現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 名作「ミウラ」誕生までの実話(1965-1966)【ランボルギーニ ヒストリー】

ここから本文です

名作「ミウラ」誕生までの実話(1965-1966)【ランボルギーニ ヒストリー】

掲載 更新
名作「ミウラ」誕生までの実話(1965-1966)【ランボルギーニ ヒストリー】

Lamborghini Miura

ランボルギーニ ミウラ

名作「ミウラ」誕生までの実話(1965-1966)【ランボルギーニ ヒストリー】

ミウラの原案はダラーラによるもの

1963年に創業したランボルギーニにとって幸運だったのは、若く優秀なスタッフに恵まれたことだった。とりわけジャン・パオロ・ダラーラ、そしてパオロ・スタンツァーニという、ふたりのエンジニアの発想は、後のランボルギーニのプロダクトに先進性を始め、さまざまな特長を生み出していくことになる。

その象徴的な存在ともいえるのが、ここで紹介する「ミウラ」だ。ミウラの原案はランボルギーニという新天地で、モータースポーツへの進出を胸中で描いていたダラーラによるもので、社長のフェルッチオ・ランボルギーニは創業時からモータースポーツとは明確に一線を引く考えを崩してはいなかったものの、いつでもそれに参戦できる実物を目にすれば、その考えも変わるのではないかというのがダラーラの偽らざる気持ちだった。そして彼は、当時のフォードGT40にインスパイアされたミッドシップスポーツを、まずはロードカーとしてランボルギーニから市場へと送り出すことを提案したのである。

フェルッチオは限定車程度にしか考えていなかった

そのプロジェクトは、最初は正式なものではなかった。それは、あくまでも多忙を極めるダラーラの机上でのみ、すなわち設計図上でのみ進んだもので、彼はそれを「プロジェクト・ミニ」と呼んでいた。これはミニのメカニカルコンポーネンツをミッドシップにしたコンパクトなスポーツカーで、実際にフェルッチオへのプレゼンテーションでも、それが用いられた。フェルッチオは、最終的にランボルギーニの象徴ともいえるV型12気筒エンジンを搭載したミッドシップスポーツのプロジェクトに開発の許可を与えたものの、本心はそれが大きなビジネスにはならないだろうと考えていたようだ。ランボルギーニの名をさらに広めるための限定車にでもなればよい、といった程度の評価だったともいう。

1965年、ミウラの原型「TP 400」発表

正式なプロジェクトとしての承認を得たダラーラは、スタンツァーニとともにV型12気筒ミッドシップのプロジェクトを本格的に始動する。まず、これまでの350 GT、400 GTから大きく変化したのは、構造体が剛管スペースフレームからスチールパネルを溶接したものへと変化したこと。ミッドのV型12気筒エンジンは4リッターと、400 GTのそれに共通する排気量を持つがエンジンとギアボックスの潤滑を共用するなど、ダラーラがプロジェクト・ミニで採用していた、いわゆるミニと同様のシステムが用いられている。そしてランボルギーニはまず、このベアシャシーとV型12気筒エンジンのみの姿で、自ら新型ミッドシップスポーツという新たなプロジェクトが存在することを「TP 400」のネーミングとともに、世界に広くアピールしてみせた。1965年のトリノ・ショーでのことだった。

可能性を見出して多くのカロッツェリアが名乗りを上げる

TP 400を見た誰もがランボルギーニがレースの世界に進出してくることを予想したに違いないが、同時にそれにどのようなボディが組み合わされるのかに興味を抱いた。実際この段階ではまだボディデザインは一切決定しておらず、フェルッチオのもとには多くのカロッツェリアからボディのデザインと製作を請け負いたいというリクエストが届いたという。最終的にフェルッチオがパートナーとして選んだのは、トリノのカロッツェリア・ベルトーネ。当時のベルトーネは、それまでのジョルジョット・ジウジアーロに代わり、こちらも20代という気鋭のデザイナー、マルッチェロ・ガンディーニをチーフ職に任じたばかりだった。そして実際にガンディーニが描き出したミウラのデザインは、フェルッチオはもちろんのこと、見る者すべてを感動させる美しさをもつ仕上がりとなった。

TP 400のデビューから1年後、1966年のトリノ・ショーで正確には「P400 ミウラ」とネーミングされたランボルギーニ初のV型12気筒ミッドシップは、こうして誕生した。レースへの参戦を想定していない純粋なロードカーであることを考えれば、それはスーパーカーの原点といえる1台といえるのかもしれない。(続く)

