新型セニック、2024年発売へ
ルノーは、2024年に新型電動SUVとして「セニック」を発売する予定だ。今回、水素と電気のパワートレインを搭載したコンセプトカーが公開されている。
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セニックの名は、1991年から2022年まで製造されたミニバンに使用されてきた。EVとして生まれ変わる新型セニックは、メガーヌEテック・エレクトリックの上に位置するSUVとなる。
従来のバッテリー駆動パワートレインを搭載して発売されるが、今回のセニック・ビジョン・コンセプトの水素・電気パワートレインは、ルノーの「より広いビジョン」を反映したものだ。同社は、水素は2030年以降に小型商用車での使用がより一般的になると見込んでいる。
ミニバンからSUVへ
セニック・ビジョン・コンセプトの車体寸法は、全長4490mm、全幅1900mm、全高1590mmと、メガーヌEテック・エレクトリックより一回り大きい。歴代セニックとは異なり、ミニバンではなくSUVの形態をとっている。
ルノーは、このコンセプトを「サステナブルでモダンなデザイン」とし、「環境」「安全」「包括」の3点を中心としたサステナビリティの取り組みを紹介している。
ラップアラウンド型ライトバーとスリムなLEDヘッドライトは、メガーヌEテック・エレクトリックとも似ているが、全体的に角張ったキャラクターとなっている。フロントグリルの代わりに、ルノーのダイヤモンドエンブレムをモチーフにしたフラッシュパネルが採用されているが、これが市販化されるかどうかは不明だ。
リアドアは電動かつタッチセンサー式で、Bピラーもないため、乗降性が高いとされている。しかし、これらが市販モデルに採用されることはないだろう。
ルノーのデザイン責任者であるジル・ヴィダルは、2024年の発売に向けてエクステリアデザインは進化するが、90%の準備が整っていると述べた。
水素と電気のハイブリッドシステム
セニック・ビジョン・コンセプトのパワートレインは、メガーヌEテック・エレクトリックと同じ電気モーター(218ps)に小型バッテリー(40kWh)の組み合わせだが、走行中の充電用に15kWの水素燃料電池を床下搭載しているのが革新的な点である。
ルノーは、2030年には水素補給ネットワークが整備され、一度の充填で800km走行が可能になり、補給も5分間で完了すると予測している。
ルノー・グループは、水素電気自動車向けの新しいプラットフォームを開発している。現在はプロトタイプの段階にあるが、バッテリー、モーター、燃料電池、水素タンクを搭載できるように設計されている。
ジル・ヴィダルは、セニック・ビジョン・コンセプトの開発にあたり、EV向けのCMF-Bプラットフォームの使用も検討されたが、最終的にはパッケージングの最適化のために実験用プラットフォームが採用されたと説明している。
ただし、2024年発売の市販モデルには、メガーヌEテック・エレクトリックと同じCMF-EVプラットフォームが採用される予定だ。水素電気自動車用プラットフォームが市販車に導入されるのは2030年以降になりそうだという。
インテリアには再生素材を活用
セニック・ビジョン・コンセプトは、バッテリーを含め、70%がリサイクル素材で作られており、そのうち95%が再びリサイクル可能だという。そのこだわりは、ミニマルなインテリアで表現されている。
例えば、フロアとシートは100%リサイクルの無染色プラスチック、ヘッドライナーは都市汚染によって発生した微粒子でできている。また、各部品は簡単に交換できるようになっており、常にルノーの最新技術を搭載し、新型車に乗り換える必要がないようになっているそうだ。
ルノーはリサイクル素材を重視しており、2024年発売のセニックでも25~35%がリサイクル素材で作られるという。さらに、シートサポートをドアパネルに取り付けて乗降を容易にしたり、ダッシュボードが運転席と一緒に前後に動いてスペースを確保したりするなど、スペースの効率化も図った。
全席にマイクとスピーカーを設置し、乗員一人ひとりの「音環境」を整えているほか、ステアリングホイールには後部座席を映し出すスクリーンを、ダッシュボードにはドライバーの視線に合わせて位置が変わる回転式スクリーンを設置するなど、さまざまな工夫が施されている。
ユニークな安全システムも特徴の1つ。ルノーによると、ダッシュボードの超大型スクリーンに車体前方のカメラ映像を映し出し、前方視界を最大24%向上させるという。また、ドライバーの行動を分析して点数をつけ、改善策を提案する新機能「セーフティ・コーチ」も搭載されている。危険な行動を検知し、安全な運転を促すことで死亡事故を30%減らすとされている。
複数のドライバーが運転することを想定し、顔認識機能により各ドライバーの好みに合わせてインテリアを自動的にカスタマイズできるようになっている。21インチホイールには、10km/h以上で走行中にフラップを閉じて空力特性を改善し、低速で再び開いてブレーキを冷却するなど、効率向上を目的とした新機構も数多く組み込まれている。
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