4代目ジムニーは見た目も魅力的だが、乗ってみるとパッションが沸き立つ。林道を走りたくなる衝動や、敢えて厳しいルートを選びたくなるワクワク感、乗ってみるとよく理解できるのだ。
ジムニーは軽自動車だ。乗る前から、ある程度走行フィールは脳内にイメージされる。エクステリアデザインにわくわくしつつ、乗り込む。コマンドポジションのシート座り、いやにスクエアでアップライトなフロントウインドウに刺激され、その先には、フラットで四角いボンネットが見える。
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スタートボタンを押す。そう、キーシリンダーは回さない。5速MTのギヤを1速に入れクラッチをつなぐ。クラッチは軽自動車らしく軽い。クラッチミートさせ走り出すと、意外にも軽自動車特有の軽いエンジン音がしない。静かだ。
シフトレバーはミッショントンネルから伸び、ちょうどいい位置にグリップがある。そして少し手を後方に延ばすとサイドブレーキレバーに触れることができ、最適なレイアウトになっている。その間のやや低い場所に4WDと2WDの切り替えレバーがある。昔ながらの切り替え方式で、かなり力を使って切り替える。その懐古的な動きは意図的な設計なのだろうか。なぜか、ニヤっとしてしまう。
一般道をわずかしか走行していないが、いい意味で軽らしくない。軽を運転しているフィールはなく、安っぽさを感じることがないのだ。
乗車位置が高く、コマンドポジションからはノーズの先端やフェンダーの左右が見える。この高さ、見える景色は軽自動車に乗っている感じがなく、乗用車的な安心感もある。そして、悪路走破力の高さが脳裏にあると、悪路や林道に入っていきたくなる衝動が沸き起こってくるのだ。
一方ジムニーシエラは1.5Lの自然吸気エンジンで普通車。ジムニーをワイドトレッドにしてオーバーフェンダーにしただけで、多くをジムニーと共有している。こちらは4AT車で試乗した。イマドキの4ATなのだが、その理由はvol.2で説明したように、グローバルカーであることが主な理由だ。
60km/hで走行すると2250rpmを示す。やはり回転は高めなのだが、エンジン音がうるさくない。ジムニー、ジムニーシエラともに静粛性が非常に高くつくられているということだ。このあたりをエンジニアに聞くと、エンジンマウントがうまくできたという回答だった。
「操縦安定性、シャシー設計、NVHはセットで開発し連携しあうことが大切で、ジムニーは非常にうまく噛み合った結果です」という。「ブッシュ自体の進化、部品の進化もあり、入力のいなし方がうまくできるようになりました」とっ説明する。また、ラダーフレームとボディで構成されるが、ボディ剛性を非常に高く感じ、しっかりとした印象で、大きなギャップを越えるときでもしっかりボディ剛性の高さを感じながら、しっとりといなしていく。
クルマ全体に剛性があり、ブッシュがいい仕事をし、サスペンションも良く動く。だからNVH性能がいいというわけだ。かといって、オンロードをハイスピードでコーナリングを楽しむというものでもない。
また、操舵フィールはステアリングにダンパーを装備し、悪路対策したパーツが操舵フィールを良くしている。悪路でのキックバックなど怪我をしないようにダンパーを装備しているが、舗装路での操舵フィールにもいい方向で部品の影響が出ていると思う。
クルマの動きとしては本格SUVらしく、ステア操舵はややダルにしてあり、悪路走行を想定した設定が程よい。
悪路でも
悪路の走行テストはクローズドのオフロードコースを走行した。モーグル、すり鉢、キャンバーといったコースが設定され、それぞれの機能を試す。
ヒルディセントでは急な坂道を下り、途中ブレーキを踏むとブレーキが優先され、ブレーキを離すとヒルディセントは解除されておらず復活する。タイヤのグリップをセンサーが検知しながらブレーキをコントロールするので、人間センサーよりも敏感で、俊敏な反応が可能。クルマ任せで下るのが安心だ。
登り坂でのヒルホールドスタートは2.5秒間ブレーキを保持し、坂道発進をサポート。MT車の坂道発進では有効だし、アドベンチャー的な悪路走破でも有効な装置であることは間違いない。
モーグルではブレーキLSDが作動し、空転するタイヤにブレーキをかけ疑似LSD効果を作りだす。そのため、3輪状態やスリップするような泥濘地でも楽に脱出ができることを体験。実は外から見ていると、このモーグルは派手な車体、車輪の動きなので、いかにも悪路走行に見えるのだが、車内は意外と水平が保たれているので、外で見るほどドライバーは傾斜を感じていないのだ。それだけ、サスペンションストロークがあり、トラクションが安定していることを物語っているわけだ。
4WDモードでローギヤード化する「4L」では、ESCと自動緊急ブレーキが解除される。それは、森の木立の中を進むとき、垂れさがる枝に反応してブレーキがかかってしまうようなことがないようにというまさに、本格的なシチュエーションを想定しての設定になっている。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
> 【ジムニーに冒険心をあおられ、心揺れる大人たちへ vol.1】4代目ジムニーの四角いデザインには理由がある
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