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日産の“本気”とは? 新型ノート試乗記

掲載 更新 31
日産の“本気”とは? 新型ノート試乗記

フルモデルチェンジした日産のコンパクトカー「ノート」に小川フミオが試乗した。シリーズハイブリッドの「e-POWER」仕様のみになった新型の印象は?

クルマ好きの心に刺さりそう

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日産自動車は「ノート」をフルモデルチェンジし、2020年11月24日に発表、12月23日より販売を始める。11月のおわりに日産のテストコースで、まだナンバープレートがついていない状態のまま、はやばやと試乗した。

新世代のプラットフォームを使ったシリーズハイブリッドである新型。乗ると、これまでのモデルよりうんとパワフルになっていた。さらに自然な加減速のフィールなど、運転感覚が、驚くほど新しい感じになった。そこがいい。

当初想定されている市場での競合車種は、トヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」という。ヤリスはきびきび走るし、フィットのとくにハイブリッドモデルは、広いうえに、驚異の低燃費(リッターあたり29.4km)。どれも個性がある。

あたらしいノートも負けていない。シリーズハイブリッドだから、モーターの力によって、スムーズな操縦感覚を追求しているのが、印象的だ。全長4045mmのボディは取りまわしもよく、市街地で乗るのにとてもぐあいがよさそうだ。

このクルマ1台でもいいし、たとえばスポーツカーオーナーのセカンドカーにもいいと思う。このサイズのクルマだと安っぽさを危惧してしまうかもしれないが、少なくても操縦のおもしろさが、クルマ好きの心に刺さりそう。

走りの上質さがアップ

まるでピュアEV(モーターとバッテリーのみの電動車)のように、発進時も加速時も、力があるなぁと感じさせてくれる。動力用モーターの最高出力は85kWで、これに発電用エンジンの1198cc直列3気筒ガソリンが組み合わされる。

「発電用エンジンの始動と停止がひんぱんになると上質感をそぐので、可能なかぎりモーターでの走行を追求しました」と、開発を指揮したチーフビークルエンジニアの渡邊明規雄氏は述べる。

回生ブレーキにも注目したい。アクセルペダルから足を離すと、バッテリー充電のためにモーターがまわり、そのかわり摩擦によってブレーキがかかる。クルマによっては、このときの力を強く設定して、アクセルペダルから足を離しただけで、まるでボディがつかまれたみたいに強く減速するものもある。

日産のエンジニアが嫌ったのは、アクセルペダルから足を離しただけで乗員が前のめりになるほど、強い制動がかかることだったそうだ。「アクセルペダルを急に戻してもなめらかに減速させること」に心を砕いた、と、渡邊氏は話す。

じっさいに日産は、テストコースにパイロンスラロームといって、工事現場によく立っている“とんがりコーン”を並べて、そのあいだを縫って走る区間も用意してくれた。

アクセルペダルを思いきり踏んだり、全閉したり、こちらもあえてメリハリをつけた操縦をしてみた。なるほど、説明を受けたとおり、ノートはほとんど姿勢を乱さず、乗員のからだも動かない。加速と減速にともなう車体の動きがていねいにコントロールされているのだ。これはとても印象的である。

いっぽう、駐車時や停車時のごく低速の走行が円滑なのも、新型の特徴。英語では“クリープ”という、這うような速度が必要な場面は日常生活で多い。

現行モデルでは、止まるか・走るか、となってしまうところ、新型は停止位置がコントロールしやすいように、クリープ走行ができるようになった。くわえてブレーキペダルを一定時間踏めば、オートホールド機能によってパーキングブレーキが自動で作動するので、長めの信号待ちなどで便利なのだ。なお、アクセルを踏めば自動で解除される。

ギアシフターのそばには、ドライブモードセレクターが備わる。3つのモードが設定されていて、「スポーツ」「エコ」「ノーマル」。通常は「エコ」で充分だ。積極的に運転を楽しみたいときは、トルクの立ち上がりがはやい「スポーツ」を選べばよい。

日産の開発陣が「通常はエコで充分なように設定しました」と、話すように、たしかにエコが従来のノーマルモードという感覚なのだ。で、ノーマルは「従来のノートに慣れているユーザーのために(いちおう)設定しました」という。

高速道路、山道、市街地、そして駐車場と、あらゆる場面で、あたらしい体験を提供してくれそうなクルマである。

ステーションワゴンとハッチバックの中間

スタイリングはクロスオーバースタイルといえばいいのか、ステーションワゴンとハッチバックとの中間的なものだ。コンセプトは「ジャパニーズ・タイムレス・フューチュリズム」と、デザインを統括した日産自動車デザイン部の入江慎一郎氏は述べる。

「日本人の美意識を採り入れながら新しさを生んでいこうというもので、新型ノートは、(2019年の東京モーターショーで発表され2021年に発売予定といわれる)『アリア』に次いで、このテーマでまとめられたクルマです」と、入江氏は話す。

さらに、ひとと少しちがうスタイルを求める向きには、日産自動車のグループ企業で特装車を手がけるオーテックによる「ノート・オーテック」も登場する。

スポーティな仕上げが特徴的なモデルだ。前後とサイドのスカートが深くなり、フロントグリルやアウトサイドミラーのカバーなども、専用パーツに交換される。とりわけクローム塗装された前後スポイラーのリップやサイドスカートの一部がシャープな印象だ。

内装も、ノート・オーテックは標準モデルとちがう。ビビッドブルーと名づけられた紺色のボディにブラックのルーフというコンビネーションの外装色のばあい、シートも同様の2トーンで仕上げられる。雰囲気がある。

まずは、前輪駆動版(218万6800円~)が発売される。トヨタ・ヤリスのハイブリッドが199万8000円から、ホンダ・フィットのハイブリッドが199万7600円からなので、真っ向からの勝負となる。

ノートには、こののち「e-POWER 4WD」と呼ばれる、前後にモーターを搭載した電動4WDがラインナップに加わる。こちらは価格を含めた詳細は未定。上記のノート・オーテックも、近日発売される。

文・小川フミオ 写真・Eric Micotto

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みんなのコメント

31件
  • 文句垂れるヤツはだまってヤリス(フィット)にしとけ!
    お前らは買わなくてよろし!
  • 車は乗ってみて、デザインを含めてその価格に見合う価値があれば、価格以上の価値があれば売れるし、そうじゃなければ売れない。ニッサンならばブランド力には問題はないはずなので、純粋にクルマの出来で市場は評価するでしょうね。しかし、やっぱり少し高いかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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