良く走れるシーンが増えるはずだ。

2.0リッターPHEV車は高出力のリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、従来型同等の燃費を維持しつつ、164 kW(223ps)のシステム最高出力を達成したと発表されている。0~100km/h加速を6.7秒でこなす俊足の持ち主だ(2.0リッターHEVは7.5秒、1.8リッターHEVは9.3秒)。新型プリウスの魅力を色濃く体現しているのはPHEVだろう。想像をまじえて解説したが、実際のところはどうだろう? 新型プリウスは、デザインと走りと燃費の三拍子がそろった魅力的なクルマにしか見えない。

文・世良耕太

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みんなのコメント

8件
  • 色んな記事を見てるが、内容が推察でなく、
    ある程度の事実なら、とても魅力的な車だ。
    久々に欲しいなと思って馴染みのディーラーに問い合わせしてみた。
    予約は来月らしいが、納期は発売前の予約なら3ヶ月位が目標らしい。
    本気で考えようかな?
  • 先代はあのデザインのせいで、アメリカでは記録的な販売不振を記録したから相当気合い入れて作ったんだろうな。

    ただ、ここまでするとクラウンの立場が。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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