現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ガソリン車滅亡の危機を救う切り札!? CO2を増やさない「合成燃料」一般普及の実現性【クルマの達人になる Vol.608】

ここから本文です

ガソリン車滅亡の危機を救う切り札!? CO2を増やさない「合成燃料」一般普及の実現性【クルマの達人になる Vol.608】

掲載 43
ガソリン車滅亡の危機を救う切り札!? CO2を増やさない「合成燃料」一般普及の実現性【クルマの達人になる Vol.608】

 世界中で加速しているカーボンニュートラルの取り組み。自動車業界においても、ガソリン車の今後や電気自動車の普及など、カーボンニュートラル実現に向けて様々な方法が検討・実行されている。

 そんな中で最近話題に上がることが増えたのが「合成燃料」。CO2を増やすことなく燃料を作ることができるとあって、ガソリン車が生き残る道として注目されている。

ガソリン車滅亡の危機を救う切り札!? CO2を増やさない「合成燃料」一般普及の実現性【クルマの達人になる Vol.608】

 そんな合成燃料の期待と課題、そして普及の実現性について国沢光宏氏が分析する。

※本稿は2022年9月のものです
文/国沢光宏、写真/トヨタ、日産、スバル、AdobeStock(メイン画像:luchschenF@AdobeStock ※画像はイメージです)
初出:『ベストカー』2022年10月26日号

■「合成燃料」注目されているけど… 電気には敵わない!?

水素エンジンを搭載したカローラでスーパー耐久に参戦し話題になったトヨタだが、同じくスーパー耐久で合成燃料を使用したGR86も参戦している

 素晴らしい政治家や役人に恵まれているためか、我が国におけるカーボンニュートラルの道はなかなか見えてこない。

「ギリギリで対応すればいいでしょ」ということなんだと思う。

 一方、人を宇宙に飛ばしたり、高度な技術を必要とする航空機をたくさん作っている欧米といえば、カーボンフリーに時間が掛かると考えているらしく、たくさんの代案を出し、そちらに向かっている。

 例えば前述の航空機。

 ここにきて「液体燃料以外は不可能!」ということになっているようだ。

 すなわち代替燃料です。すでにモータースポーツで使われている「P1」などの化学合成燃料を示す。確かに日本からアメリカまで飛べるような電力を貯められる軽い電池などあり得ない。

 水素燃料もエネルギー密度が低く、これまた長距離飛行は物理的に不可能。といって石油由来の燃料を使うとCO2を出す。

 空気中のCO2を回収して作る(光合成含む)合成燃料なら、燃やしても絶対的なCO2の量は増えないということ。

 一番わかりやすいのがサトウキビやトウモロコシから作るアルコール燃料。大気中のCO2を吸収して大きくなる。そいつでアルコール作ったらCO2はリサイクルされるのみ。

 すでに日本で販売しているガソリンの中にも植物由来のアルコールが含まれている。価格も100円/Lしないため、その気になればすぐにでもカーボンニュートラル実現です。けれど農作物由来のアルコールに頼ると、人間や動物の食糧と重なる。

 ここまで読んで「だったら化学合成や光合成する藻類などから作った代替燃料でクルマを走らせたらいいじゃないの」と思うかもしれない。

 実際、ヨーロッパでのガソリン価格は300円/Lに近い。代替燃料を大量生産することで可能な単価と言える。この件、欧州の自動車メーカーに話を聞くと、私らが考えているより一歩先を進んでいるのだった。

 曰く「電気はどんなエネルギーよりコストが低いんです」。これ、私がいつも書いてること。

 今や太陽光発電のコストは、Cセグのクルマ7km走らせるのに15円以下になってきた(大規模なら10円を切る)。自分の家に付けた太陽光発電のコストです。21km走らせようとしたら45円。

 現時点では300円/Lのガソリン入れて走っている人も、近い将来、300円/Lの代替燃料使って走っている人も、電気の圧倒的に安価なエネルギーコストを考えたら、誰だって乗り換えることだろう。

 20年先の着地点は代替燃料じゃなく電気だと欧州の人は考えている。

 という観点で代替燃料を使うエンジン車も全廃させようという方向を選んだように思う。そいつが厳しい厳しい騒音規制と、厳しい厳しい排気ガス規制。

 クリア不可能というレベルでこそないものの(日本の自動車メーカーはクリアしようと頑張っている)、多くの自動車メーカーにとって高いハードルになっている。むしろ電気自動車を選んだほうがリーズナブルなほど。

