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東京モーターショー マツダブース コンセプトカーなどに見えた数年後のリアルとは?

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東京モーターショー マツダブース コンセプトカーなどに見えた数年後のリアルとは?

夢物語ではない未来がそこにある

 45回目を迎えた「東京モーターショー」で、マツダは「サスティナブル“ZoomーZoom”宣言2030」という長期的な技術開発ビジョンを発表し、大きな注目を集めました。

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 これは「走る歓び」を開発テーマの中心に据えて「環境」や「先進技術」を充実させて行くというビジョンであり、マツダはそれを体現するふたつのデザインコンセプトと、ひとつの先進技術を展示しました。

 ステージ中央に配置された一台の5ドアハッチバック。これは「マツダ 魁 CONCEPT」(KAI コンセプト)と名付けられたスタディモデルで、そのハッチバック車とは思えない伸びやかなデザインが特徴的です。特にスポーツカーのように寝かされたAピラーや、ショートオーバーハングのリアまわりやそのサイズ感から、これは2019年に登場が噂されている「アテンザ」の次期デザインと目されています。

 デザイン的にはサイドミラーやドアハンドルの造形が現実離れしていますが、それ以外は現在のマツダ車が持つディティールをしっかりと受け継いでおり、かつこれを流麗なテイストに躍進させた形となっているため、かなり現実的なものだと言えるでしょう。またこれをより実用的な方向へと修正して行けば、ひと回り小さな「デミオ」にも十分に応用できると感じました。

市販化も視野か? 「VISION COUPE」

 もうひとつのデザインコンセプトは、「VISION COUPE(ビジョン・クーペ)」と名付けられた4ドアクーペでした。このコンセプトカーで注目すべきは、そのエレガントなスタイル以上に、4ドアクーペとなっていることです。これは現在のマツダ車にはないEセグメント以上の車格と思われ、かつてのフラグシップサルーンであった「センティア」が想起されます。

 マツダはかねてから後輪駆動車で「アテンザ」以上のクラスを構築するのではないか、とウワサされており、その期待をパズルの1ピースとして埋め込む上で、「VISION COUPE」のスタイリングにはとても説得力があります。「RX-7」での経験や「ロードスター」の継続実績を考えても、マツダがFR(フロントエンジン・リアドライブ)車を新たに誕生させることは、非現実的な話ではないと思います。

 またデザインを統括する前田育男氏(常務執行役員)がこの「VISION COUPE」に「塊から削りだしたような、無駄のないデザイン」を目指し「余計な装飾を用いないことで、飽きのこないものとした」とコメントしていることからも、これが単なるスタディではなく、市販化を強く視野に入れたものではないかと予想でき、大きな期待が膨らみました

話題の次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を間近に!

 そしてこれらのデザインをより具現化するひとつの技術が、今回エンジンディスプレイと共に発表された「SKYACTIV-X」という技術です。

 これはマツダが提案する次世代のガソリンエンジン技術で、ひとことで言うと「ディーゼルエンジンの高トルクかつ低燃費な性能と、ガソリンエンジンのパワー感および伸びやかさ(気持ちよさ)を融合した理想的な内燃機関」です。

 具体的にはディーゼルエンジンの圧縮着火をガソリンエンジンに応用し、少ない燃料でも高い出力が出せるようにすることがその狙いです。ちなみにその目標値は、ガソリンエンジンでの理想的な空燃比(14.7:1)を遙かに上回る「30(以上):1」だといいます。

 そのためにマツダは「SPCCI」(Spark Controlled Compression Ignition)という技術を用いました。これはスパークプラグによる点火で圧縮点火の手助けを行うもので、小爆発した膨張火炎球が筒内の空気を圧縮し、自然着火を補助します。そしてこのプラグ制御は、圧縮点火しにくい軽負荷時や高回転時、外気圧状況などをセンサリングして着火します。

 また広範囲でリーンバーン(希薄燃焼)を達成するために、「高応答エアサプライ」を用います。これは機構的にはスーパーチャージャーと同じ、強制的に空気を吸い込ませる過給器ですが、その目的は単なるパワーアップではなく圧縮点火を実現するために必要な燃焼状況を作り出すためのものなので、マツダは「空気供給装置」と呼んでいます。

提示するのは「現実的な」EVシフト

 そして筆者(山田弘樹:モータージャーナリスト)はこの「SKYACTIV-X」のプロトタイプ車を、マツダのテストコースで試しました。その印象をお伝えすると、確かに低速域ではディーゼルエンジンのような力強さがあり、アクセルを踏み込むとガソリンエンジンのように高回転(6000rpm以上)までこれが吹け上がりました。まさに両者のいいとこ取りをしたフィーリングです。

 当日はまだそのエンジン制御を試行錯誤している状況で、6MT/6ATの両方で数種類の内容をブラインド試乗したため、これは最もパワー感があった状況での印象をひとつ述べたに過ぎません。しかし次世代の内燃機関としてはマツダがひとつの指標を示したことは事実であり、これがおよそ1年半後の2019年に登場するとウワサされる「アクセラ」に搭載されれば、今回の「東京モーターショー」での布石が一致することになるのです。

 マツダの素晴らしいのは、こうした環境技術やデザインが、全て「走る歓び」を源として発信されていること。省エネを謳っても、走る楽しさが失われていないことです。

 時代はEVへと急速にシフトしようとしていますが、現実的な生活での省エネルギー化にはまだまだ内燃機関の性能を極めることが必要です。そしてここに電動化を徐々に組み合わせて行くことで、リアリティのある省エネ化が実現されると筆者は思います。

 そしてマツダはこのSKYACTIV技術をはじめ、EV技術やディーゼル技術を適材適所で用いることで、それを達成しようとしています。それが今回長期ビジョンとして提案した「サスティナブル“ZoomーZoom”宣言2030」なのです。

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