■メーカーや車名のイメージとは異なるクルマを振り返る
車名を聞いたり目にしたりするだけで、ボディ形状をイメージできる場合、そのクルマはかなりメジャーな存在といえます。
たとえば、日産「フェアレディZ」やスズキ「ジムニー」と聞けば、即座にクーペフォルムとスクエアなフォルムが思い浮かぶでしょう。
同様にメーカー名からもクルマをイメージできるケースもあり、フェラーリやロールスロイスならば、流麗なスタイリングのスーパーカーに、大型で威風堂々としたセダンの生産に特化していることがイメージできます。
しかし一方で、かつてはそうしたイメージと乖離したモデルも存在しました。そこで、車名やメーカーのイメージと異なるクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイライン ハッチバック」
日産「スカイライン」といえば、現行モデルでは4ドアセダンのみですが、かつては2ドアクーペと4ドアセダンのクルマというイメージが色濃いモデルでした。
また、昭和の時代にはセダンとクーペだけでなく、ステーションワゴンやライトバンもラインナップされましたが、一代限りで消えた非常にレアなボディが存在しました。
それは1981年に登場した6代目(R30型)で、スカイライン初の試みとして、2ドアハードトップ、4ドアセダンに加え5ドアハッチバックが設定されました。
5ドアハッチバックはステーションワゴンに代わるボディで、直列4気筒DOHCエンジンの「RS」系以外で展開され、リアシート部分までは4ドアセダンとドアも共通でしたが、ルーフエンドからテールエンドに向かってなだらかに傾斜するリアゲートにつくり換えられていました。
4ドアセダンの居住性とステーションワゴンに近い利便性を合わせ持ったクルマでしたが、当時は「5ドアハッチバックは売れない」というジンクスがあり、スカイライン ハッチバックも販売は低迷して、滅多に見かけることはありませんでした。
しかし、性能的にはトップグレードの「ターボGT-EX」で最高出力145馬力/最大トルク21.0kgm(グロス)を発揮する2リッター直列6気筒SOHCターボ「L20ET型」エンジンを搭載し、RSを凌ぐ高速性能を誇りました。
●スバル「ブラット」
現在、スバルのクルマというと、スポーティなセダン「WRX S4」に、ハイスペックなステーションワゴン「レヴォーグ」、さらに前身のモデルだった「レガシィ」と「インプレッサ」が代表的なモデルとして定着しています。
しかし、1977年には海外専用モデルとして、ピックアップトラックの「ブラット」が発売されました。
ブラットは4WD乗用車の草分け的存在だった「レオーネ」をベースに、スタイリッシュなモノコックボディのライトトラックとして開発されました。
フロントまわりはレオーネに準じたデザインですが、2人乗りのキャビンから後ろは純粋なピックアップトラックです。
駆動方式は全グレードが4WDで、エンジンは当初1.6リッター水平対向4気筒のみでしたが、1981年に2代目が登場すると1.8リッター自然吸気とターボをラインナップ。
悪路走破性が高いだけでなくスタイリングも評価され、アメリカでは1987年まで、欧州やオーストラリア、ニュージーランドなどでは1994年まで販売されていました。
日本ではスバルのトラックというと軽自動車の「サンバー」シリーズのみでしたが、海外向けはこのブラットと、「レガシィ アウトバック」をベースにしたダブルキャブの「バハ」も販売された実績があります。
●トヨタ「クラウン ハードトップ」
トヨタ「クラウン」は1955年に初代が誕生した時点で、高級車というコンセプトが確立され、現行モデルの15目にも受け継がれています。
また、クラウンというと当然ながら4ドアセダンですが、かつては前出のスカイラインと同じく複数のボディが展開され、1968年から3代目のセダンをベースにした2ドアクーペの「クラウン ハードトップ」が加わりました。
クラウン ハードトップは、セダンの丸型4灯ヘッドライトのフロントフェイスと異なり角型2灯のモダンなデザインとされ、全体のフォルムは大柄なボディサイズを生かした伸びやかなスタイリングで、パーソナルユースを想定したラグジュアリークーペというジャンルを確立。
ルーフはセダンよりも短く、傾斜角度を寝かしたリアウインドウから大きくオーバーハングしたトランクにつながるラインも特徴的でした。
エンジンはセダンと同じく2リッター直列6気筒を搭載。トランスミッションは3速ATと4速MTが設定されました。
1971年に4代目クラウンが登場すると2ドアクーペが引き継がれ、1979年発売の6代目までクーペがラインナップされましたが、7代目以降は廃止。トヨタのラグジュアリークーペは1981年にデビューした「ソアラ」が引き継ぐことになりました。
※ ※ ※
前出のクラウン以外でも、かつては日産「セドリック/グロリア」に2ドアクーペが設定されていました。
また、現在はステーションワゴンとSUVが主力のボルボにも、1990年まで2ドアクーペの「780」があり、さまざまなニーズに対応していました。
しかし、ニーズの変化や生産・販売の合理化からボディタイプは整理され、今に至ります。
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みんなのコメント
5ドアハッチバック。
その28年後、今度は「5ドアSUV」として12代目・V36スカイラインの
ラインナップに追加設定されたのが「スカイライン・クロスオーバー」。
要はスカイラインセダン(クーペ)とプラットフォームを同じくする、
輸出版のインフィニティ・EX37の国内仕様車でしたが…
コチラもトンとお見かけせずに終わりましたな…w
代は違いますがスカイラインワゴンの発展版である「ステージア」の
方が良かったですね…。
アッパーミドルサイズの5ドアハッチバックは、やっぱり日本では難しい…
スーパーカーの某F社が流行らせた「シューティングブレーク」などという
小洒落たネーミングでもつけてあげれば、多少はイケたのかもしれませんがw