現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 大霧を破る異次元の走り。トヨタのロバンペラが圧勝、オジエは意地の日曜最速に【WRCチリ最終日】

ここから本文です

大霧を破る異次元の走り。トヨタのロバンペラが圧勝、オジエは意地の日曜最速に【WRCチリ最終日】

掲載
大霧を破る異次元の走り。トヨタのロバンペラが圧勝、オジエは意地の日曜最速に【WRCチリ最終日】

 9月29日(日)、南米チリにて2024年WRC世界ラリー選手権の第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』の最終日はスペシャルステージ(SS)13から16までの4本で行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合優勝を飾った。

 また、2024年シーズンに新たに導入された日曜のみの総合順位でポイントを競う“スーパーサンデー”では、TGR-WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が最速となり7ポイントを獲得している。

【最終結果】2024年WRC第11戦ラリー・チリ・ビオビオ パワーステージ後

 いよいよ迎えた最終日はSS13からSS16までの全4本を走り、ステージの総走行距離は54.80kmで争われる。リエゾン(公道区間)も含めた総距離は291.38kmだ。

■厳しさを増すチリ。難易度マックスのグラベル

 暫定ポイントの懸かる山場となったデイ2は、午後から濃霧に見舞われる難コンディションの一日であった。そしてその猛威は、最終日も引き続き各車を見舞うこととなった。

 朝方に雨が降った様子のチリ・ビオビオ州。現地時間8時23分に開始となったこの日1本目の『ララクエテ1』(18.62km)は、狭い道幅とアップダウンの激しいステージレイアウトに加え、ぬかるんだ路面、先の見えない深い霧とますます厳しいコンディションで各クルーを出迎えた。

 まずは、デイリタイアからの再走を果たしたオジエを先頭にアタックを開始していく。


 林道を進むにつれて標高は高くなっていくうえに、時間経過で変化する天候状況としても霧は刻一刻と深まる様子。その影響はタイム差にも如実に表れ、先頭走者のオジエのタイムを超える者は現れず、スーパーサンデーの主導権を握るステージウインを飾った。

 続くSS14『ビオビオ1』(8.78km)でもこの状況は続き、各車が銘々のペースノートを信じてアタックを敢行、オジエが連続ステージウインをあげる。

 さらに、総合首位のロバンペラや総合2番手のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、週末を通して発揮してきたペースの良さを活かし、オジエに続くタイムをマーク。貴重なポイントがかかるスーパーサンデー争いで、トヨタ勢がトップ3を占める展開となった。

■不可解なウイング脱落発生。ラッピは“2度目”のバンパーロスト

 再走ステージ1本目の『ララクエテ2』では、コンディションがやや好転した様子で、先述のステージ終了から間髪入れずにアタックがスタートした。

 標高が比較的低めなステージ前半では、視界を遮る霧も減り、路面コンディションもドライ寄りに変化して各車はペースアップを見せる。しかし、ここでスピードを上げた数台は、アクシデントの引き金を引いてしまうことになる。

 そのひとりとなった2番目出走のマルティン・セスク(フォード・プーマ・ラリー1)は、ステージ終盤のジャンピングスポットにて、リヤウイングが脱落するトラブルが発生。ジャンプ途中でのエアロ破損に、走行後のセスクも「何?本当?なんでか分からないよ」と困惑のコメントを残している。


 さらに、3番目走者のエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)も、轍を使って勢いよくコーナリングをした結果、イン側の土手にフロントを接触してしまい、今大会“2度目”のバンパーロストを喫してしまう。


 そんな波乱含みのSS15は、先頭走者のオジエが勢い止まぬアタックを披露し、3連続の全体ベストタイムを刻んで見せた。

 昼の小休止を挟んでいよいよ迎えた最終ステージは、8.78kmの『ビオビオ2』だ。こちらはトップ5タイムのクルーおよびマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される『ウルフ・パワーステージ』となる。

