■伝説の名車の「第1号車」、オークションに初登場!
これまで日本車史上最高額で取引されたクルマは、2014年に約1億3400万円で落札されたトヨタ「2000GT」とされています。
しかし、このほどその記録を大きく塗り替える約3億円で、ある日本車が落札されました。
【画像】見ておいて損はない! 第一号車といえる「2000GT」を写真で見る!(28枚)
近年、世界の富裕層の中でクラシックカーの人気が高まっており、専門のオークションなどでは、1億円を超す金額で希少な個体が取引されることもめずらしくなくなっています。
一方、億単位の値段で取引されるのは、フェラーリやメルセデス・ベンツといった欧米の有名ブランドがほとんどで、オークションで日本車が1億円を超える金額で取引されたのは、2014年にトヨタ「2000GT」が115万5000ドル(約1億3400万円)で落札された事例のみとされています。
そんななか、2022年3月に米国・フロリダのアメリア島で行われた「グッティング&カンパニー」で、これまでの日本車史上最高額を大きく塗り替える、253万5000ドル(約2億9300万円)で1台のクルマが落札されました。
そのクルマは、やはりトヨタの2000GTです。2000GTは、日本の自動車史に燦然と輝くモデルであるだけにその歴史的価値はいうまでもありませんが、今回日本車史上最高額で落札されたこの個体は、恐るべきヒストリーを持った1台です。
まず、この個体のシャシー番号は「MF10-10001」ですが、これが意味するのは、この個体が2000GTの最初のプリプロダクションカーであるということです。
つまり、本当の意味での2000GT第1号車ということになります。
この個体は、2000GTを北米市場へと紹介するためのショーカーとして米国へと輸出され、その後、プロモーションのために「スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ(SCCA)」が主催するレースへと参戦することになります。
当時、SCCAの同じカテゴリーにはポルシェやロータス、そしてダットサンが参戦していました。
これらの強力なライバルに打ち勝つため、トヨタは米国を代表するレーシングドライバーであったキャロル・シェルビーを中心とするチームに2000GTをベースとしたレーシングカーの制作を委託。
1967年の夏に、この個体を含む3台の2000GTレースカーが誕生しました。
レーシングカーとなった2000GTは、エレガントなローズウッドのダッシュボードからシンプルなアルミニウムのダッシュボードへと変更され、安全のためにロールバーやレーシングハーネスが取り付けられました。
また、フェラーリスタイルのゲート付きシフターが採用されている点も、オリジナルとは大きく異なる部分です。
満を持して参戦した1968年シーズンでは、年間チャンピオンこそ獲得できなかったものの、1位4回、2位8回、3位6回という上々の成績を収めました。
今回落札されたシャシ番号「MF10-10001」は、おもにバックアップ用の1台として扱われていたコンディションの良い個体だったこともあり、その後はトヨタの北米本社などで保管されていたようです。
1980年以降はある有名なコレクターが保有しており、フルレストアが施されました。
1968年のレース参戦時の状態が忠実に再現されたこの1台は、2004年の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」をはじめとするさまざまなクラシックカーイベントに登場し、多くの賞は受賞するなど、愛好家のなかではよく知られた存在でした。
当初1000台の販売目標を設定していたという2000GTですが、実際に生産されたのは351台とされています。
そのなかでも特別な1台であるこの個体は、これまで一度もオークションへと登場することはありませんでした。
しかし、そのヒストリーを考えると、日本車史上最高額で取引されたのは当然の結果と言えるでしょう。
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