 ということで代替燃料は航空機や船舶、高価なスーパーカー、競技車両に限られると思う。

こんな記事も読まれています

2戦連続で表彰台を獲得も、ライバルとの差は縮まっていないとメルセデスF1代表「それを埋めたら勝利を目指せるはず」
2戦連続で表彰台を獲得も、ライバルとの差は縮まっていないとメルセデスF1代表「それを埋めたら勝利を目指せるはず」
AUTOSPORT web
【超ビミョー】何コレ?可愛い?珍妙? アバルト製ボート お好きならどうぞ「アバルト オフショア」イタリア人も時々破天荒!
【超ビミョー】何コレ?可愛い?珍妙? アバルト製ボート お好きならどうぞ「アバルト オフショア」イタリア人も時々破天荒!
AutoBild Japan
【AMGラインエクステリア標準】 メルセデス・ベンツCLEにカブリオレ発表 艶消しカラーも
【AMGラインエクステリア標準】 メルセデス・ベンツCLEにカブリオレ発表 艶消しカラーも
AUTOCAR JAPAN
仏アルピーヌ初の電動モデル『A290』、日本導入も…本国では年内ローンチ
仏アルピーヌ初の電動モデル『A290』、日本導入も…本国では年内ローンチ
レスポンス
後席の広さで選ぶ燃費優良車3選! [シエンタ]はさすがに広さ!! なんと[フィット]までランクイン!? 
後席の広さで選ぶ燃費優良車3選! [シエンタ]はさすがに広さ!! なんと[フィット]までランクイン!? 
ベストカーWeb
ショウエイ、ツーリングフルフェイス『GT-Air3』の新グラフィック『NILE』を2024年6月に発売
ショウエイ、ツーリングフルフェイス『GT-Air3』の新グラフィック『NILE』を2024年6月に発売
AUTOSPORT web
リカルドかローソン、どっちなんだい! RB、サマーブレイクでF1ドライバー人事決定か「静かな話し合いを行なう」
リカルドかローソン、どっちなんだい! RB、サマーブレイクでF1ドライバー人事決定か「静かな話し合いを行なう」
motorsport.com 日本版
【MotoGP】アプリリア移籍決定後、初レースウィークにマルティン「ドゥカティの人達と話すのは奇妙な感じ」
【MotoGP】アプリリア移籍決定後、初レースウィークにマルティン「ドゥカティの人達と話すのは奇妙な感じ」
motorsport.com 日本版
「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」のアジアクロスカントリーラリー2024参戦マシンがテスト走行を実施! 総監督の哀川翔氏とドライバー川畑真人氏の意気込みとは?
「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」のアジアクロスカントリーラリー2024参戦マシンがテスト走行を実施! 総監督の哀川翔氏とドライバー川畑真人氏の意気込みとは?
くるまのニュース
日本らしさを全面に押し出したグラフィック! オージーケーカブトが自転車用ヘルメット「FLEX-AIR」に新色を追加
日本らしさを全面に押し出したグラフィック! オージーケーカブトが自転車用ヘルメット「FLEX-AIR」に新色を追加
バイクのニュース
先代[N-BOX]の中古車相場が約10万円アップ!? 新型登場も旧型が高騰するワケ
先代[N-BOX]の中古車相場が約10万円アップ!? 新型登場も旧型が高騰するワケ
ベストカーWeb
発売前は「AE86の再来」と期待されたトヨタ「アルテッツァ」は残念な1台でした…というのは昔の話。現在では中古価格が上昇中です
発売前は「AE86の再来」と期待されたトヨタ「アルテッツァ」は残念な1台でした…というのは昔の話。現在では中古価格が上昇中です
Auto Messe Web
6月29日(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
6月29日(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
Auto Prove
伊藤かずえの愛車は「もう1台」ある!? “30年以上”乗り続ける「シーマ」以外のクルマに「驚きの声」! 6か月点検の様子に反響集まる
伊藤かずえの愛車は「もう1台」ある!? “30年以上”乗り続ける「シーマ」以外のクルマに「驚きの声」! 6か月点検の様子に反響集まる
くるまのニュース
中国吉利の主力セダン『エムグランド』、世界販売386万台…現行型はEVやPHEVも設定
中国吉利の主力セダン『エムグランド』、世界販売386万台…現行型はEVやPHEVも設定
レスポンス
え、そんな大変なことになるの….. エンジンに重大なダメージを与えかねえない[ノッキング]の恐怖!!
え、そんな大変なことになるの….. エンジンに重大なダメージを与えかねえない[ノッキング]の恐怖!!
ベストカーWeb
【MotoGP】ヤマハ、オランダGPで新型エンジンを投入。クアルタラロとリンス改善実感もTTアッセンでは効果控えめ?
【MotoGP】ヤマハ、オランダGPで新型エンジンを投入。クアルタラロとリンス改善実感もTTアッセンでは効果控えめ?
motorsport.com 日本版
えっ、雨の日は死傷事故が4倍!? よく聞く「ハイドロプレーニング現象」って何? スリップして事故らないために気をつけるべきポイントとは
えっ、雨の日は死傷事故が4倍!? よく聞く「ハイドロプレーニング現象」って何? スリップして事故らないために気をつけるべきポイントとは
VAGUE

みんなのコメント

43件
  • このマヌケな記事は…
    と思ったらやはり国沢か。
    Z を買いにいかないのか?
  • 電気代が安いのは今だけ。
    数十万台普及した時点で電力需要逼迫と電気代高騰するのは当然。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村