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マツダCX-5とワイナリーをめぐ……らなかった旅@八ヶ岳

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マツダCX-5とワイナリーをめぐ……らなかった旅@八ヶ岳

CX-5にしかできないこと

横浜をスタートして高速道路を通り、山梨あたりのワイナリーに立ち寄りつつ八ヶ岳のホテルに到着する。

新型CX-5、公道試乗の手応えは、ガソリンか? ディーゼルか?

今回の「マツダCX-5で行く、ロングドライブを楽しむ大人の休日」試乗会においては、これがマツダ広報部の推奨コースらしい。夫婦ふたりで楽しむ1泊2日の小旅行をイメージしているのだそうだ。

時流に則ったプログラムなので当然だが、コースとしては単純。CX-5ならば快適にこなせる鉄板コースだろうが、でもCX-5じゃなきゃ行けない道程というわけでは全くない。

スカイアクティブ技術を満載して2012年にデビューした初代CX-5は売れまくったわけだが、今年フルモデルチェンジを果たした新型も引き続き売れている。

エッジが立ったマスクの精悍さは古希を迎えたお婆ちゃんでもわかるほどだし、走りはじめればすぐにクルマ全体が1枚のフェルト布でくるまれたように静かで、上質になっていることがわかる。

カッコ良くて静かで乗り心地がいい、というだけならばこれまでの国産車にもたくさんあった。だが新世代マツダのキモは中身にある。

大雑把な表現で恐縮だが、スロットルを踏み、ステアリングを切った時の車体の素直な反応に個性があるのだ。CX-5はクロスオーバーSUVでありながら、コーナリングを楽しむことも厭わない。

お決まりのワイナリー・コースは他媒体に任せるとして、われわれは独自のドライブコースを進むことにした。

CX-5で目指すは「ひどい道」

中央道を勝沼ICで降り、田舎道を北上しつつ大弛峠を目指す。標高2360m、山梨県と長野県の県境、奥秩父山塊を乗り越えるこの山道は、自動車で通過できる峠と名の付く場所として日本一標高が高い。

冬季は当然のように雪で閉ざされてしまう峠の山梨県側は全面アスファルト路面なのだが、しかし長野県川上村に下る林道は砕けた岩のダートが続き、一般的な車高のクルマを寄せ付けない。

以前この悪路を、無謀にも我が家のメルセデスAクラスで通過したことがあるのだが、結果はゴロついた岩でフロアを擦りまくり、峠を降り切った頃には樹脂製のアンダーガードがちぎれ飛んでいた。

なぜ途中で引き返さなかったのかと言えば、前輪駆動のAクラスではダートを下ることはできても、Uターンして引き返すことができなかったからだ。

CX-5ほどの車高があれば悪路にリヴェンジできるはず。万が一、これ以上進めないとなっても、4駆ならばUターンも可能だ。

そういえばかつて「ドライのアスファルト路面では4駆のメリットはないですねぇ」と教えてくれたのは、マツダの4駆開発担当の方だった。「CX-5の真価を探るオトナ旅!」われわれは導かれるようにしてブドウ畑の間を抜け、奥秩父山塊の麓に取っついたのである。

CX-5、優秀なスポーツカーかもしれない

大弛峠までの上ぼり道幅狭めのワインディングで、CX-5は軽快な身のこなしを見せた。ロールは小さくないが予想が充分可能なので不安はない。

高名なG-ベクタリングコントロール(GVC)もおそらく効いているのだろうが、エンジニア氏は「GVCは感知できない繊細なレベルで効いてます」と言っていたっけ。

一方2.2ℓのディーゼルは低めの回転を保ったまま、次々とコーナーのエイペックスを刺し、こちらも痛快だ。飛ばせば飛ばすほど車体が小さく感じられるのは優秀なスポーツカーの証だが、CX-5にもこれと似たDNAが確かに宿っていた。

峠の冷涼な空気を吸い込んだ後、ついに今回のハイライトであるダート道に入った。

最初の部分は、俄かオフローダーを寄せ付けないようにわざと(?)整備されていない感じで、何度か「やっぱUターン?」の文字が頭を過った。

けれどCX-5はソフトボール以上に大きな岩があっても、少しもフロアを擦ることなく、こちらを勇気づけてくれる。

視界の良さも路面を把握するのに有効だ。神村カメラマンは「この道ケータイの電波入らないよ!」と心配していたが、われわれには「いざとなればUターンできる選択肢」があるので問題はない。

かつてAクラスで3時間ほどかけてボロボロになりながら通過した悪路を、CX-5は1時間ほどでやり過ごしてみせた。

CX-5には輸入4駆にありがちなヒルディセントコントロールのようなこ洒落たギミックは付いていない。だが結局のところクルマが「意のままになる」という確証さえ得られていれば、滑りやすい砂利道だって鼻歌交じりに走破できるのだということを痛感させられた。

こんな悪路にツルシのクルマで分け入る変わり者は多くないだろうが、クロスオーバーSUVの発する安心感の源泉が、高い走破性能に由来していることは疑う余地がない。

レタスの産地として有名な川上村を抜ければ、八ヶ岳はすぐそこだ。われわれはワインで乾杯する代わりに、野辺山の名物である飲むヨーグルトで乾いた喉を潤したのである。

つかれない それどころか「もっと走っていたい」

翌日の帰路は、2.5ℓガソリンエンジンのCX-5 25S Lパッケージで「素直に」横浜を目指した。

MRCC(マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール)で安楽走行を楽しみながら、ガソリン・モデルのCX-5におけるメリットをあれこれ勘案してみたのだが、結局のところ「低速走行時にエンジンが静かなこと」以外のメリットは見つからなかった。

1.6トンほどの車重が相手ではガソリンは割と頻繁にキックダウンしてエンジンが唸るし、ディーゼルに対し燃費で2割、燃料代で2割ほど割高という公式も相変わらず。

ガソリンはディーゼルよりエンジンの単体重量が軽いのだが、ディーゼルのどっしりと腰が据わった走りの前ではそれもメリットになっていなかった。

帰路における最大の発見はシートだった。長距離をこなすと、自然とお尻が前にずれたり、腰が痛くなってわざとずらしたりということが当たり前のようにあるのだが、CX-5のシートはピタッと1ポジションで何時間でもドライブすることができた。

硬すぎず柔らかすぎず、存在感がない。もちろん良い意味で。

行きはスポーツカーライクな走りとクロカン張りの走破性でわれわれを魅了し、帰路は優秀なクルーズコントロールと安楽シートがもてなしてくれたわけである。

走ったコースは独自でも、結果的な印象がマツダ広報部の筋書き通り、もしくは思うツボというのはしてやられた感が強い。

けれど今回の旅で新型CX-5の全方位的な性能の高さを誰よりも体感した(はずの)われわれが言うのだから間違いない。CX-5は買いの1台だ。

マツダCX-5 25S

■価格 3,267,000円
■全長×全幅×全高 4545×1840×1690mm
■ホイールベース 2700mm
■乾燥重量 1610kg
■エンジン 直列4気筒2488cc直噴ターボガソリン
■最高出力 184ps/6000rpm
■最大トルク 25.0kg-m/4000rpm
■ギアボックス 6速オートマティック
■サスペンション マクファーソンストラット / マルチリンク
■ブレーキ ベンチレーテッド・ディスク / ディスク
■タイヤ 225/55R19
■燃費(JC08モード) 14.6km/ℓ
マツダCX-5 XD

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