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フェラーリとマセラティを凌駕? アストン マーティンDB12 ローマ グラントゥーリズモ 3台比較試乗(2)

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フェラーリとマセラティを凌駕? アストン マーティンDB12 ローマ グラントゥーリズモ 3台比較試乗(2)

純粋な内燃エンジンを称賛したい

いよいよ出発。それぞれ最新のグランドツーリング・クーペだが、電動化技術は載っていない。マセラティ・グラントゥーリズモには、バッテリーEVのフォルゴーレが加わる予定ながら、2024年後半まで待つ必要がある。

【画像】スーパーなGTクーペ生誕か DB12/ローマ/グラントゥーリズモ スパイダーとフォルゴーレも 全158枚

だとしても、純粋な内燃エンジンを称賛せずにはいられない。数分で満ちるガソリンタンクを積み、ノンストップで600km以上を余裕で走れる能力も、依然として強みだ。

ダイナミックな容姿通り、安楽に速い。グラントゥーリズモのフルスロットル時は、フェラーリ・ローマやアストン マーティンDB12より穏やかかもしれない。それでも、狭く危険な区間も入り混じった一般道では、結局は手に余るほど速い。

ターボチャージャーで加給されるV型6気筒ネットゥーノ・ユニットは、素晴らしいレスポンスで回る。低回転域での排気音から荒々しく、スポーティな印象を強める。パワーデリバリーは終始スムーズ。滑りやすい路面に対する順応性も高い。

ローマのV8ツインターボは、容赦ないほどシャープ。良くも悪くも、常に気持ちが駆り立てられる。乾燥し温かい環境なら、驚異的な操縦性を披露することを体験している。軽快で滑沢で、ドライバーを喜ばせる態勢が常に控えている。

しかし、今日の条件では4000rpm以上まで回すことは難しいようだ。フェラーリの広報担当社は、スタッドレスタイヤを履かせることも可能だと申し出てくれたが、他の2台と条件を合わせるためお断りしていた。

ローマのV8エンジンに圧倒される

路面には凹凸が多く、直線区間は長くても200m。リアタイヤはパワーを受け止めきれず、しばしばスピンする。隆起部分を通過すると、テールが左右へ暴れようとする。筆者の判断は間違いだったらしい。

ドライブモードをウェットにすると、落ち着きが増す。だが、フェラーリが目指すグランドツアラーとして、正解なのかという疑問は残る。より幅広い条件で、有能ぶりを展開できてもいいだろう。

マラネロが仕上げたV8エンジンには、圧倒される。中回転域ではリニアにトルクが繰り出され、7000rpmを超えても鋭く上昇しようとする。DB12の怒号とは異なる、切なくなるようなV8らしいサウンドを響かせる。そして、凄まじくパワフルだ。

ローマは間違いなく速い。反面、グランドツアラーとして、その能力を現実的にどれだけ堪能できるのかという尺度も重要といえる。本来の素晴らしさを、もっと味わいたいと思ってしまう。

グラントゥーリズモも、実際には平滑なアスファルトとの親和性が高い。路面の乱れに対し、アダプティブ・エアサスペンションが減衰力を瞬時に調整するものの、望ましい姿勢制御や大径なタイヤの接地性を保つのに、多少手を焼いている。

ステアリングホイールの感触は軽めで、僅かにダイレクト感が弱い。狙い通りのラインを辿ることが、簡単とまではいえない。ローマを凌駕する、運転体験ではないだろう。

2024年のグランドツーリング・クーペ代表

そんなイタリア勢に対し、DB12のアドバンテージは明白。アストン マーティンの基準としては引き締まったサスペンションが組まれ、低速域では僅かに落ち着かないものの、操縦性は秀抜。ステアリングの重みづけ、正確さ、反応、すべてが完璧だ。

速度が増すにつれ、新しいダンパーが支えるサスペンションが、路面の凹凸を見事に均し始める。乾燥重量で1685kgある車重を、持て余すこともない。

小さいとはいえないボディサイズを、実感する場面もある。とはいえ、濡れたワインディングを想像以上に流暢にこなす。快晴の春の比較試乗なら、ローマの軽さや鋭さ、繊細さ、速さに打ちのめされていたかもしれない。しかし、今日は当てはまらない。

DB12が積む、4.0L V8ツインターボ・エンジンの印象も素晴らしい。アップデートされた駆動系と相まって、動力性能はクラス最速に並ぶ。落ち着いた操縦性が融合し、天候を問わず長距離旅行に出かけたいと思わせる。

インテリアの丁寧な作り込みも、イタリアの2台を凌駕する。デジタル技術で、現代水準に届いていないわけでもない。

辛口に表現すれば、DB11のフェイスリフト版かもしれない。車載技術が、大進歩を遂げたわけでもない。しかし、新しい経営体制の恩恵を受け、秀作といえる仕上がりを得たことは疑いようがない。

従来の弱点は、見事に克服された。動的な強みは、クラスをリードする次元へ磨き込まれた。スーパーツアラーという表現は別として、2024年におけるグランドツーリング・クーペの代表だと、胸を張って主張できる。

グランドツーリング・クーペ 3台のスペック

アストン マーティンDB12(英国仕様)

英国価格:18万5055ポンド(約3442万円)
全長:4725mm
全幅:1980mm
全高:1295mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:276g/km
乾燥重量:1685kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:680ps/6000rpm
最大トルク:81.4kg-m/2750-6000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

フェラーリ・ローマ(英国仕様)

英国価格:18万2675ポンド(約3398万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1301mm
最高速度:320km/h
0-97km/h加速:3.4秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:255g/km
乾燥重量:1570kg
パワートレイン:V型8気筒3855ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ(欧州仕様)

英国価格:16万1250ポンド(約2999万円)
全長:4959mm
全幅:1957mm
全高:1353mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:9.8km/L
CO2排出量:230g/km
車両重量:1795kg
パワートレイン:V型6気筒2992cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:550ps/6500rpm
最大トルク:66.1kg-m/3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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