クラウンが発売当時から先代までずっと貫いていた「セダン」という枠組みを、現行型から「シリーズ化」してクラウンという名を残した。一時期はセダン人気の低迷からクラウンがなくなってしまうのではないかと危惧されていたが、このクラウンの「大変身」は必然かつ当然だったのだ。
※本稿は2024年9月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年10月10日号
[クラウン]大変身は必然だった? クラウンが残り続けるたった一つの意味とは
【画像ギャラリー】今のクラウンになったのは必然だったのよ! トヨタの実質的頂点のクラウンシリーズを一挙に(33枚)
■クラウンが持つ意味って?
4つ目の選択肢、エステートの登場で、より自分にピッタリなクラウンが見つかる!?
最盛期である1990年、クラウンの一カ月あたりの平均登録台数は約1万7300台だった。しかし先代クラウンは月間平均で約1800台(2021年)と、ピーク時の約10%。クラウンの廃止という選択肢もあったなか、トヨタは、長い歴史を持つ基幹車種としてのクラウンの強みを生かすことを選んだ。
ただし、従来どおりの国内向けセダンのみでは状況打開は厳しい。そこでクラウンをシリーズ化し、SUVモデルを主軸に据えた。
海外展開も見込めるうえ、これまで輸入車をはじめ他社の上級SUVへと流出していた、ハリアーなどからの乗り替えユーザーを受け止めることができる。
トヨタブランドの最上位にはクラウンを、さらに高級なクラスにはレクサス、というトヨタならではの二段構えで、SUVでの上級移行を可能にしたのだ。
クラウンの選択は必然であり当然だった。現行モデルの登録台数は、シリーズを合計してもハリアーに及ばない。しかし、もう台数は追わなくていい。トヨタ車の実質的な頂点は、今もクラウンにしか立てない場所なのだ。
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SUVばっかりいらない。