■ETC車載器が使えなくなる!? 次に待つ「2030年問題」も
2019年2月、横浜横須賀道路で「QRコードが印字された通行券」の実験が導入されました。
導入の目的はコスト削減、つまり従来の「黄色い磁気式の通行券」に代わるというものでした。
ところでその後、QRコードはどうなったのでしょうか? NEXCO東日本の担当者に聞きました。
実験が行われたのは横浜横須賀道路の六ツ川、日野、朝比奈の3カ所の料金所。ドライバー側は特にやることは変わらず、通行券を受け取った料金所スタッフが「QRコードを別の機械で読み取って金額を算出する」という違いになります。
実験が継続しているのか、実験の結果コストダウンが成功したのか、NEXCO東日本関東支社の担当者に確認しました。
-QRコード通行券の実験はまだ続いているのでしょうか?
実験については、2022年12月でいったん終了させていただいております。
-実験の結果はどうだったのでしょうか?
コストダウンについては効果がありましたが、運用上の課題もあり実験は終了しました。現在のところ実験再開や、QRコード通行券の拡大の予定はありません。
実験で明らかになった「運用上の課題」とは何かについても確認しましたが、「セキュリティ上の問題」で答えられないとのことでした。
なんらかの理由で読み取りにくい、不正利用の可能性があるなど問題が生じた可能性が考えられます。
今回の実験は、従来の磁気ストライプの入った通行券から、QRコードなどの情報をレシート状の感熱紙に印字し、出口の料金所で精算をする方法に変更するものでした。
QRコードであれば入り口情報だけでなくさまざまなデータも記録できる上、印刷機や読み取り機は汎用性に優れているためコストダウンにつながります。また、QRコードからスマホ決済への可能性にもつながるでしょう。
今回の実験についてはさまざまな理由で中止となりましたが、今後もコストダウンや利便性の追求をしていただきたいところです。
いっぽう、実験終了の背景としては、全国的な高速道路業界での「新たな潮流」もあるように思われます。
■「QRコード」は陳腐化? 全国で進められている「大変革」とは
その潮流とは「現在ETCカードの使用率は90%以上であり、さらに今後『ETC専用レーン』を拡大していく」というものです。
特にコロナ禍での感染症リスクの削減や、料金収受員の人員確保が困難になっていることも、ETC専用レーン拡大の要因となりました。
国土交通省は、令和2年に各高速道路会社のETC専用化に向けたロードマップを発表しています。都市部は5年、地方部は10年程度で全線ETC専用化にしていくという計画です。
これにより、時間帯別や曜日別の料金設定などが容易にでき、混雑緩和や管理コストの削減が見込まれるとしています。
将来に向けた案の段階ですが、ETC車載器非搭載車への対応は、カメラでナンバーを読み取り、後日判明した車両から徴収する方法も検討されているようです。
この方法にシフトするのであれば、実験していたQRコード通行券も必要なくなる可能性が高くなるかもしれません。
NEXCO東日本関東支社の集計では、令和6年6月の時点でETC利用率は93.8%まで上昇しています。
国土交通省はクルマ1台当たりにかかる料金収受コストが、現金車に対してETC車は1/4まで削減できるとの試算を出しました。
現在の状況では1割弱のETC車載器非搭載車のコストを、ETCを使用している車両が負担している構図になっており、不公平感が生まれている状況です。
すべての自動車がETC車載機を搭載した場合、現金専用レーンの建設費や人件費などのコストを3千億円削減できるとの試算もあり、ETCの拡大が求められています。
このため、各高速道路会社はETCの普及促進としてさまざまな取り組みをしています。
ETCカードはクレジットカード払いだからと敬遠していたり、クレジットカードの審査が下りないため作れないと考えている利用者も多いでしょう。
そこで各高速道路会社は、ETCパーソナルカードを発行しています。このカードは、事前にデポジット額(保証金)を支払うことで審査なしでETCカードが使える仕組みです。
以前はデポジット額が最低2万円と高額でしたが、2023年から月の利用が少ない方向けに、3000円からのデポジットでも利用ができるようになりました。
通行料金は、指定した銀行やゆうちょ銀行の口座から引き落としされます。
このほか、ETC車載器購入助成金として、ETC車載器取り付け費用のうち最大1万円が補助される仕組みもあります。
ETC車載器購入助成金は定期的に行われているため、各高速道路会社のホームページなどで確認してみましょう。
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みんなのコメント
バックれるヤツ沢山出て来そうだし
その回収の手間の方がコスト掛かりそうw