2022年11月16日に初公開となった、5代目新型「プリウス」。歴代プリウスの特徴のひとつであるモノフォルムシルエットを踏襲しながらも、全高を40mmも下げてAピラーを強く寝かせ、19インチ大径タイヤを装着したそのデザインは、歴代プリウスにおいて「過去イチ」スタイリッシュでカッコよい。見た目だけではなく、新型エンジンの採用など、走行性能も大きく磨いたというから、楽しみにしている方も多いことだろう。
今回、プロトタイプモデルではあるが、新型プリウスにいち早く試乗することができた。新型プリウスの走行性能の出来栄えはどうだったのか、ファーストインプレッションをお伝えしていこう。
新型プリウス先どり試乗!! 走って楽しい! 「とりこにするデザイン」は見掛け倒し…じゃなかった!!
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
実車は写真のイメージよりもカッコよかった!!
新型プリウスのエクステリアデザインのポイントは、第2世代TNGAプラットフォームによる低重心化と、プリウス史上最大の19インチ細幅大径タイヤ(プリウス用タイヤは18インチが最大だった)の採用、そしてワイドトレッド化だ。
ボディサイズは、全長4600(+25)mm×全幅1780(+20)mm×全高1430(-40)mm、ホイールベースは2750(+50)mm(カッコ内は先代比)。フロントオーバーハングを25mm伸ばし、リアオーバーハングは50mmも縮めている。Aピラーは強く傾斜しており、リアフェンダー周りにボリュームが増したようにデザインされたことで、まるで後輪駆動のスポーツカーのような雰囲気だ。
モノフォルムはそのままに、全高の低さと19インチ大径ホイールの装着で生まれ変わった
先代と比べて、ばっさりと切り落とされたリアオーバーハング(マイナス50mm)。リアタイヤ周りのボリュームが増しており、後輪駆動のスポーツカーの雰囲気も
インテリアに関しては、以前はインパネにあった電制シフターを、センターコンソールへと移動。新型クラウンとも似た、小型のシフトノブ形状だ。12.3インチの大型センターディスプレイは2.0L車に、8インチディスプレイは1.8L車へと装着されていた。
また7インチのTFTメーターはステアリングホイールの奥へと移動し、bZ4Xと同じく、「アイランドアーキテクチャー」のレイアウトとなった。乗り込む前は遠くて小さいと懸念していたが、慣れれば気にならず、視線移動も減るので有効だ。なおアクセルペダルが、吊り下げ型からオルガン型へと変更されている。「ペダル操作性が改善し、運転が楽になるため」というのが理由だという。
ステアリングホイールの上からデジタルメーターを覗くタイプとなった。そのためステアリングホイールは先代よりもやや小径となっている
試乗は1.8L /2.0L、それぞれ2WD/E-Fourの全4グレード
試乗車は、プロトタイプで、先代から引き継いだ1.8Lハイブリッドの2WD/E-Four、そして新開発となる2.0Lハイブリッドの2WD/E-Fourの全4グレードだ。1.8Lハイブリッドは103kW(140PS)、2.0Lハイブリッドは144kW(193PS)のシステム最高出力を誇り、0-100km/h加速はそれぞれ、9.3秒(1.8L)、7.5秒(2.0L)だという。最上級グレードのプラグインハイブリッド車はさらに速い(6.7秒)が、今回(の試乗会で)は、お預けとなった。
2.0Lハイブリッド車のタイヤは、195/50R19のヨコハマタイヤのBlueEarth-GT。現時点では市販されていないサイズで、新たに製作されたサイズだ。世界中で販売されるプリウスのため、ロジスティクスはタイヤサプライヤと念入りに調整済みだという。なお、1.8Lハイブリッド車には、195/60R17のヨコハマタイヤBlueEarth-FEが装着されていた。
歴代プリウスからは想像つかない加速サウンドの2.0L、1.8Lは消したいノイズが
