ステップワゴン モデューロXに待望のハイブリッドモデルが設定された。その走りは、どう磨かれているのか? 岡本幸一郎レポーターが試す!(ホリデーオート2019年3月号より)
空力パーツと専用の足回りでベース車を凌ぐ走りを実現
最初におさらいすると、「モデューロX」というのは、ホンダアクセスが手がけた専用パーツを組み込んだコンプリートカーブランドだ。ステップワゴンについては、2016年秋に初めてガソリン車に設定された。
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その約1年後、ベース車のマイナーチェンジ時には大きな変更がなかったが、このほどこちらも比較的大がかりなマイナーチェンジを実施。さらには待望のハイブリッドが新たに加わったことにも注目だ。
ずいぶん時間がかかった気もするが、それはハイブリッドのベース車の完成度が非常に高かったので、それを超えることを念頭に開発を進めた結果、これだけ時間を要したのだという。
「ダイナミック&スポーティ」をコンセプトとする外観は、マイナーチェンジ後の意匠に合わせてフロントグリルやエアロバンパー、灯火類のデザインを一新。リアまわりのカラーが一部変更されボディ同色となった点も新しい。
ブラックとシルバーを基調にスポーティで精悍かつ上質に仕立てられたインテリアの雰囲気も上々だ。
走りに関しては、ミニバンの特性に合わせて剛性を最適化したというアルミホイールと専用サスペンション、空力を突き詰めたエアロバンパーなどを装着している。
これらによりミニバン特有の外乱に対して乗り心地や高速走行時の直進性を追求することで、同乗者にとって快適で質の高い移動空間を目指したという。
その言葉どおり、走ってみるとドライブフィールが極めて上質だ。出来の良いベース車に対し、せっかくモデューロXとして出すからには誰でも明確に違いを体感できるようにと努力したことがうかがえた。
これには手間をかけて綿密にチューニングされた足回りはもちろん、エアロダイナミクスも相当に効いているに違いない。高速巡行時にはあたかもフロア下に太い空気のレールが通されているかのようなビシッとした直進性を感じる。フラット感も高い。
さらには、空気の力でクルマを上から押さえつけるような感覚もあり、荒れた路面でもタイヤがしっかり路面を捉えるので、コーナーで内輪の接地性が損なわれることはない。
コーナリングはまさしく意のまま。ロールやピッチングなどの挙動もよく抑えられていて、振動は即座に収束する。
背高ミニバンながら重心が10cmほど低くなったかのような感覚で、上屋のグラつきも気にならず、狙ったとおりにラインをトレースできる。
同乗する家族の快適性を損なうことなく、ドライバーは運転そのものを楽しみながら移動できるのがありがたい。
静粛性は、むろんベース車の進化も効いてのことだが、ガソリン車よりもキャビンに入ってくるあらゆる音が小さく抑えられている。路面の継ぎ目を通過したときに発せられる衝撃音も、ガソリン車よりも気にならない。
パワートレーン系に手は入れられていないが、このクラスで望外の速さと低燃費を両立したi-MMDの優位性を、あらためて実感した次第である。
率直なところ、ガソリン車もよくできているのは重々承知しているものの、価格差よりもずっと大きなバリューの差があるように感じた。モデューロXのハイブリッドを待っていた人は、待った甲斐があったといえそうだ。(文:岡本幸一郎、写真:森 浩輔)
ステップワゴン ハイブリッド モデューロX ホンダセンシング(7人乗り・FF) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1695×1840mm
●ホイールベース:2890mm
●重量:1840kg
●エンジン型式・種類:LFA・直4 DOHC
●排気量:1993cc
●エンジン・モーター最高出力:145ps・184ps
●エンジン・モーター最大トルク:175Nm・315Nm
●JC08[WLTC]モード燃費:25.0[20.0]km/L
●トランスミッション:電気式無段変速機
●タイヤサイズ:205/60R16
●価格(税込み):399万6000円
※モデューロXは持ち込み車検登録のため、諸元は参考値
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