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ベントレー・スピードシックス(2) 豪華客船のようにシームレス 滲み出るカリスマ性

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ベントレー・スピードシックス(2) 豪華客船のようにシームレス 滲み出るカリスマ性

ホワイトウォールがアメリカンな雰囲気

初代オーナーだった、ルース・ヴァンダービルト・トゥオンブリー氏は、ベントレー・スピードシックスを1940年に手放し、オーストラリア駐米大使官だったリチャード・ガーディナー ・ケーシー氏が購入。その後間もなく、同僚へ譲られる。

【画像】豪華客船のようにシームレス スピードシックス 同時期のベントレー 最新スピードも 全153枚

1945年に、ウィスコンシン州のカール・ミューラー氏が600ドルで買い取り、31年間も維持したが、殆ど乗らないまま1976年に死去。知人のフレッド・ベルント氏が譲り受けると、ボディとインテリアがレストアされた。

ボディはシルバーとブルーへ塗り替えられ、今でもその配色は保たれている。ヘッドライトは、当初のルーカス社製P100からマーシャル社製へ、バンパーはシンプルなものへ変更。内装は、前席側をレザーへ張り替え、後席側はクロスで仕立て直された。

タイヤは、1970年代を表すようにホワイトウォールが選ばれており、アメリカンな雰囲気が醸し出されている。その後、1981年にグレートブリテン島へ再上陸。レイトン・ロバーツ氏が購入し、現在のオーナーは彼の息子だ。

オーナーのカリスマ性が滲み出る存在感

チャールズ・シュッテ社のサルーンボディは、寸法に関する記録が残っていない。だが、ベントレーのシャシーは長さが約4.4m、幅が約1.7mあり、それ以上大きいことは間違いない。

トランクがなく、リアのホイールアーチ後方は切り落とされたように短いが、威風堂々とした存在感に溢れる。初代オーナーのカリスマ性が、滲み出ているようでもある。

ショーファードリブン・リムジンらしく、後席は太いリアピラーの影。クッションの厚い、ベンチシートへゆったり座れる。前席側との間には、ガラス製のパーティション。ピラー部分にインターホンが備わり、閉じたまま運転手と話すこともできる。

パーティション上部には、小さな時計。フロアにはカーペットが敷かれ、サイドウインドウのワインダーはクローム仕上げ。オーナーが女性だったことを物語るように、香水を入れる瓶が2本、車内を彩る。

豪華客船のようにシームレスな走り

運転席側では、ブルーメル社製ステアリングホイールが中心的存在。巨大なハブ部分から、点火時期と燃料の混合比、スロットルのレバーが3本伸びる。ダッシュボードはマホガニー材で作られ、6枚のメーターがスイッチ類とともに所狭しと並ぶ。

25ガロン(約110L)入るタンクの燃料計は、運転席の正面。ラジエターキャップの上には、美しい「B」の特注マスコット。レバーを回し点火時期を僅かに遅らせ、混合気を調整しながら、スターターボタンをひと押し。6.6Lエンジンが直ぐに目覚める。

極めて静かなアイドリングが始まる。低速域でも、タコメーターを見ないとエンジンが掛かっているのか分からないほど。右膝の横に、Hパターンのシフトレバーが伸びている。1番右がアクセルというペダル配置とともに、簡単に馴染める。

シフトレバーは重い。ダブルクラッチを踏み、回転数を必要なだけ落とせば、変速は滑らか。トルクが太く、2000rpm以下でも悠々と先を急げるが、少し積極的に変速すると、豪華客船のようにシームレスに路上を突き進みだす。

技術的なこととは無縁でいられる後席

速度が増しても、エンジンは静かなまま。直立気味の運転姿勢と相まって、シャシーの負荷は感じ取りにくい。ホイールベースは、マイクロバス級に長い。ステアリングホイールは重いが、胸の前へ伸び、カーブでは体重を載せつつ勢い良く切り込める。

軽くない車重に、ホワイトウォール・タイヤはグリップを保つのが精一杯。運転していると、スキール音は聞こえてこない。リムジンらしくリラックスして飛ばせば、グレートブリテン島の道でも運転は目からウロコなほど楽しい。

ペダルやステアリング、シフトレバーの動きは滑らか。高度な技術力と品質が、感触へ表れている。ブレーキも漸進的で強力。強化されたフロントアクスルの意図がわかる。

リアシートへ身を委ねている限り、そんな技術的なこととは無縁でいられる。とはいえ、このベントレーを注文したルースが、完成度を高く評価していたことは想像に難くない。慈善活動へ注力するため、特別な移動空間で心身を整えていたのだろう。

協力:フィスケンス社、スチュワート・パークス氏、パークス・レストレーションズ社、クレア・ヘイ氏

ベントレー・スピードシックス・チャールズ・シュッテ(1930年/北米仕様)のスペック

英国価格:1450ポンド(シャシーのみ/新車時)/90万ポンド(約1億7550万円/現在)
生産数:1台
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:144km/h(予想)
0-97km/h加速:−秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:−kg
パワートレイン:直列6気筒6597cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:182ps/3500rpm
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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