2024シーズン締めくくりのファン感謝イベント
2024年12月14日、15日の2日間、東京のHondaウエルカムプラザ青山とP.O.Minamiaoyama Hallで、「Honda Racing 2024 SEASON FINALE」が開催されました。
【画像】『Honda Racing 2024 SEASON FINALE』の模様を画像で見る(25枚)
このイベントはホンダ・レーシングのモータースポーツのフェス型イベントです。2023年までは「Honda Racing THANKS DAY」として、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されていましたが、今年(2024年)は東京に会場を移しての開催となりました。
「Honda Racing THANKS DAY」は、二輪と四輪のモータースポーツに参戦するホンダならではのイベントで、いずれのレーシングマシンが見られることに加え、ライダーとドライバーが一堂に会してファンと交流していました。
今回の「Honda Racing 2024 SEASON FINALE」もまた、そのコンセプトは継承され、Hondaウエルカムプラザ青山には二輪、四輪のレーシングマシンが展示され、ライダーとドライバーが同じプログラムに参加して、大いにファンを楽しませました。
勝つためならば手段は選ばない!? 選手たちの負けず嫌いがさく裂
なかでも「ライダー&ドライバーGOGO身体能力対決」は、大盛り上がりとなりました。このプログラムは、6名のライダーとドライバーがチームを組み、3つのチームで競い合うというものです。
なにしろ「超」がつく負けず嫌いの選手たちです。ファン向けイベントのプログラムだろうと、負けず嫌いがさく裂します。
「コースの一筆書き対決」(指定されたコースを記憶だけを頼りに一筆書きする)、「記憶力早押し対決」(モニターに映された場所を見て、どのサーキットかを当てる)、「動体視力対決」(モニターに高速で流れる文字を見て、それを答える)という3種目が行なわれましたが、「動体視力対決」では、中上貴晶選手擁するCチームが、スマホでモニターを撮影してコマ送りで文字を確認するという、“不正”発生なんてことも……!
早押しの問題では、問題が出る前にボタンを押しまくり、司会のピエール北川さんを困らせたりもしていました。「どんな勝負でも負けたくない!」というアスリート魂に火が付いたようです。あまりに自由な選手たちに会場が爆笑に包まれるなか、高速で流れる文字をあっさり答えるなど、さすがの身体能力を披露してもいました。
なお、このイベントはホンダのYouTubeで配信されており、「ライダー&ドライバーGOGO身体能力対決」も、アーカイブで見ることができます。
電動トライアルバイクがお目見え
また、屋外のテラスでは、藤波貴久選手、小川友幸選手による、トライアルデモンストレーションが行なわれました。藤波選手は電動トライアルバイク「RTL ELECTRIC」を、小川選手は「RTL301RR」を駆り、設置された階段などを軽々と上り、狭いスペースでジャックナイフやウイリーを決めるなど、超絶パフォーマンスを見せました。
バイクを手足のように操るトライアルのデモンストレーションに、観客も大興奮。藤波選手と小川選手が「バイクに乗っているとは思えない」パフォーマンスを披露するたびに、大きな歓声が上がっていました。
余談ですが、トライアルはサーキットで行なわれるレースと違って、走り出したら走りっぱなし、というわけではなく、藤波選手も小川選手もマイク越しに「今からこういう技をしますよ」と解説しながらデモンストレーションを披露していました。
バイクの技だけでも度肝を抜かれるほど素晴らしいのに、このお2人、トークもたいへんお上手なのです。素晴らしいパフォーマンスと巧みなトークに、ぐいぐいと引き込まれてしまいます。トライアルライダーは、話術も必須項目なのでしょうか……!?
さて、藤波選手は現在、トライアル世界選手権に参戦するレプソル・ホンダ・チームの監督を務めていますが、今季、この日走らせた電動トライアルバイク「RTL ELECTRIC」で全日本トライアル選手権第6戦から第8戦の3戦に参戦しました。そして、その3戦全てで優勝を飾っています。
イベントの途中、メディア向けに行なわれた囲み取材では、藤波選手は今後の電動トライアル車の可能性が「高いと思います」と語っています。
「すごく楽しかったんですよ! 乗っていていろいろな新しい発見があって。ガソリン車にはない、新しい行き方があったり、エンジン車よりも簡単にいけるんだ、というところがたくさんあったりね。周りのスタッフさんから止められるくらい、いろいろなところを攻めてみたくなるようなマシンでした」
「参戦した全日本は、(トライアル世界選手権に参戦する)トニー(・ボウ。トライアル世界選手権で18連覇を達成している)もYouTubeで見ていて、(優勝したとき)誰よりも先に“おめでとう”と連絡が来るくらい、すごく気にしてくれていました。“早く乗せろ。もういいだろ、隠すな!”と言われていますけど、まだ乗せてないです(笑)。反響はものすごかったですね」
この囲み取材のあと、藤波選手と「RTL ELECTRIC」による撮影が行なわれたのですが、マシンの電源をオンにして、藤波選手がスロットルを開けて見せるシーンもありました。まさに、電動バイクならではのシーンでした。
中上貴晶選手、現役を退いたオフシーズン
この日最後のプログラムは、2024年シーズンをもってMotoGPフル参戦ライダーを退いた中上貴晶のトークショー、「中上貴晶 挑戦の軌跡」でした。最後には中上選手が所属していたイデミツ・ホンダLCRに、2025年から所属するソムキアット・チャントラ選手が登壇し、花束を渡しました。
今後、中上選手は、ホンダの開発ライダーを務めます。現役に一区切りをつけたこのオフシーズンはゆっくりするのかと思いきや、どうやらまだ休みには入らない模様。このイベントの翌週、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでのテストに向かうと語っていました。
中上選手の「ホンダのMotoGPマシンを改善する」という意気込みは、コメントの随所から感じられました。イベントの合間を縫って行なわれた囲み取材でも、こう語っています。
「来週初めてテストチームに合流します。そこでHRCのテストチームがどういう風にやってきたのか、やっているのか肌で感じて、気づいた点ややり方について改善点などをどんどん伝えて、スピードアップにつなげたいと思っています」
会場には「ありがとう中上貴晶 特別展示」が設けられ、多くのファンが、設置されたボードに中上選手へのメッセージを書き込んでいました。第一線を退く形にはなりますが、今後も中上選手は様々な形で、MotoGPに寄り添っていくのでしょう。
今回はサーキットではなく、東京の青山で行なわれたモータースポーツイベントとなりましたが、多くのファンが足を運び、シーズン中は見られない、リラックスした姿の選手たちのトークや、展示などを楽しんでいました。
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