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「すわっ、AE86の再来か!」と熱狂するも蓋を開けたら期待はずれ……「アルテッツァ」は何がダメだったのか?

掲載 更新 48
「すわっ、AE86の再来か!」と熱狂するも蓋を開けたら期待はずれ……「アルテッツァ」は何がダメだったのか?

 この記事をまとめると

■トヨタはかつてFRスポーツセダンとして「アルテッツァ」を販売していた

強気の価格設定と微妙な立ち位置で結果は残念! 小さなセルシオとして贅の限りを尽くした「トヨタ・ブレビス」がいまみても衝撃作だった

■「AE86の再来」といわれていたが詰めが甘い箇所が目立ち不評だった

■のちにワゴンモデルのジータも登場した

 往年のFRスポーツ「アルテッツァ」を振り返る

 今、猛烈な勢いがある自動車メーカー、トヨタには、鳴り物入りで登場したものの、広く一般的な評価を得られず、1代限りで消滅した不遇のクルマがある。その1台が、1998年に登場し、2005年に生産終了となったコンパクトFRスポーツセダンを基本とした、1998-1999年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したアルテッツアだ(後にワゴン版のアルテッツア・ジータも追加)。スバル・レガシィやマツダ・ロードスターを退けての受賞であった。

 トヨタには、今でも伝説の1台とされるAE86型のレビン・トレノ(1983~1987年)という、当時の走り屋、ドリフト族を熱狂させ、漫画「頭文字D」の主人公の愛車としても登場した、車重900kg台のスポーツモデル(全長4180~4215×全幅1625×全高1335mm、ホイールベース2400mm)が存在したが、同じくFRレイアウトを持つアルテッツアは、「その再来か!?」と期待されたものだった。

 基本となるセダンタイプのスペックは、全長4400×全幅1720~1725×全高1410mm、ホイールベース2670mm。車重は1300~1540kgであった。フロントミッドに搭載されるエンジンはAS200の1G-FE型2リッター直6(160馬力、20.4kg-m。6速MT/4速AT)、RS200の3S-GE型2リッター直4、200馬力、22.0kg-m(5速AT)、210馬力、22.0kg-m(6速MT)、そして2JZ-GE型3リッター直6も用意され、ミッションはステアシフトマチック付き5速AT、4速ATと6速MTが用意され、サスペンションは贅沢にも前後ダブルウイッシュボーンである。ちなみにRS200の3S-GE型エンジンはハイオク仕様だった。

 そもそもアルテッツアの基本部分は、当時まだ日本で販売されていなかったレクサスの海外向けレクサスIS=コンパクトFRスポーツセダンのために開発、つまりドイツのBMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスと戦うための世界戦略車として位置づけられたモデル。欧州や北米で勝負するため、当然、欧米の基準に合致した高いボディ剛性や安全性能が求められる。そのため、AE86と比較すれば、300kg以上重いクルマになってしまったのである。

 いろいろと詰めが甘かった

 グレードは直4エンジンのRS200と直6エンジンのAS200があり、とくに最初はATのみだったAS200の直6エンジン搭載モデルのタイヤは、195/65R15を基本とするコンフォートタイヤを履くことから、上級ラグジュアリーセダンというキャラクターとなり、FRスポーツセダンという期待値から離れてしまったのも事実。RS200では215/45R17という走りに振ったサイズとなっていた。

 一般ユーザーなら、そのあたりはあまり気にしなかったかも知れないが、ライトウエイトな「AE86の再来」と勝手に期待したスポーツセダンユーザーにとっては、アルテッツァのスペックを見て、「ちょっと重すぎるんじゃね」と思って当然だった。

 たしかに、2リッター直4の3S-GE型ユニットはチタンバルブ、デュアルVVT-i(可変バルブタイミング・リフト機能)を備え、200~210馬力ものスペックをもっていたものの、実際、エンジンは高回転・高出力型で、ユーザーによっては低速トルク不足、低速でのアクセルレスポンス不足を指摘した声もある。

 期待された新開発6速MTは、6速をオーバードライブとした燃費にも気遣ったギヤ比、スポーツドライビングのポイントとなる2-3速ギヤのスポーティじゃない開きもあって(マイナーチェンジでファイナルを4.1から4.3に変更し、ローギヤード化した)、とにかくエンジンをまわさないとつまらない(!?)特性に仕立てられている……という評価もあったのだ。

 だから、AE86に熱狂したユーザーにしてみれば、車重増を含め、アルテッツアは期待外れのクルマになってしまったということになる。そこが、1代限りで消滅した理由のひとつといえるかも知れない。1990年代後半は、ホンダ・オデッセイ(1994年~)の登場によって、空前のミニバンブームでもあったわけで、セダンタイプに光が当たりにくくなった時代でもあった。

 もっとも、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員たち、つまりクルマの専門家に評価されたクルマであり、根っからのAE86ファン以外にとっては、トヨタからの念願のコンパクトFRスポーツセダンの登場、AS200の直6エンジンの気もちよさ、ラグジュアリーセダンとしてのキャラクターに共感した人も少なくなかったはず。そして、直6エンジンはアルテッツアベースのワゴン、ジータとの相性もよかったように記憶する。

 では、現在のアルテッツアの中古車市場はどうなっているのか? 今では新車で手に入れにくい6速MT車を中心に、ドレスアップ、チューニングを行ったクルマが少なくなく、20年以上前のクルマにして100万円台~が中心。ジワジワと価格高騰中だ。いい方を変えれば、中古車で軽く200万円をオーバーし、300万円もありうる、今となっては伝説の希少車種のAE86よりは、当時のコンパクトFRスポーツセダンとしては買いやすいともいえそうだ。

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みんなのコメント

48件
  • Blue Moon
    AE86、、
    アニメで評判になるまでは、鉄屑価格で売ってましたから。
    現役時代も特に評価が高かったわけでもないし。
    別に名車じゃないよ。
  • vac********
    再来と騒いだのは雑誌だけ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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