 徐々に霧も澄みはじめたこのパワーステージでは、各車最速の座をかけてペースアップ。集大成となるアタック合戦の結果、オジエがロバンペラを0.1秒差で破るトップタイムを刻んでボーナスポイントを手にした。

 これでWRCチリは決着。デイ2に首位に躍り出たロバンペラがリードを守り切り、今季4度目の総合優勝を飾った。2位にはエバンスがつけてトヨタがワン・ツー達成、3位にはタナクがつける表彰台となった。そしてスーパーサンデーは、デイリタイアからの再走を果たしたオジエが挽回を期す走りで制して見せた。

 そして、デイ2終了時にはニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)がクラストップの座に立っていたWRC2クラス。こちらはデイ2後に、クラス3番手のヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)に対し、SS11で前を走るスローペース車が上げていた砂煙に起因する減速が認められ、新たなノーショナル(想定)タイムが付与されてクラストップに浮上するというどんでん返しを経て最終日を迎えた。

 ロッセルがグリアジンに対して11.6秒をリードして幕が開けた最終日、もっとも勢いがあったのはオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)で、4本中4本でステージウインを飾る快走を披露。ソルベルグにとっては自力チャンピオンもかかる今季最後のポイント有効戦であったが、SS11でのパンクによるロスを巻き返すことはできず、涙の4位フィニッシュとなった。

 クラス優勝争いは、ロッセルとグリアジンが一進一退の僚友対決を繰り広げ、ロッセルが17.3秒のリードを守り切って今季2勝目を飾った。そして、ワン・ツー達成となったシトロエン・レーシングはWRC2クラスのチーム選手権のチャンピオンに輝いている。

 2024年WRCの次戦は、ドイツ、チェコ、オーストリアを舞台とする『セントラル・ヨーロピアン・ラリー』。CERと呼ばれるこのラリーは2023年にWRCに新たに加わったラウンドであり、ヨーロッパ中央部に位置する3か国のターマック(舗装路)をメインに争われる。異なる国を舞台とすることでステージの特徴も三者三様となり、一筋縄ではいかぬ戦いが予想される。最終戦ラリージャパンの前哨戦にもなるこの第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーは、10月17日(木)から10月20日(日)にかけて開催される予定だ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

