鈴鹿サーキットで行なわれている年末恒例のスーパーフォーミュラテストは、全チームが参加しての合同テストとして行なわれる最初の2日間が終了。その中で印象的だったのが、今シーズン所属したチームとは別のチームから参加したドライバー3人の好調ぶりだ。
■トップタイムの福住は慎重「そんなに甘くない」
■今季SFに参戦した4人の外国人ドライバー、悲喜こもごもの2025シーズンを振り返る|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記
まず最も大きなインパクトを残したのがdocomo business ROOKIEから参加の福住仁嶺。今季限りでスーパーフォーミュラを引退した大嶋和也の後任として噂されている福住が、下馬評通りROOKIE 14号車のステアリングを握り、期待に違わぬパフォーマンスを見せた。
福住は初日から全てのセッションでトップ6入り。2日目午後にはトップタイムを記録してみせた。今季のROOKIE Racingはパフォーマンスを底上げすることに成功しているのだが、それでもタイムシート上位の常連であるチームを退けてのトップタイムには、メディアセンターからもどよめきがあがった。
今季の14号車は、高速域でダウンフォースを出しやすい車両に仕上がっていると言われ、その分低速域を課題としていた。冬の鈴鹿テストは低温でダウンフォースがでやすいコンディションであり、車両の強みを存分に活かせる状況であったとも言える。
ただ福住本人は「色々セットアップを変えてはいますが、ダウンフォースはそれなりに出ているな……というくらいで、(これまで乗ったマシンと)すごく違いがあるかと言われると、圧倒的に出ているわけではないのが正直なところです。バランスも中高速域では良いのですが、低速域に課題があります」と淡々と語る。
これまでにも、下位に低迷していたThreeBondでは複数回の入賞、KCMGでは初ポールを獲得し表彰台にも複数回乗るなど、チームの持つポテンシャルを最大限、いやそれ以上に引き出してきた福住。チームが大嶋と共にパフォーマンスの高いマシンを仕立ててきたROOKIEに移籍となれば、かなりの好成績が見込めると見る向きもあるが、福住はいつも通り慎重な姿勢を崩さなかった。
「実際はそんなに甘くはないと思っています。今日の最後の最後だけコンディションとクルマがマッチしてあのタイム(トップタイム)が出せただけなので、全然です。『表彰台行けたらいいな』、くらいの感じです」
笑顔のヤマケン「感度もバリバリ」
そして今季福住が所属していたKCMGからの参加となったのは山下健太。彼はデビューから9シーズンを過ごしたKONDO RACINGを離れ、KCMGに移籍することが確実視されている。
KONDO RACING時代はポールや表彰台を度々獲得するも、不振に陥ったレースではとことん苦戦するという浮き沈みの激しいシーズンを送ってきた山下。本人の言葉を借りれば、スーパーフォーミュラに“裏切られてきた”ことも多々ある。
テスト含め、スーパーフォーミュラでKONDO RACING以外のマシンをドライブするのは初めての山下。こちらも2日間4セッションで全て6番手以上のタイムを出すなど好調であった。
山下はフィーリングについて詳細はあまり話せないとしながらも、KCMGのマシンにはポジティブな違いを感じたことを認めた。
スーパーフォーミュラは各チームの車両の組み付け方などによってマシンごとに特性の違いが出ると言われており、2台のマシンに全く同じセットアップを施しても全く同じ挙動を示すわけではないのも、それが理由だと考えられている。山下も、「スーパーフォーミュラはチームによって色々な違いがあると思います」と含みを持たせて話す。
インタビュー中は笑顔が止まらないといった様子の山下。セットアップを変更した際の感度も「バリバリあります」とした上で、こう話す。
「調子良い時はそういうものなんですけどね。だから今日速かったからどうのこうのとは思っていませんが、乗った感触が非常に良いです」
山下もKCMGからの参戦となった場合の意気込みについて「そんなに簡単にうまくいくとは思っていない」と語ったが、それでも確かな自信は持っているようだ。
2年目のオサリバン「自信も増した」
そしてもうひとり、ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULのザック・オサリバンも印象的だった。オサリバンは今季ノーポイントに終わったIMPULのマシンで、4セッション全てトップ10に食い込んで見せた。
2021年GB3チャンピオン、2023年FIA F3でランキング2位と、ヨーロッパでの実績は十二分にあるオサリバン。IMPUL星野一樹監督もその素質には大きな期待を寄せている。KONDO RACINGから参戦した1年目の今季は入賞2回に終わったオサリバンだが、インパルのマシンは好感触だったようで、取材に応える際もいつも以上にゴキゲンな様子。今季チームメイトだった山下の肩を揉みながら「速かったね~首が痛いんじゃない?」と軽口を叩くほどであった。
初日を終えて「本当に満足。マシンに乗って1周目から快適で、限界までプッシュできたと振り返ったオサリバン。2日目も引き続き生産的な1日になったようで、「まだやることはあるけど、とてもハッピーで、全体的にもOKだ。フィーリングの面ではより自信を持てていて、乗りやすい。自分の思い通りに走れるし、クルマも思い通りに反応してくれる」とかなりポジティブなコメントを残した。
既報の通り、来季のインパルはオサリバンの1台体制になる可能性が取り沙汰されており、当然ながら彼もそれを認識している。1台体制はデータ共有などの面で何かと不利だと言われることが多いが、オサリバンは悲観していない。
「(1台体制による心配は)今のところない。もちろんデータを比較できるチームメイトがいるのは常にいいことだけど、大した問題じゃないよ」
「もし僕がルーキーだったら大問題だっただろう。でも1年を戦った今、マシンへの理解も深まっているからその分楽だ」
来シーズン、この3名は台風の目となるかもしれない。
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みんなのコメント
毎回、テストの時はっていう人もいるよね。
そういう人が多いのも事実。