2023年10月1日から消費者庁による「ステマ規制」がスタートした。消費者を欺く広告体の記事や投稿を罰するものだ。そこで気になったのが試乗会や取材会などで「お金をもらって記事を書いている」と言われる自動車メディアの試乗記事。実際はそんなことは皆無なのだが、消費者庁にステマ認定の線引きと今後の対応を聞いてみた。
文:国沢光宏/写真:ベストカーWeb編集部/消費者庁への事実確認:編集部
ステマ規制で自動車メディアに影響は? 試乗会でお金もらえないですから……厳正なステマ規制をベストカーWebは歓迎します!!
■消費者を欺くステマは根絶すべし
自動車メディアは歴史として広報車と呼ばれる車両を借り出し取材をしてきた。ガソリンや洗車代はメディアの負担だし、破損した場合は修理代も実費請求される
2023年10月1日からいわゆる「ステマ規制」が始まった。ステマとは「ステルス・マーケティング」の略。メディアで言う「ペイドパブ」。SNSやYouTubeであれば「案件」と呼ばれるもので、企業からお金貰って記事を作っているのに普通の記事のようなフリをすることを意味する。つまり「見えにくい宣伝」を示す。
実際、SNSやYouTubeって案件だらけ。騙されるケースだって出てくる。 そんな状況を見ている世代は、自動車メディアも案件ばかりだと思っているようだ。少しでも高く評価しようものなら「いくらもらってるんだ?」。試乗会で昼ご飯出ただけで「ステマだ!」と言い始める始末。
そういった輩達は試乗会に呼ばれてたり、広報車を借りること自体「便宜供与」になると騒ぐ。宿泊を伴う試乗会や、海外試乗会となれば、もう完全にステマ扱いです。
とはいえ消費者庁が決めたことなので、ジャーナリズムとしちゃ内容を理解し遵守しなければならない。消費者庁のWebをチェックしてみたところ、自動車業界に於ける具体例がなく理解出来ません。
仕方なく私のWebでは10月1日のアップ分から根拠を挙げ「ステマじゃない」という注意書きをしていた次第。だったら直接聞いてみようということで消費者庁にアポなし取材です! 意外にもキッチリ対応してくれました。以下、消費者庁の見解を。
■慣例に則った食事提供や必要経費の支払いはステマに当たらない
試乗会や取材会ではメーカーから交通費はもちろん報酬の支払いはない。お弁当や飲料、お菓子の提供はあるがこれは「一般的な商慣習」の範囲内だろう
まず試乗会や取材会。これは限られたメディアやフリーランスを対象に行うが、今までの業界の慣習通りに行われているものはまったく問題ないとのこと。そもそもクルマという"商品"は高額な上、命を預けるもの。
誰にでも評価が出来るという性格じゃない。自動車メーカーは認識しているから呼ぶ相手を限定する。続いて「その際に出された食事など食べたらステマになりますか?」と聞く。慣習の範囲内なら問題ないとのこと。
弁当の底に厚い封筒が入っていたら別ながら、残念ながら41年この業界にいて見たことも聞いたこともない(笑)。ということで試乗会でクルマに乗り、昼食や夕食を提供されて書いた記事は「PR」と注記しなくたっていいことが明確になりました。
ここからハードルを上げていく。「遠方で行われる試乗会は往復の旅費や現地での宿泊をともなう。どうですか?」と聞いた。興味深いことに見解は試乗会と同じ。すなわち「慣習なら問題ない」。飛行機などの移動を含む試乗会って50年以上前から行われていた。こらもう疑う余地なしの慣習。やはりステマに相当しないとのこと。当然だと思います。
では国内よりお金が掛かる海外試乗会だとどうなる? 試乗会>飛行機使う試乗会>海外試乗会まですべて「慣習ならOK」とのこと。ただYouTubeなどではギャランティを貰う「案件」になっているケースもあると聞く。これは私らも分からない。
もし取材経費以外のギャランティが出ており、その動画に「PR」と明記されていなければ10月1日からステマになる。 以上は私も「常識でしょうね」と思っていた内容。続いてグレーゾーンに切り込む。
■実費負担での記事作成依頼はステマなのか?
コンプライアンスに厳しい自動車メーカーだけにステマへの対策は充分実施されてきた
メディアで記事を作る際、経費が掛かる。ベストカーWebであれば、取材に行くと編集+ライター+カメラマンの3人の移動費と人件費、食事代、編集経費を必要とします。大雑把に言って10万円といったイメージ。新型車の試乗などは人気だから、ページを読んだ人の数で10万円分以上の収入がある。
一方、人気なさそうな内容だと10万円掛けて記事作っても赤字になってしまう。そんな時、取材対象から「記事作る実費だけは出させてもらいます」と言われ、読者にとっても有用な情報だと判断すれば、儲からなくても記事にしたい。
このようなパターン、ステマになるか聞いてみた。私も興味深かった。すると「個別のケースは判断しかねるが、基本的には依頼主に記事を校正させることがなく費用も実費相当、そして編集部側からの自主的な企画であればステマではない」という。
(※編註:自動車メーカーが特定の機構についてアピールしてほしい、特定の場所で取材してほしいなど、企画内容を編集部側に提案をした場合は実費のみの提供でもステマに認定されるケースがある。ステマか否かの判断については消費者庁でも具体的な線引きの想定があまりなく、ケースバイケースによるという返答だった)
以上まとめよう。消費者庁に問い合わせた結果、ステマの対象になるのは、
(1)必要経費以上の報酬を受けて作った記事や動画
(2)依頼された企業に記事や動画を校正させる行為
(3)メディア側で自主的な企画がなされていない記事
上記の3点。
試乗会や広報車を借りる行為などは業界の慣習なので問題ないということに相成った。よって私のWebも本日から記事の最後にステマじゃない理由をツラツラ並べるのは止めることにする。
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みんなのコメント
良い部分があればそれを誉めるのは不自然ではないんですけどね。
偏っているますよ、あなたの記事は。