■セリカ復活を明言…どんなクルマになる?
驚きの発言が、トヨタの会長と副会長の口から飛び出ました。それが「セリカの復活」です。
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2024年11月下旬、愛知県・岐阜県で開催された「ラリージャパン2024」でのトークショーに登壇した、トヨタの会長・豊田章男氏と、トヨタ副社長の中嶋裕樹氏は、現在廃版となっているスポーツクーペ「セリカ」の復活を口にしたのです。
具体的には、すでに現場を離れた会長である豊田氏がセリカの復活を「執行部にお願いしています」と言い、そして実際にクルマの開発の決定に関わる副社長である中嶋氏が「セリカ、やっちゃいます」と言い切りました。
もちろんイベントを盛り上げるためのリップサービスの一環でしょう。すぐに豊田氏からは「でも、社内的には何も決まってませんから」とのフォローもあったほどです。とはいえ、セリカの復活の余地がゼロではないでしょう。
では、“新型セリカ”は、どのようなクルマになるのでしょうか。ここでヒントになるのは、“過去のセリカ”です。
いくら新しいとはいえ、セリカの歴史を無視したものとはならないはず。そこで、まずは過去のセリカとは、どんなクルマであったのかを、おさらいしてみましょう。
初代モデルのデビューは1970年12月で、その特徴は、日本初の“スペシャリティカー”であったことです。
当時のトヨタのリリースには、「スペシャリティカーとは、セダンともスポーツカーとも違うパーソナルユースを目的に作られたクルマ。活動的で趣味性豊かな若い心を持った人々に向けて、躍動感あふれた先進的なスタイルと、高度なドラインビングフィーリング、十分な居住空間を持ったクルマ」と説明されていました。なんだか、今のSUVのようにも聞こえます。
具体的には、流麗な2ドアクーペのフォルムを持った5人乗りのボディに、1.5リッター、もしくは1.6リッターのエンジンを搭載していました。
時代的には、アメリカで1964年にデビューして大ヒットしたフォード「マスタング」が生み出した“ポニーカー”というジャンルに該当します。若者をターゲットにした手ごろな価格の格好良いクルマです。
今では、あまり耳にしない“スペシャリティカー”というジャンルですが、このセリカの誕生をきっかけに、70年代から90年代初頭にかけて、日本で非常に高い人気を誇りました。
なぜなら、スペシャリティカーは、「格好良く」て「実用性が高く」、そして「若者に手が届く価格」であったからです。女性にも人気ですから、当然、若い男女のデートに使われるため“デートカー”とも呼ばれます。ライバルとして日産「シルビア」や、ホンダ「プレリュード」などが誕生して、さらにマーケットは盛り上がってゆくのです。
そうしたセリカのために作られた80~90年代のテレビCMには、エディ・マーフィー、デニス・ホッパー、ヴィンセント・ギャロなど、アメリカの一流タレントが起用されていました。
訴えるのは「オシャレで格好良いい」ということ。また、1987年に大ヒットした映画『私をスキーに連れてって』にもセリカは登場します。もちろん彼女を連れてゆくクルマはセリカです。
そんなわけでセリカは、若い男女の憧れの存在のひとつとなっていたのです。
“デートカーの代表格”という、柔らかいイメージがある一方で、セリカには、もうひとつの顔もありました。それが“ラリーカー”です。
トヨタは1960年代後半から欧州のラリーで挑戦していましたが、初代セリカも1972年にWRC RACラリーに参戦し、さっそく好成績を収めます。
その後も歴代のセリカはラリーへの挑戦を続け、1982年のWRCニュージーランドで3代目セリカがデビューウイン!1984~86年にかけてサファリラリー三連覇を達成。1990年にはセリカでドライバーズチャンピオンを獲得。1993年には欧州メーカー以外で初となるマニュファクチャラ―タイトルも獲得します。
80~90年代のセリカはWRCで大活躍していたのです。
つまり、セリカは、チャラチャラとした“デートカー”だけではなく、その実、本格的な走りもOKという実力派でした。文武両道で、しかもオシャレ。だからこそ、人気モデルとなっていたわけです。
そんなセリカは、日本だけでなくアメリカでも人気を集めていました。トヨタは1960年代からアメリカへの輸出を本格化させていましたが、1970年代になると、それにセリカが加わります。
当時、トヨタがアメリカで販売していたのは、「ランドクルーザー」、「カローラ」、「コロナ」、そしてセリカでした。
特にセリカは、小さくてスタイルのよいクルマとして高い人気を集めました。アメリカはポニーカー発祥の地でしたが、一方で、大排気量のパワフルなエンジンを搭載する「マッスルカー」の本場でもあります。
それに比べるとセリカは、パワーがないものの、逆に使いやすいクルマとして一定のニーズを獲得していました。そうしてアメリカに定着したセリカは、後に、よりパワフルな兄弟車として「スープラ」を生み出しています。
ちなみに、現在の「GR86」の初代モデルを開発するときのアメリカ市場からの要望は「新しいスポーツカーを作るなら、セリカを復活してほしい」が多かったそうです。
つまり、過去のセリカは、「デートカー」「ラリー」「アメリカでの人気」を特徴とするクルマでした。
新世代モデルは、当然、そうした歴史を踏襲してくるはずです。また、現在のトヨタのラインナップにはGR86があり、WRCで活躍している「GRヤリス」があります。当然、その2台と被らないサイズ感やキャラクターになるはず。もしかすると「クラウン」のようにクロスオーバー化の可能性もあります。
どちらにせよ、冒頭で説明した「ラリージャパン2024」のトークショーで副社長の中嶋氏は、「ワクワクするようなクルマにしたいですね」と語っていました。
ビジネスに厳しいトヨタですから、復活させるのであれば、ヒットを確実視できる内容でなければなりません。あっと驚く魅力的な新世代セリカの登場に期待しましょう。
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みんなのコメント
なんでもアリで凄いです。
なんなら『25年にフェラーリとトヨタがタッグで
エンジン開発?』くらいの盛りでお願いします。