フェラーリは、F1第7戦エミリア・ロマーニャGPに新しいパッケージを持ち込んでいるが、その狙いはダウンフォースの単純な増加を狙ったものではないようだ。
これまで、F1マシンのアップデートといえばダウンフォースを増やすことでラップタイム向上につなげるという考えが主なモノだった。
■F1メカ解説|大規模アップデート投入でレッドブルを追えっ! フェラーリがイモラに投入する新パッケージを解説
しかしグラウンドエフェクトによりダウンフォースを生む現行F1マシンを高速化するのはより難しくなっている。
課題のひとつが、高速域での性能と低速域での性能の適切な妥協点を見いだすことだ。さらに、マシンがピーキーになりすぎず、ドライバーに信頼感を与え、限界を超えてスピンすることを恐れずに限界まで走れるようにすることも重要だ。
チームによって得意な領域は異なっており、例えばマクラーレンは高速コーナーで顕著な速さを見せる一方、ハースは低速コーナーに秀でている。
今季のフェラーリは、高速コーナーで速さを見せている一方で、低速領域でもっと上手くやる必要性があると感じているようだ。
そのため、ダウンフォースを増やすことは常にアップデートの重要な要素ではあるものの、イモラでのアップデートの原動力は、様々なコーナーでのパフォーマンスを平準化することにある。
フェラーリのシニア・パフォーマンス・エンジニア、ジョック・クレアは次のように説明した。
「フロアやリヤタイヤ、リヤウイングの下側など重要な部分に変更が加えられているのが分かるだろう」
「だが正直なところ、有機的なアップグレードなんだ。クルマの開発の方向性は変えていない。このアップグレードは、クルマの荷重配分と呼ばれるものにわずかな変化をもたらす」
「それによって、より効果があるスピード域もあれば、そうじゃないスピード域もあるだろう。言ってみれば、少しマップをずらすようなものだ」
クレアはさらに、ドライバーたちが信頼できるマシンを提供することの重要性を強調した。
「我々はまだ、小さなバランス・ウインドウを追求している。コーナーの進入、中盤、立ち上がりでのバランス変化を小さくすることで、より安定したマシンになる。それによってドライバーはより自信を持つことができ、スピードに乗ることができる」
フェラーリがイモラに持ち込んだアップデートは、オーバーバイト型となったサイドポンツーンインレットなど、目に見える変更に注目が集まっているが、クレアによればボディワークの微調整は他の部分で起きていることの結果だという。
「リヤホイールやディフューザー周辺のエアフローをクリーンにしているんだ」
そうクレアはアップデートについて説明した。
「それから当然、リヤウイングを活性化させる。それは誰もがやろうとしていることだ。それが一般的なダウンフォースをもたらすんだ」
「見た目的な変化は、おそらくクリーンアップとその結果だろう。クルマの外側に見えているモノの多くは、開発の鍵となる部分に集中した結果、そうせざるを得なくなったものなんだ」
「だから我々はどこに空力的な影響があるか、他の部分で何が起こっているかを見るんだ」
フェラーリはエミリア・ロマーニャGP初日、持ち込んだアップデートがどれだけ寄与しているかは分からないが、シャルル・ルクレールがトップで終えるなど好調な滑り出しを見せている。
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