バハ・ポルタレグレ500に出場したマシンが展示中
三菱自動車は新型アウトランダーPHEVの発表を記念し、東京港区にある本社ショールーム「MI Play Ground」にて2021年10月28日から2022年2月下旬(予定)までの期間、「アウトランダーPHEVラリーチャレンジ展」を開催している。
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これまでにもダカールラリー展やWRC展が行われてきた本社ショールーム。本物の実戦車両のパジェロやランサーエボリューションVIを目の当たりにできるとあって、訪れた人にとって三菱自動車の歴史に触れられる貴重なイベントでもあり、多くのファンが来場し賑わいを見せた。
現在、展示されているのは2015年に電動車開発に携わるエンジニアを中心に構成された三菱自動車チームで参戦した「バハ・ポルタレグレ500」参戦車両。速さだけではなく耐久性も問われる競技に、アウトランダーPHEVの信頼性を実証する場として参加した。
総走行距離約570kmのクロスカントリーラリー
ちなみにバハ・ポルタレグレとは、1987年から開催されているポルトガル自動車連盟が主催するクロスカントリーラリー。スペインとの国境に近い、アレンテージョ地方の古都ポルタレグレを起点に行われている競技だ。2015年は10月22日~24日に開催され、スペシャルステージ約440km、リエゾン約230kmという総走行距離約570kmで競われた。 マシンは市販車をベースにし、PHEVシステムとツインモーター4WDを高性能化してある。具体的には前後のモーターの高出力化を図り、エンジンの高回転化、さらにはジェネレーターの発電量を向上させ、バッテリーの容量もアップしている。
また、ツインモーター4WDと4輪の駆動力・制動力を最適に制御するS-AWC(車両運動統合制御システム)を強化することで、砂道や砂利道、ぬかるんだ道でもトラクション性能が発揮できるようになっている。
さらに悪路走破性を向上させるため、最低地上高とサスペンションストロークをアップし、ラリー専用の大径タイヤ&ホイールを装着。道なき道を進むには欠かせないチューンナップだ。ちなみにレース成績は総合47位(48台中)、総走行時間は11時間45分47秒だった。
パリダカの経験を活かしながらマシンを熟成
今回、1987年からパリ・ダカールラリーに参戦し、2002年、2003年と2年連続優勝を果たした増岡 浩さんに、当時のエピソードやマシンについて話を聞くことができた。
「かっこいいよね。うちの開発者は、こういうクルマを造るのが大好きなんだよね」という言葉の通り、筆者もパッと見た瞬間、かつてのスタリオンターボやパジェロエボリューションの姿が頭をよぎった。「アウトランダーエボリューション」とでもいうべきルックスに仕上がっている。
「じつはこのフェンダーのキットだけでも販売してくれないかって声がありました。そのぐらい、みんなこのスタイルが気に入ってくれたのです」というように、三菱ファンなら誰もが憧れるルックスに仕立てられている。
続けて増岡さんは当時の印象を振り返る。
「どこまでエンジンやモーターの出力をあげられるか、どこまでアクセルを踏み続けてどこまで温度があがるのか? そういうPHEVの限界を探るためには実りの多い現場でした。マシンには、リエゾンモード、SSモード、パワーモードなどいろんなアイテムや機能を盛り込んで走り切りました」
「ほかのマシンは大きなエキゾーストノートを響かせながら走り去るのですが、アウトランダーPHEVは、音が静かなのでコースに出てくるギャラリーが気付いてくれなくて。なかなか避けてくれないのでヒヤヒヤしました。そのぐらい静かなんですね」
実際乗った印象についても聞いてみた。
「パリダカのクルマもそうですが、足まわりは基本柔らかめです。なぜならドライバーに負担がかからないようにしてあるからですね。長距離を高速で走るならドライバーがラクしないと、疲れて走り切れないんです。でもロールが大きいんでしょ? と思う方もいるかもしれませんが、そうでもないです。サスペンションストロークをフルに使って衝撃を抑えるので、乗り心地がいいんです。こういう開発がエンジニアの努力の賜物です。レースは走る前の方が楽しいんです。いろいろな意見を交わし、技術を導入していく。これこそがモータースポーツなんですね」
「12月に発売されるアウトランダーにも、バハで培った技術が反映されています。新型には走行モードが7種類もあるのですが、それぞれにきちんと意味があり、例えば、豪雪地帯でタイヤがスタックしたとき、ただ空転させるだけでは抜けられないんです。でも、一発の力を加えることでタイヤの溝に挟まった雪を吹き飛ばしてくれて、それで溝が復活し、グリップが増すんです。ダートモードも同じですね」
進化した、新型アウトランダーPHEVにも注目したい。
このアウトランダーPHEVラリー展、実際に乗り込んだりドアを開閉することはできないが、当時の迫力を目の当たりにして体験してほしい。会場には貴重な写真で構成されるパネル展示もあるので、ファン必見。タイミングが良いと増岡さんの姿も見られるかもしれないので、ぜひ足を運んでみてほしい。
所在地東京都港区芝浦3丁目1番1号 msb Tamachi 田町ステーションタワーN 1F/2F電話番号:03-6722-6730
交通のご案内・JR山手線・京浜東北線「田町駅」より徒歩2分・都営三田線・浅草線「三田駅」より徒歩3分
※営業時間などは三菱自動車のホームページにて最新情報を確認してください。https://www.mitsubishi-motors.co.jp/carlife/hqshowroom/index.html
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