2024MotoGPチャンピオンはホルヘ・マルティン。バニャイアは最終戦を完勝も10ポイント届かず/第20戦ソリダリティGP
2024MotoGPチャンピオンはホルヘ・マルティン。バニャイアは最終戦を完勝も10ポイント届かず/第20戦ソリダリティGP
AUTOSPORT web
改めて証明した角田裕毅のポテンシャルの高さ。セナを彷彿させるボルトレートのF1昇格【中野信治のF1分析/第21戦】
改めて証明した角田裕毅のポテンシャルの高さ。セナを彷彿させるボルトレートのF1昇格【中野信治のF1分析/第21戦】
AUTOSPORT web
小川颯太「不完全燃焼です」佐藤凛太郎「最初からアタックする気でした」TGM Grand PrixのマカオGP2日目
小川颯太「不完全燃焼です」佐藤凛太郎「最初からアタックする気でした」TGM Grand PrixのマカオGP2日目
AUTOSPORT web
ホンダのエース不在のなか新型プジョーが2勝目。王者バカンが初の連覇を達成/TCR豪州最終戦
ホンダのエース不在のなか新型プジョーが2勝目。王者バカンが初の連覇を達成/TCR豪州最終戦
AUTOSPORT web
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第13回】点差は関係なし。“三つ巴”の6位争いへ「緊張感のある場で戦えるのはありがたいこと」
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第13回】点差は関係なし。“三つ巴”の6位争いへ「緊張感のある場で戦えるのはありがたいこと」
AUTOSPORT web
ラリー・ジャパンが11月21日に開幕、ヒョンデとトヨタがマニュファクチャラーズタイトルを賭けて激突【WRC最終戦 プレビュー】
ラリー・ジャパンが11月21日に開幕、ヒョンデとトヨタがマニュファクチャラーズタイトルを賭けて激突【WRC最終戦 プレビュー】
Webモーターマガジン
ヤマハ:クアルタラロ殊勲のQ2進出。レースで追い上げのリンス「マシンの感触はとても良かった」/第20戦ソリダリティGP スプリント
ヤマハ:クアルタラロ殊勲のQ2進出。レースで追い上げのリンス「マシンの感触はとても良かった」/第20戦ソリダリティGP スプリント
AUTOSPORT web
中村仁「楽しさを感じた」小林利徠斗「差を縮めたい」TGR-DC育成ドライバーのマカオGP初日
中村仁「楽しさを感じた」小林利徠斗「差を縮めたい」TGR-DC育成ドライバーのマカオGP初日
AUTOSPORT web
【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第21戦】角田裕毅がキャリア最高の走り。僚友を圧倒、3番手からノーミスで入賞
【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第21戦】角田裕毅がキャリア最高の走り。僚友を圧倒、3番手からノーミスで入賞
AUTOSPORT web
小川颯太「感覚の違いは怖い」佐藤凛太郎「ドライタイヤに熱が入らず」TGM Grand PrixのマカオGP初日
小川颯太「感覚の違いは怖い」佐藤凛太郎「ドライタイヤに熱が入らず」TGM Grand PrixのマカオGP初日
AUTOSPORT web
ホンダ:予選Q2目前のミルは競争力に手ごたえ。ザルコも「トップ10のチャンスはある」/第20戦ソリダリティGP スプリント
ホンダ:予選Q2目前のミルは競争力に手ごたえ。ザルコも「トップ10のチャンスはある」/第20戦ソリダリティGP スプリント
AUTOSPORT web
ホンダ:中上FP1首位&ザルコ午後4番手。マリーニも「非常に励みになる」と意気込む/第20戦ソリダリティGP 初日
ホンダ:中上FP1首位&ザルコ午後4番手。マリーニも「非常に励みになる」と意気込む/第20戦ソリダリティGP 初日
AUTOSPORT web
予選レースはSCチェッカーに。ウゴチュクウが首位キープ/第71回マカオGP FRワールドカップ
予選レースはSCチェッカーに。ウゴチュクウが首位キープ/第71回マカオGP FRワールドカップ
AUTOSPORT web
TC2000王者ペーニャがプジョーで2勝目、僚友カルドゥソも選手権首位を奪還/TCR南米第9戦
TC2000王者ペーニャがプジョーで2勝目、僚友カルドゥソも選手権首位を奪還/TCR南米第9戦
AUTOSPORT web
残り2周でまさか……エンゲルがドラマチックなウエットレースで逆転勝利/マカオGTワールドカップ
残り2周でまさか……エンゲルがドラマチックなウエットレースで逆転勝利/マカオGTワールドカップ
AUTOSPORT web
マクラーレン育成ウゴチュクウ、大荒れのマカオFRワールドカップで完勝。日本勢最上位は小林利徠斗
マクラーレン育成ウゴチュクウ、大荒れのマカオFRワールドカップで完勝。日本勢最上位は小林利徠斗
AUTOSPORT web
フル参戦ラストの中上は午前最速。逆転で王者を狙うバニャイアが初日トップ/第20戦ソリダリティGP
フル参戦ラストの中上は午前最速。逆転で王者を狙うバニャイアが初日トップ/第20戦ソリダリティGP
AUTOSPORT web
大逆転タイトルを狙うトヨタ、ラリージャパンで決戦へ。「完璧に近い週末にする」とラトバラ代表
大逆転タイトルを狙うトヨタ、ラリージャパンで決戦へ。「完璧に近い週末にする」とラトバラ代表
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村