いよいよ試乗。動き始めのステアリングの手ごたえは軽めだが、センタリングがしっかりと出ている印象で、直進走行に迷いがなく、軽く手を添えていればまっすぐに進む。上質感のあるステアリングフィールなので、上級車向けのラックアシスト式を使っているのかと思ったが、従来のコラムアシスト式(JTEKT製)だった。比較のため先代プリウスにも試乗したが、微舵の曖昧さと戻りの遅れが。新型は確実に進化していた。
速度を上げていくと、2.0Lハイブリッドは、歴代プリウスからは想像つかない加速サウンドが響き渡る。加速力は、2.0L E-Four、2.0L 2WD、1.8L E-Four、1.8L 2WDの順で速まる印象で、どちらもE-Fourはコーナー中で踏み込んでも前に出ていく感覚があり、ちょっと速めのドライブをするには心地が良い。
1.8Lハイブリッドのほうは、車内に入り込むエンジン音がだいぶ大きめ。聞かせるサウンドというよりも消したいノイズに近く、2.0Lハイブリッドのほうが、はるかに洗練されている印象を受けた。
着座位置の低さや前方視野の広さのおかげで、グラリとした揺れを感じさせない、いい足回りに仕上がっている
コーナリングも軽快で、実に気持よく、楽しい走り
コーナリングの所作も軽快だ。小径ホイールのおかげもあり、曲がりの強さはクイック。195幅という細幅タイヤ(先代は最大215幅だった)だが、横方向のグリップ力がかなり高い。後輪のダブルウィッシュボーンサス(ブッシュ特性を改良)の恩恵もあるのだろうが、ヨコハマタイヤのつくり込みが素晴らしく良いのだろう。
ロール挙動も先代比で小さくなったように感じる。着座位置の低さや前方視野の低さのおかげで、グラリとした揺れを感じさせない、いい足回りに仕上がっている。17インチでも大きく印象は変わらず、ロバストな足回りは非常に好感が持てた。
また、ブレーキの所作が非常に好ましい。ブレーキの踏力に対し、減速Gが瞬時に立ち上がる。アクセルオフでの減速度は強いわけではないのだが、レスポンスよく減速Gが立ち上がるので、ちょっとブレーキが遅れても安心感があった(Bレンジは、もう少し強めに減速Gを出してもよいかもしれない)。
コーナリングや加速、減速の挙動など、一連の動作がピタッと決まると、実に気持よく、楽しい走りとなる。プロトタイプとはいえ、完成度の高さに驚かされた。
コーナリングや加速、減速の挙動など、一連の動作がピタッと決まると、実に気持よく、楽しい走ることができる
デザインや走りにこだわる層も十分納得するはず!!
プリウスはこれまで、環境に配慮したクリーンなイメージの構築を行ってきた。ただ昨今は、トヨタのほとんどのモデルでハイブリッド仕様が用意されており、プリウスの役割のひとつでもあった「ハイブリッドの普及」は十分に果たしたといっていいだろう。新型プリウスの開発チームも、5代目のコンセプト造りには大いに悩んだそうで、論議の上でいきついた結論が、「マイカーとして愛されるプリウスを追求したい」だったそう。
そこから、コンセプトワード「Hybrid Reborn」が誕生し、「一目ぼれするデザイン」と「虜にさせる走り」を併せ持ったエモーショナルなプリウスを開発することになったという。よもやあのプリウスに、「エモーショナル」というキーワードが使われるとは思っても見なかったが、実車を目の前にすると、思わずうなってしまうほど、スタイリッシュでカッコよいデザインに仕上がっていた。
そして、限られた試乗コースではあったが、走行性能の高さの片鱗も見せてもらった。この出来ならば、上級車からダウンサイジングしてくる、デザインや走りにこだわる層も十分納得してくれるはず。プリウスは今作もヒット間違いなしだ。
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一般消費者に広くいきわたるように、転売を狙った業者の車両買い占めを
どうにかなくして欲しいものです。