この記事をまとめると
■2022年5月の車名別販売ランキングから新車市場の状況を考察
買ったのに乗れない! いま話題の新型車の「納期遅延」が常態化しているワケ
■全体において販売台数が落ち込んでいることが見てとることができる
■人気車種のオーダーストップによる影響も出ている
2022年5月は各車の販売台数がかなり少ない
2022年5月単月での車名(通称名)別販売ランキングをみると、ずいぶん各車の販売台数が少ないので、試しに年間で販売台数が8月とともに少ないことが目立つ4月と登録乗用車のみの総販売台数で比較すると約88.8%、コロナ禍直前となる2019年5月比では約64%となっており、納得してしまった。
5月は大型連休があるので、工場稼働日数がそもそも少ないのだが、連休明けからは事実上夏商戦がスタートするので、例年ならば販売台数がここまで落ち込むことはない。いままでのサプライチェーンの混乱に加え、中国での新型コロナウイルス感染再拡大による、上海などの事実上のロックダウンなどで中国の物流が滞ったことの影響も出始めてきているのが大きいようだ。
車名別で見ても軽自動車の落ち込みが目立っているが、販売現場では「国内専売の軽自動車なのに、生産の滞りが顕著になるほど中国製パーツを使っていたのかと驚いている」との声も聞いている。また2022年3月は事業年度末であり決算月でもあるので、いまの困難な状況下において最大限の稼働で販売台数を積み上げた(ある程度生産を貯めていた?)。さらに軽自動車、とくにダイハツ車は、2022年3月届け出となる「届け出済み未使用中古車」が中古車展示場で目立っていた。つまり、決算月に無理して自社届け出を行い、販売台数を積み増し、その余波で2022年4月もまずまずの供給体制となったのだが、ついに5月は力尽きたといった様子が販売台数から見ることができる。
ホンダの稼ぎ頭であるN-BOXもすでに工場出荷時期の目途で5カ月程度となっているので、納期ベースで見れば半年ほどとなっている。N-BOXはとくに3月は色々な意味で“頑張った”とされているので、約40台という僅差だが、スズキ・スペーシアに軽自動車のみでの販売ランキングトップの座を明け渡す結果となったとみている。
納期が早いとされていたルーミーも改良を控えオーダーストップ
軽自動車も含めた(含軽)ランキングでみると、トップはトヨタ・ヤリスで1万2400台となっている。トヨタ・カローラが2位に入っているが、これはカローラ クロスが大きく貢献しているといえよう。6位にホンダ・フリードが入っているが、これは改良を控えオーダーストップとなっているなか、在庫車を売りまくったことが大きい。
ホンダは新型ステップワゴンが5月末に正式発表を控えており、フィットも改良によるオーダー調整が入っていたりしたので、満足に販売できる人気モデルはほぼフリードしかなかった。しかもライバルとなるトヨタ・シエンタもフルモデルチェンジを控えてオーダーストップとなっていたのだが、ディーラーによる現行モデル先行発注車両の生産がまだ完了しておらず、納車に時間がかかることもあり、シエンタを検討していたお客もフリードに流れたようである。
いままでは2~3カ月あれば納車可能だったトヨタ・ルーミーが5位に入っている。しかしいまではすでに改良を控えてオーダーストップとなり、改良後モデルの納車が2022年10月以降まで伸びている。秋まではやや低空飛行気味に推移していくようである。
ランキング上位に入っているモデルの多くが、法規対応のための改良を控えてオーダーストップとなっている。改良後モデルの新規受注分の納期は軒並み2022年末から2023年以降となっている。そのため、改良前モデルの未生産分の新規登録分が今後しばらくは販売台数としてカウントされていくので、停滞傾向が目立ちそうである。そのなかで3~4カ月で納車も可能といわれるノートやセレナなど、日産の人気モデルがランキングトップとなってもおかしくない、ランキングの激しい変動が今後しばらく続くかもしれない。
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みんなのコメント
部品が無いから作れないじゃなくて、調達先を探すんだよ。
そのうちご近所のお爺ちゃんお婆ちゃんをはね殺しますよ