現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スバルレガシィが生み出した「ツーリングワゴンブーム」という熱狂

ここから本文です

スバルレガシィが生み出した「ツーリングワゴンブーム」という熱狂

掲載 更新
スバルレガシィが生み出した「ツーリングワゴンブーム」という熱狂

今をさかのぼること28年前、1989年1月、スバルが再起をかけて開発した新世代モデル「レガシィ」には、セダンと共に「ツーリングワゴン」が設定されていました。

なかでもスポーツセダン並みの走行性能を持つ最上級グレード「GT」の存在は、レジャーや日常の使い勝手の良さに加え、走りも楽しめるという新たな価値が与えられ、それまでの「ワゴン」が持っていたイメージ、概念を大きく変化させ、そのブームは「スポーツワゴン」という新たな魅力と潮流を生み出しました。

これぞスバルWRX STIの次期型!? 検証「スバルヴィジブコンセプト」の正体は【東京モーターショー2017】

本企画では1990年代に大きく花開き、国産全メーカーを巻き込む「時代」を作ったレガシィについて語ってみます。

文:大音安弘 写真:SUBARU

■初代から脈々と息づく「走りのワゴン」というコンセプト

日本自動車界ではまだバブル真っ只中だった1989年、スバル(当時は富士重工)が社運を賭けて開発した新世代モデルのレガシィは、セダンとツーリングワゴンの2本立てであった。これまでのスバルのイメージを覆すモダンな内外装に加え、スバル伝統の走りの良さを磨き上げていた画期的なモデルだった。特に従来は実用一辺倒だったツーリングワゴンの概念打ち破ったレガシィツーリングワゴンは大ヒット。のちのツーリングワゴンブームへと繋がることになる。

レガシィが特徴的だったのは、発売間もなくして、より快適装備を満載した最上級グレードのターボモデルの「GT」をセダンとツーリングワゴンに共に追加したこと。これがスポーツワゴンとしてレガシィの独自のポジションを確立。その人気ぶりは、のちにSTIチューニングによるコンプリートカー「レガシィツーリングワゴンSTi」が発売されたことからも伺える。

■続々と表れたフォロワー、ライバルたち

レガシィツーリングワゴンのヒットに刺激され、各社からは、スタイリッシュでスポーティなツーリングワゴンを続々と投入した。トヨタのカルディナと三菱のリベロが新開発車としてデビュー。ホンダは、北米より逆輸入でアコードワゴンを導入。日産はフルモデルチェンジしたプリメーラにツーリングワゴンを新設定するなど、レガシィが築き上げた「ツーリングワゴン市場」に続々と参入、追従を見せた。

さらに1993年にレガシィが2代目へと進化すると、より他社のバリエーションは拡大され、日産からは「スカイラインワゴン」と噂されたスポーティなツーリングワゴンのステージアが、三菱からは当時同社の中心車種だったギャランのツーリングワゴンに当たるレグナムが投入され、ツーリングワゴンは日本車のメインストリームのひとつとなった。

■スポーツモデルもお約束だった

もちろん、ツーリングワゴンはレガシィ登場以前より各社がラインアップしていたが、そのポジションは(やや乱暴な言い方だが)いわゆる「豪華なライトバン」であり、スポーティな走行性能など求められることはなかった。そこに革命を起こしたのがレガシィであり、先に挙げたライバルとなるツーリングワゴンには、対レガシィに向けた高性能なスポーツグレードが軒並み設定されていた。

その中の印象的なモデルを紹介すると、トヨタカルディナはプラットフォームを共有するセリカの最強モデル「GT-FOUR」のパワートレインをそっくり受け継ぐ、2代目GT-T、3代目GT-FOURを設定。日産ステージアは280psを発揮するRB25DET搭載グレードに加え、GT-Rワゴンと呼べるオーテックバージョン260RSを設定。レグナムもセダン版となるギャランのトップモデル同じVR-4を設定していたことは記憶に新しい。

まさになりふり構わず「打倒レガシィ」を目指したわけだ。

■受け継がれるスポーツワゴンスピリット

隆盛を迎えた90年代がすぎ、2000年代にはやや鎮火したものの継続的に販売を伸ばし、2010年代に入る直前の2009年にレガシィは5代目へとフルモデルチェンジ。

しかしこの頃になるとレガシィの販売の中心は北米に移っており、ニューヨークショーでプロトタイプが先行発表され、ボディもひと回り大きくなったことなどからも、レガシィの「軸足」が徐々に日本市場から離れていったことが伺える。

それもそのはずで、その頃から日本市場での販売現場ではミニバンやコンパクトカー、ついでSUVの台頭が目立っており、ツーリングワゴン市場はすっかり下火となっていた。

こうした状況を踏まえて2014年4月の5代目生産終了アナウンス時、レガシィの次期モデル(6代目となる現行型)はセダンのB4とクロスオーバー仕様のアウトバックのみが設定され、ツーリングワゴンは「レヴォーグ」に引き継がれること、またB4のターボ仕様もWRX S4に統合されレガシィからは廃止されることが公表された。

新境地を開拓したレガシィさえも「スポーツ仕様のツーリングワゴン」は後継車へとバトンを手渡したかたちとなったが、しかしスバルのスポーツワゴンスピリットは、国内市場をメインに開発されたレヴォーグにしっかり受け継がれており、いまも日本のスポーツワゴンファンの心をしっかりと捉えている。

こんな記事も読まれています

もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
motorsport.com 日本版
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
レスポンス
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
くるまのニュース
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
VAGUE
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
バイクのニュース
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
AUTOSPORT web
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
Auto Messe Web
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
モーサイ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
motorsport.com 日本版
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
バイクブロス
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
THE EV TIMES
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
レスポンス
「えっ…ホント!?」マイ自転車に取り付ければ“電動アシスト化”! フル充電で約50kg走行する「P.Wheel」って何?
「えっ…ホント!?」マイ自転車に取り付ければ“電動アシスト化”! フル充電で約50kg走行する「P.Wheel」って何?
VAGUE
究極の新型「爆速ラグジュアリーSUV」実車公開! 史上最もパワフルな「新型ディフェンダーオクタ」が置かれたイベントとは
究極の新型「爆速ラグジュアリーSUV」実車公開! 史上最もパワフルな「新型ディフェンダーオクタ」が置かれたイベントとは
くるまのニュース
全長3.4m切り! ダイハツ「車中泊“特化型”軽バン」がスゴい! 超デカい2段ベッド×ちょうどいい感じの「シンプル仕様」! カスタムセレクト「コンパクトAS」どんなモデル?
全長3.4m切り! ダイハツ「車中泊“特化型”軽バン」がスゴい! 超デカい2段ベッド×ちょうどいい感じの「シンプル仕様」! カスタムセレクト「コンパクトAS」どんなモデル?
くるまのニュース
茨城県唯一の本格的石垣城砦「笠間城」に昂る!
茨城県唯一の本格的石垣城砦「笠間城」に昂る!
バイクのニュース
【ハーレー】カタルーニャサーキットでレース仕様ロードグライドのテスト走行を実施
【ハーレー】カタルーニャサーキットでレース仕様ロードグライドのテスト走行を実施
バイクブロス
えぇぇぇ!? 三菱製[軽スポーツ]が今めちゃくちゃ[アツい]って知ってた??
えぇぇぇ!? 三菱製[軽スポーツ]が今めちゃくちゃ[アツい]って知ってた??
ベストカーWeb

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村