標準装備化が進む、スマホ連動の便利システム!
いまトヨタが導入している新システム「ディスプレイオーディオ」。昨年後半からフルモデルorマイナーチェンジを迎えた車両や、一部改良モデルに着々と投入されている。かなり複雑で、しかも車種によって標準装備でできることが異なるため、わかりにくいと感じている人も多いようだ。
賛否両論の「ディスプレイオーディオ」は拡張性が勝負だった! 気になるオプション5つとその中身とは
ディスプレイオーディオの仕組みは2019年秋頃から導入され始め、それ以降に登場した車両にはすべてに採用されている。具体的には2019年9月にフルモデルチェンジしたカローラ・ツーリングにはじまり、RAV4、ヤリス、C-HRなどを含め、2019年12月に一部改良されたアルファード&ヴェルファイア、2020年6月にフルモデルチェンジしたハリアーなどで、今後の車種にも導入していく方向を示しているため、現在及び今後トヨタ車を新車購入する際は、避けては通れない仕組みとなりつつあるのだ。
簡単に説明すると「スマホとつなぐことで、スマホ内のアプリをディスプレイオーディオ上で使えるようになる仕組みのこと」だ。しかも音声でアプリを操作したり、通話をハンズフリーで行うことも可能なため、運転中も安全に使用できるのが特徴。さらに、好みに応じてオプション追加で機能を拡大することもできるため、従来のナビシステムよりも自分好みを実現しやすいのもメリットのひとつと言えよう。
スマホの有/無で使える機能が異なる
スマホがなくてもできる「標準装備」
従来のナビゲーションとは大きく異なるシステムだが、まずはスマホを接続することもなく、ディスプレイオーディオ単体でできることからみていこう。ディスプレイオーディオには、AM/FMラジオチューナーを内蔵しているため、ラジオの視聴が可能となる。さらに、USB内に保存した動画や音楽を再生することもできる。
スマホ機能連動でできる「標準機能」
次にスマホと連動させることで使える機能について。スマホや音楽プレーヤーなどに入っている音楽を、Bluetoothを使って聴くことができたり、同じくBluetoothを使ってスマホを持たずにハンズフリーで電話をかけたり、受けたりすることができる。ここまでは、従来のナビとほとんど変わらない機能となる。
さらにSmartDeviceLink(スマートデバイスリンク)という機能もあり、これはスマホ内の指定のアプリをBluetoothで接続してディスプレイオーディオ上で使用できるのがポイントだ。代表的なアプリは「TCスマホナビ」や「LINEカーナビ」、「LINEアプリ」などで、使用の際の操作をディスプレイオーディオ側で行える。
通信機能でできるディスプレイオーディオの「醍醐味」と「通信料」について
先述のスマートデバイスリンクもスマホを活用した機能だが、最大の注目ポイントはAndroidスマホなら「Android Auto」が、iPhoneなら「Apple CarPlay」が使えること。基本的な機能はいずれも同じで、スマホ内の対応するアプリを音声で操作ができるもの。対応するのはナビなら「Googleマップ」や「Yahoo!カーナビ」などで、従来の純正&社外ナビと違い更新なども必要なく、常に最新の状態でナビを使用することができる。また音声で電話をかけたり、メッセージを読み上げる&送る、といったこともスムーズにできる。
ただ当たり前だが「Android Auto」や「Apple CarPlay」を使用するには、スマホの通信料がかかり、従来のナビシステムとは大きく異なる部分。ちなみにその気になる通信量だが、個々の使用状況にもよるが、1日4~5時間を毎日使用したとして、ひと月で約2GBくらいのようだ。アプリによってはWi-Fi環境がある場所で事前に地図情報をダウンロードして使用することもできるため、通信料を抑えたい人はそういった方法もある。
ここで注意したいのは、スマホ自体のスペックだ。使用するスマホ自体の性能によって、ディスプレイオーディオの反応速度が変わってきたり、中には対応しないスマホもある。これは意外と知られていない、でも重要なことだ。
安全&安心の「T-Connectサービス」が受けられる!
