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若者がクルマに熱狂していた90年代に旋風を巻き起こした国産車10選(後編)

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若者がクルマに熱狂していた90年代に旋風を巻き起こした国産車10選(後編)

 三つ巴の軽スポーツ対決やSUV&ワゴンの火付け役も誕生

 日本車の黄金時代と言われる1990年代。若者にもクルマ好きは多く、また各メーカーも勢いがあったため、個性的かつ魅力的なモデルが多数登場した。とくにその中でも旋風を巻き起こしたクルマ、10台を紹介するこの企画。前編に続いて後編をお届けしたい。

【疑問】なぜ昔はクルマ好きが多かったのか?

 6)トヨタ・スープラ(A80)

 80スープラは、日産(GT-R)、ホンダ(NSX)、マツダ(RX-7)の新世代フラッグシップスポーツを見渡してから1993年に登場。ロングノーズボディに、タフネスさを誇る新しい直6エンジン=2JZを搭載したFRスポーツだ。モータースポーツでは、スーパーGTやその前身である全日本GT選手権などで一時代を築いた。いまでも人気はあるが、中古車のタマ数はかなり少ない。

 7)トヨタ MR2(SW20)

 2代目のSW20も90年代の代表的な一台。デビューは1989年。初期型はエンジン搭載位置が高く、ボディ剛性やジオメトリーに難があり、コーナーでは破綻し始めるまで挙動が読みづらいなどのネガな部分もあったが、マイナーチェンジごとに徐々に良くなり、モータースポーツ、とくにジムカーナでは大活躍した。

 8)スバル・インプレッサWRX/三菱ランサーエボリューション

 WRCに参戦するためのベース車両として位置づけられたインプレッサとランエボは、ともに1992年に登場。初代インプレッサはレガシィをベースにコンパクト化。ランエボIは、ランサーGSR1800にギャランVR4の4G63エンジンを流用して作られた。どちらもコンパクトなセダンボディに強力な2リッターターボエンジン+4WDで、WRCを制覇するというコンセプトは共通。

 大きな違いはインプが縦置きの水平対向エンジンだったのに対し、ランエボが横置きの直4エンジンだった点。以後、年次改良を加えながら長年に渡ってラリーで、そしてレースで好敵手として激闘を繰り広げた。

 ちなみにWRCでの初優勝は、インプが1994年のアクロポリス・ラリー。ランエボが1995年のスウェディッシュラリー。ドライバーズチャンピオンは、インプが1995年、2001年、2003年の3回。ランエボは1996年~1999年まで4連覇。マニュファクチュアラーズチャンピオンはインプが1995年、1996年、1997年の3回。ランエボは1998年のみ。まさに永遠のライバルといえる関係だった。

 9)マツダAZ-1/ホンダ・ビート/スズキ・カプチーノ

 三台の頭文字をとって、「ABC」と言われるこの三台。

 マツダのAZ-1は1992年の登場、ミッドシップのターボモデルで、ガルウイングを採用するというトンガリぶり。

 ホンダのビートは唯一のNAエンジンを搭載し、1991年5月に登場。ミッドシップの2シーターで、スタイリングのデザインには、ピニンファリーナが関わったというのが定説(公然の秘密?)。フルオープンモノコックボディのミッドシップは、量産車として世界初。NAにこだわるホンダらしく、3連スロットル(3気筒)だったのも特徴だ。

 スズキのカプチーノは、FRのターボ。1991年11月に発売。ルーフは3分割でき、クローズド/フルオープン/タルガトップ/Tトップの4つのスタイルが楽しめた。軽自動車での4輪ダブルウイッシュボーンは、カプチーノが初めてである。

 同時代にこれだけ個性的な軽自動車から三社三様(三車三様)に出揃ったのも、黄金の90年代ならでは。

 10)三菱パジェロ/スバル・レガシィ

 1990年代前半はSUVブームでもあった。80年代後半からのスキーブームの影響もあり、4WDのワゴン、スバル・レガシィツーリングワゴン(初代:1989年発売)が大ヒット。

 1992年にモデルチェンジした2代目三菱パジェロは、パリダカールラリーでの活躍もありSUVブームを牽引。しかし、2000年に3代目パジェロが登場したころには、SUVブームは去っていた……。

・番外編

 ホンダのインテグラタイプR(DC2)は1995年、シビックタイプR(EK9)は1997年、本田技研工業創立50周年記念に開発されたS2000は1999年のデビュー。このホンダの三部作(?)も、90年代の象徴といえる。もう30年近く前のクルマもあるが、いまのクルマ好きに40~50代の人が多いのは、この90年代の熱いクルマに感化されたというのも一因だろう。音楽と一緒で、若いころにほれ込んで、大きな影響を受けたものは、その価値観をずっと引きずる。

 次世代のクルマ好きを育てる意味でも、来る2020年代は、1990年代のような意欲的で、クルマ好きの魂を揺さぶるようなクルマがたくさん誕生することを願わずにはいられない。

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