ナンバープレートの分類番号(地名のとなりに記載)は3桁が主流になり、2桁のものは急速に減っている。2桁ナンバーのクルマは、20年以上所有され続けている場合が多い。それだけ長くおなじ1台に乗り続けるのはなぜ? 連載第11回は“横浜33”の日産「シーマ」を所有する女優・伊藤かずえさんをたずねたお話の前編。
レストア開始!
「伊藤かずえさんのシーマのレストアの実施を決定」というタイトルのプレスリリースが3月17日、日産自動車から配信された。
前話:Vol.10 品川33のメルセデス・ベンツ500SL 前編 /後編
伊藤かずえさんは、映画やドラマで活躍する女優である。また、最近は、初代日産「シーマ」を、新車時より乗り続けていることでも知られるようになった。伊藤さんはご本人のSNSに、愛車に情報を時折投稿している。2020年11月には、所属事務所(ホリプロ)の後輩である俳優・中尾明慶さんのYouTubeチャンネル『中尾明慶のきつねさーん』に、愛車とともに出演したのも話題になった。
筆者もこのYouTubeを見て、懐かしさがこみ上げた多くの人のうちのひとり。3年前には、別の媒体で伊藤かずえさんと愛車の初代シーマを取材したこともあるからなおさらだった。その記事を読み返すと、「懇意にしているディーラーの閉店後、維持するための“作戦会議”をおこなっています。Y31セドリック/グロリアと共通部品は多いかもしれませんが、欠品しているものもあるんです」と、述べていた。
あれから3年、伊藤さんの初代シーマはついに購入から30年という大きな節目を乗り超えて、いまも健在のようだ。これを機会に、今ではすっかり数の少なくなった初代シーマについて、あらためて話を聴いた。
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フツーに乗ります
「都心までシーマを運転してきたのは久しぶりです」
待ち合わせの場所に、伊藤さんは、自ら愛車である初代シーマを運転してやってきた。ちなみに伊藤さんのシーマは「TYPEIIリミテッド」という当時の最上位グレードだ。
神奈川県に住む伊藤さんは、「最近、都内に出るときは路線バスと電車を乗り継いでいます。そのほうが疲れないので。事故のリスクも減らせますし、ガソリン代も節約出来ますから(笑)。平均燃費ですか? 今はリッター4kmぐらいかもしれません」と、いって、「(都内に向かう)途中で止まる可能性もありますからね」と、冗談めかして笑った。
愛車を長きにわたって所有するため、そうできるときは、なるべく乗らないようにしているのかもしれない。
と、思ったのだけれど、そうではないそうだ。「自宅近辺の移動では、いまでも普通に乗っていますよ。新型コロナ・ウィルス以前は、スーパーに行くのに頻繁に乗っていましたし。今はできるだけ“まとめ買い”をしているので、スーパーに行くのは週2回程度ですけど」。がんがん日常に使っていた。
とはいえ、それなりの距離を走るのは久しぶりだったそうだ。「調子は良いですよ。ただ、エア・サスペンションが不調なようで“ガ、ガ、ガ”という異音が聴こえました」と、伊藤さん。30年超所有しているだけあって、不調や異音の原因はおおよそ見当がつくそうだ。
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ちなみに、ほかの部分は問題ないそうで、エンジンやエアコン、トランスミッション、そしてブレーキなど、いずれも快調という。
「この取材の前に、違う収録現場へ乗っていったのですが、皆さん、普通に走っている姿にびっくりしていました。番組のプロデューサーや共演者が『見せてください!』といって、大勢、駐車場まで来てくれたんですよ」
エンジン載せ替えは即断即決
現在の走行距離は約26万6200km。26万kmに達したあたりから長距離をほとんど乗らなくなったため、現在は年間1000km程度しか距離が伸びていないという。
「むかしはほぼ毎日運転していましたね。長野や京都といった遠方のロケ現場にも、シーマで行っていました」
過去の26万kmのほとんどは、伊藤さん自らハンドルを握って走ったという。「かなり疲れているときには、マネージャーさんに運転をかわってもらったことはありますが、基本的には私が運転します。でも、ときおりリアシートで横になったときは、広々としているのでリラックスできました」と、話す。
10万km前後のころに、エンジンが不調になり、エンストが多発してレッカー車で工場入りするときもあったという。
「乗り換えを勧められたのですが、欲しいクルマがなかったんですよね。で、ディーラーで相談したところ新品のエンジンが4基残っているということだったので、これを逃すわけにはいかない! と、思い、載せ替えを決意しました」
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載せ替えに要した費用は約100万円だったという。「けれでども、100万円で購入出来る新車は限られるじゃないですか? 欲しいクルマもなかったので、すぐ載せ替えを決めました」という。
エンジンを載せ替えていたときは、頻繁にディーラーへ足を運んだという。
「載せ替えの作業は、ひとりの整備士が専従で取り組むんです。その人からは『おなじクルマにおなじエンジンを載せ替えたのははじめてです』と、言われました。普通の人は、エンジンの載せ替えはしないそうですね(笑)」
交換してからのエンジンは好調だ。しかし、エンジン以外の部分はいくつかトラブルに見舞われたという。
「エアコンは20年目を超えたあたりで壊れました。当初は中古部品での対応も考えましたが、ディーラーからは『長く乗るのであれば新品がいいです』と、勧められました。でも、新品がなかったので、ゼロから作ることに決めたんです」
Y31セドリックのエアコンを改造し、伊藤さんのシーマ用に仕立て上げたという。もしものときを考えて、2基、つくったそうだ。価格は総額60万円。今のところエアコンの調子はいいそうで、予備の1基は当面、使う予定はないそうだ。エア・サスペンションは壊れる前に1度交換したという。
「毎年定期的に点検を受けているからこそ、長く乗り続けられたのだと思います。1年に1回の定期点検のみですけど」。無事これ名馬、ということか。
さて、そんなシーマと伊藤さんが出会ったきっかけとは? 次回、リポートする。
【2桁ナンバー物語 過去記事】
Vol.1 春日部33のブガッティ EB110 前編/後編
Vol.2 品川35のアルピナB8 4.6 リムジン 前編/後編
Vol.3 練馬34の日産 ステージア 前編/後編
Vol.4 八王子33のディーノ246GT 前編/後編
Vol.5 三重33のBMWアルピナ 3.0CSL B2S 前編/後編
Vol.6 横浜33のフェラーリ テスタロッサ 前編/後編
Vol.7 横浜34のポルシェ 911 前編/後編
Vol.8 品川35のランチア・テーマ・ステーションワゴン 前編/後編
Vol.9 品川35のランチア・テーマ8.32 前編/後編
Vol.10 品川33のメルセデス・ベンツ500SL 前編 /後編
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・大内悠子 撮影協力・ホテルメルパルク東京
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みんなのコメント
エアコン新品ないから作ったといえ、本当に好きで無いとできませんね。
日産のレストアって、どこまでやってくれるんだろうか?費用は全額日産なのかなぁ?