ディスプレイオーディオ装備車両は、車両とトヨタスマートセンターを通信でつなげる「T-Connectサービス」が受けられるのも大きな特徴だ。
代表的なサービスが「ヘルプネット」。これは事故や急病時などにルーフにあるボタンを押すか、エアバッグが作動すると自動で専門のオペレーターにつながるもの。状況に応じて緊急車両やドクターヘリを手配してくれ、今いる場所がわからなくても車両位置情報を読み取ってくれ、適切な対応をしてくれる。
離れた場所にある車両の状況をスマホに知らせてくれる「マイカーサーチ」も注目で、ドアロックの閉め忘れやハザードランプの消灯などをスマホで確認できる。
他にメンテナンス面でもメリットがあり、車両の警告灯が点灯すると、ディスプレイに表示が出る。それを押すとオペレーターにつながり、自動送信された車両の診断機能から、走行が可能かなどを判断してくれる。それにより、ディーラーへの走行を促したり、レッカーを呼んでくれたりといったサービスも受けられる。また、購入したディーラーには、クルマが発信する情報が随時届くため、車両のチェックを遠隔で行なってくれる。走行距離やキーの電池やバッテリーの状況、オイル交換の時期などを把握してくれているため、最適なメンテナンスが受けられるのも特徴的だ。
ただしこのサービスは5年間は無料で使用できるが、6年目以降は年払いで税別3300円(月払いは税別300円)の費用が必要となる。
従来ナビと大きく異なるのは、ナビ機能やTV視聴が標準装備でないこと
ここまではディスプレイオーディオになって出来る事を紹介してきたが、ここからは従来ナビで当たり前だったけど、ディスプレイオーディオになってできなくなったことを紹介していく。
大きくは以下2点だ。◆TV視聴がオプション◆ナビ機能がオプション※上記いずれも車種やグレードによっては標準設定されている場合もあり 特にナビは従来のカーナビシステムから、スマホ内のナビアプリを活用した方式に移行していきたいとのメーカー側の思惑があってだろう。
CD&DVDデッキは純正に設定がなければ後付けすらできない!
小さなお子さんがいる家族に特に重宝しているであろうCD&DVDデッキ。アルファード&ヴェルファイアやヤリスクロスなどにはオプション設定されているが、オプション設定されていない車種にはアフターパーツ製品であっても装着ができない。実際この点に対する顧客から売り場へのリクエストはやはり多いようで、今後対策される可能性も大いにありそうだ。
スマホの「ミラーリング」はAndroidは可でもiPhoneは不可の衝撃!
スマホ画面をディスプレイオーディオに映し出せる「ミラーリング」。YouTubeなどの動画再生や、スマホ内にダウンロードされた動画を、スマホを操作して再生することができる便利機能。ちなみにミラーリング自体に通信料はかからないが、YouTubeにアクセスする際の通信料は当然ながら必要。
ただここで大問題。このミラーリングは執筆時点ではAndroidのみ対応でiPhoneは不可。つまり、iPhoneユーザーはスマホを使って動画視聴ができないのだ。どうしても……というなら、現状はUSBに取り込んだ動画を再生する、という選択肢しかないのが現状のようだ。
以上が標準装備の基本的な内容となるが、ここから好みに応じてオプションで追加できる。ただ、それでもまだ物足りない部分があるのも事実で、それを払拭するためのアフターパーツが徐々に揃い始めてきている。この辺りは後日の機会に改めて詳しく紹介したい。
装備内容は変更の可能性あり! その都度チェックが必要
またここまで紹介した内容は2020年10月現在のものだが、装備内容が変更になることも往々にしてあるという。実際筆者が、数ヶ月前に取材をさせていただいた時点から、標準装備が変わっているため、購入時には装備内容をチェックすることをオススメしたい。
いずれにしても今後はこれがトヨタ車のスタンダードになるため、しっかりと理解しておきたいところだ。
【取材協力】トヨタカローラ中京 豊田元町◆愛知県豊田市広久手町3-1-2◆tel.0565-33-7951◆https://www.corolla-chukyo.co.jp
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