■1980年代に登場した「テンロク」DOHCエンジンのスポーツセダンを振り返る
クルマに対するニーズは時代によって変化していますが、近年の日本ではSUVやコンパクトカー、軽ハイトワゴンがトップセラーに君臨しています。
オヤジセダンに280馬力のエンジンを搭載!? 隠れ高性能車5選
一方、人気の低迷が続いているのがセダンで、とくに小型のモデルはもはや「風前の灯火」という状況です。
かつてセダンはファミリカーやパーソナルカーの定番モデルであり、1980年代から1990年代は数多くの小型セダンが各メーカーからラインナップされていました。
さらに、1980年代は国産車の高性能化が一気に進んだ時代であり、小型セダンにもハイスペックなモデルが次々と誕生しました。
そこで、1980年代にデビューした1.6リッターDOHCエンジン搭載の小型FFスポーツセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラ 1600GT」
かつてトヨタの「GT」グレードは、DOHCエンジンを搭載したモデルのみが名乗ることが許され、高性能モデルである証でした。そして、小型車の主力モデルである「カローラ」には高性能グレードの「レビン」ともにGTグレードが存在。
1983年に登場した5代目カローラでは、レビン(AE86型)は従来どおりFRでしたが、4ドアセダンと5ドアリフトバックはシリーズ初のFF車へと変貌を遂げ、1994年にはセダンに「1600GT」グレードが追加ラインナップされました。
エンジンはAE86型に由来する1.6リッター直列4気筒4バルブDOHCがベースで、横置きに対応した「4A-GELU型」を搭載。最高出力130馬力(グロス)を発揮し、トランスミッションは当初5速MTのみでしたが、後に電子制御式4速ATも設定されました。
外観は直線基調のスタイリングで派手な印象はなく、比較的オーソドックスなセダンといったデザインで、ベーシックグレードに対して高性能モデルである主張は「GT」と「TWIN CAM 16」のエンブレムにデュアルマフラー程度でした。
一方、内装では本革巻きのステアリングとシフトノブ、スポーツシートが装着され、エンジンルーム内にはストラットタワーバーの追加。
4輪ストラットの独立懸架を採用した足まわりもGT専用のセッティングとされ、ブレーキは4輪ディスクとなっているなど、シャシまわりも強化されていました。
●ホンダ「クイントインテグラ 4ドアセダン」
ホンダのアメリカ法人は現地時間の2021年11月11日に、アキュラ新型「インテグラ」のプロトタイプを世界初公開し、大いに話題となりました。
このインテグラの元祖にあたるモデルが、1985年に登場した「クイントインテグラ」です。
デビュー当初は全グレードともDOHCエンジン搭載した3ドアハッチバッククーペのみと、スポーティなモデルであることを強調。遅れて、5ドアハッチバックと4ドアセダンがラインナップに加わりました。
セダンの外観は、クーペと同じくリトラクタブルヘッドライトを採用したシャープなフロントフェイスに、スタイリッシュなウェッジシェイプが特徴です。
トップグレードである「GSi」には、電子制御燃料噴射装置を備えて最高出力120馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒4バルブDOHCの「ZC型」エンジンを搭載。
車重は5速MT車で990kgと軽量で、ブレーキも同エンジンを搭載した「シビックSi」よりもアップグレードされた4輪ディスクが奢られるなど、スポーツセダンというコンセプトを体現していました。
●日産「サニー 1600ツインカム スーパーサルーン」
かつて、前出のカローラの最大のライバルだったのが日産「サニー」で、大衆車というカテゴリーで熾烈な販売合戦が繰り広げられていました。
1980年代になるとFRからFFに変わる大きな転換期を迎えるとともに、ターボエンジン車が登場して高性能化が加速。
そして、1985年に6代目の「B12型」がデビューすると、当時の流行だった直線基調のシャープなフォルムに一新されました。ボディタイプは4ドアセダンが主力で、3ドアハッチバック、ステーションワゴン、後に3ドアハッチバッククーペの「RZ-1」も加わりました。
発売当初、トップグレードには1.5リッター直列4気筒SOHCターボエンジンが搭載されましたが、1986年にシリーズ初のDOHCエンジンを搭載した「サニー 1600ツインカム スーパーサルーン」が登場。
エンジンは最高出力120馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒4バルブDOHCの「CA16DE型」で、高性能グレードながら外観は派手な加飾を控えていたのが、むしろ硬派な印象でした。
さらに1988年には、サニーでは初となるモータースポーツベース車、「1600 VR」が追加ラインナップされました。
1600 VRはレースに参加することを前提としていたことから一段と質素な内外装で、パッと見は廉価グレードですが優れた走行性能から、まさに「羊の皮を被った狼」といったモデルといえました。
※ ※ ※
現在、小型のセダンは少数派で、今回紹介したモデルに搭載されたようなハイスペックの1.6リッター自然吸気エンジンも、もはやほとんど見られません。
小型セダンの減少はニーズの変化が理由です。一方、1.6リッターエンジンはモータースポーツでのクラス分けに由来していたことから、各メーカーがモータースポーツへの参戦やサポートが消極的になったため、減少してしまいました。
かつて高性能な1.6リッターエンジン車は、若いユーザーに訴求するスポーティモデルとしてメーカーのブランドイメージの向上を担っていましたが、もはやそういう時代ではないということでしょう。
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みんなのコメント
いろんな国産車がDOHC、TWINCAMとかバッジやシール付けていたものだ。
今では4輪ディスクと共に普通のスペックになってしまったが