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

こんな記事も読まれています

あまり重いと走行不可能! 重い積み荷の巨大トラックは「何トン」まで公道を普通に走ってOK?
あまり重いと走行不可能! 重い積み荷の巨大トラックは「何トン」まで公道を普通に走ってOK?
WEB CARTOP
ホンダが認証不正で会見 対象車種の累計販売は325万台 「遵法性の意識に大きな問題」
ホンダが認証不正で会見 対象車種の累計販売は325万台 「遵法性の意識に大きな問題」
日刊自動車新聞
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
GQ JAPAN
新デザインになった「ゆるキャン△ピングカー」イベント展示とオフィシャルグッズ販売が決定!
新デザインになった「ゆるキャン△ピングカー」イベント展示とオフィシャルグッズ販売が決定!
乗りものニュース
エステバン・オコン、今季限りでアルピーヌを離脱「次の計画はすぐに発表する」
エステバン・オコン、今季限りでアルピーヌを離脱「次の計画はすぐに発表する」
motorsport.com 日本版
ルノー「カングー」でこだわりの趣味を満喫!最長1年間貸与のモニターキャンペーン第3弾
ルノー「カングー」でこだわりの趣味を満喫!最長1年間貸与のモニターキャンペーン第3弾
グーネット
シボレー「コルベット E-RAY」発表 史上初の電動化&AWD車 加速性能は歴代最速に
シボレー「コルベット E-RAY」発表 史上初の電動化&AWD車 加速性能は歴代最速に
グーネット
ホンダ、新エアロにより最高速は向上も残る課題。新エンジン投入はサマーブレイク後の見込み/第7戦イタリアGP
ホンダ、新エアロにより最高速は向上も残る課題。新エンジン投入はサマーブレイク後の見込み/第7戦イタリアGP
AUTOSPORT web
ザ・ニッポンの高級車の進化──新型トヨタ・クラウン・クロスオーバー試乗記
ザ・ニッポンの高級車の進化──新型トヨタ・クラウン・クロスオーバー試乗記
GQ JAPAN
トヨタの豊田章男会長、不正発覚で陳謝 「間違いをした時には一度立ち止まる」 認証プロセス管理の仕組みは年内に
トヨタの豊田章男会長、不正発覚で陳謝 「間違いをした時には一度立ち止まる」 認証プロセス管理の仕組みは年内に
日刊自動車新聞
ボルボの最新BEV「EX30」の全身に息づく"ほどよきこと"の魅力
ボルボの最新BEV「EX30」の全身に息づく"ほどよきこと"の魅力
@DIME
トヨタが発表した不正行為と対象車種の一覧
トヨタが発表した不正行為と対象車種の一覧
日刊自動車新聞
「5ナンバー車」もはや中途半端? 規格を守る意義 “ちょっと幅出ちゃって3ナンバー”と、実際違いあるか
「5ナンバー車」もはや中途半端? 規格を守る意義 “ちょっと幅出ちゃって3ナンバー”と、実際違いあるか
乗りものニュース
『フェルスタッペン×アロンソ』“最強タッグ”の可能性はあったのか? レッドブル重鎮マルコ「チームを良い方向に進めるのは難しかっただろう」
『フェルスタッペン×アロンソ』“最強タッグ”の可能性はあったのか? レッドブル重鎮マルコ「チームを良い方向に進めるのは難しかっただろう」
motorsport.com 日本版
[サウンド制御術・実践講座]「タイムアライメント」を使いこなせると、演奏を立体的に再現可能!
[サウンド制御術・実践講座]「タイムアライメント」を使いこなせると、演奏を立体的に再現可能!
レスポンス
【途中経過】2024年スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝1時間半時点
【途中経過】2024年スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝1時間半時点
AUTOSPORT web
そろそろ“フルモデルチェンジ”!? 17年モノ「ミニバン」に10年モノ「セダン」も!? ロングライフな「国産車」それぞれが愛される理由とは
そろそろ“フルモデルチェンジ”!? 17年モノ「ミニバン」に10年モノ「セダン」も!? ロングライフな「国産車」それぞれが愛される理由とは
くるまのニュース
【SUPER GT Round3 SUZUKA GT 3 Hours RACE】37号車Deloitte TOM’S 笹原&アレジ組がGT500初優勝!GT300は777号車D'station Vantage GT3が完勝
【SUPER GT Round3 SUZUKA GT 3 Hours RACE】37号車Deloitte TOM’S 笹原&アレジ組がGT500初優勝!GT300は777号車D'station Vantage GT3が完勝
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

178.9209.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

76.0575.0万円

中古車を検索
ミニの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

178.9209.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

76.0575.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村