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かつての人気「リッターカー」なぜ苦戦?  軽の隆盛/ニーズ変化が背景

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かつての人気「リッターカー」なぜ苦戦?  軽の隆盛/ニーズ変化が背景

リッターカーが売れなくなった

かつて日本は「リッターカー」と呼ばれるクルマが人気を集めていた。

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排気量1Lのエンジンを搭載したコンパクトハッチバック車だ。

昭和の時代はダイハツ・シャレードや日産マーチが人気を集めた。平成になった1999年にはトヨタのヴィッツが登場。販売ランキング上位をうかがうようになる。

2004年からはヴィッツよりも、さらに小さなトヨタのパッソとダイハツ・ブーンの兄弟も誕生。

2012年には、三菱のミラージュもリッターカーとして復活している。

ところが、そんなリッターカーが最近では、さっぱり売れなくなっている。

「ヴィッツの後継モデルであるヤリスが売れているだろう」と思う人がいるかもしれない。

確かにヤリスは、今、非常に売れている。

しかし、その内訳を見ると、半分がSUVの「ヤリス・クロス」であり、残りの半分が1.5Lのハイブリッド。そして、最後に残ったうちの6割が上級グレード。

つまり、エントリーの1Lエンジン搭載車は、ほんのわずかしか売れていないのだ。

ちなみに2020年上半期(1~6月)の新車販売ランキングを見ると、パッソは1万778台の販売で21位、日産のマーチは4942台で45位、三菱自動車のミラージュとダイハツのブーンは共に50位より下の圏外。

「さっぱり売れていない」という状況だ。

では、小さいクルマのニーズがなくなったのか? というと、そんなことはない。

小さいクルマの人気は根強い

ヤリスは1~6月で約12万台が売れており、その半分がヤリス・クロスであったとしても、残る6万台は1Lと1.5L、そしてハイブリッドのヤリスそのものなのだ。

また、日産ノートも1~6月には4万6879台も売れて販売ランキング7位。フィットはやや苦戦していて、2万9686台の12位。

アクアは7月にフルモデルチェンジで、上半期はモデル最終盤ということもあり2万119台で19位。

しかし、年の後半では単月で2位になるなど好調に売れている。

1.5Lのガソリンとディーゼル・エンジンを搭載するマツダ2は、上半期が1万2750台で25位。

ライバルと比べると数は少ないが、これでもマツダ車としてはトップの売り上げ。マツダとしては悪くない数字なのだ。

つまり、小さなクルマのニーズは手堅くあるものの、リッターカーだけが不調ということだ。

軽自動車はどうかといえば、コロナ禍となった2020年は軽自動車全体で前年比マイナス20万台の年間約170万台であった。

一方排気量を66ccに拡大した平成元年以降、これまでの約30年の間、ほぼ160~220万台の中で推移。手堅く売れている。

小さなクルマのニーズはあるものの、リッターカーだけが苦戦する理由は何であろうか?

小さなクルマのニーズの中身

ここで小さなクルマのニーズと現在の市場ラインナップを整理してみたい。

小さなクルマのニーズは、ざっくりと以下の3つに集約されるだろう。

小さなクルマのニーズ

・なるべく安いクルマが欲しい。

・扱いやすいサイズ/室内の広い(実用性の高い)クルマが欲しい。

・扱いやすいサイズで、高性能(走行性能など)なクルマが欲しい。

一方、小さなクルマとして実際に販売されているラインナップは以下のようになる。

実際に販売される小さなクルマ

・安価で小さな軽自動車(アルトやミラなど)

・室内の広い「ワゴンタイプの軽自動車」(NボックスやワゴンRなど)

・安価な「リッターカー」(パッソやマーチなど)

・1.5Lエンジンやハイブリッドの「高性能なコンパクトカー」(ヤリスやアクア、マツダ2など)

・「室内の広いコンパクトカー」(ノートやフィットなど)

ニーズとラインナップをすり合わせれば、「安いクルマが欲しい」というニーズの第1候補は「軽自動車」だ。

税金の高い登録車は除外される。

続いて「室内の広いクルマ」は、「ワゴンタイプの軽自動車」と「室内の広いコンパクトカー」になる。

ランニングコストを重視するなら軽自動車、走行性能もあわせてほしければ「室内の広いコンパクトカー」になる。

そして走りや燃費の良いクルマとなれば、1.5Lエンジンやハイブリッドの「高性能なコンパクトカー」が選ばれる。

リッターカーが提供する価値

つまり、ニーズ側から見ると、リッターカーを求める層がいないのだ。

リッターカーの価値は、「安いこと」と「走行性能が良いこと」の2点だ。つまり、「安いクルマが欲しい」と「高性能なクルマが欲しい」というニーズに応える。

しかし、安さで言えば税金の安い軽自動車にはかなわないし、走行性能では1.5リッター車やハイブリッドにはかなわない。

さらに近年の軽自動車の走行性能の向上は目覚ましく、燃費性能も驚くほどの高レベルである。

街中を走るだけであれば不満はないだろう。

かつては、「安いクルマが欲しいけれど、やっぱり軽自動車は走りがダメ」と考える層が一定数いた。軽自動車の走りに満足できない人たちだ。

そうした人たちがリッターカーの主な購買層であった。

ところが、軽自動車が進化するに従い、そうした考えは少なくなる。そうとなれば、コストを重視する人は軽自動車に流れてしまう。

かつてあったニーズが、今では消えてしまった。それが、現在のリッターカー苦戦の理由ではないだろうか。

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みんなのコメント

19件
  • リッターカーが苦戦というよりも、メーカーが手抜きしてつくったようなクルマが苦戦かな。
    例えばパッソなんて、軽自動車の質感よりも劣る。
    チープすぐるリッターカーを買うくらいならば、軽自動車を買ったほうが幸せになれる。
  • こういうクルマの需要は日本だけじゃないから、
    そんな狭い視点であれこれ言っても意味なし
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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